投稿元:
レビューを見る
実際の事件をモチーフにしながらきっちり町田康。
うわー厚いなあと思いましたが一気に読みきってしまいました。
投稿元:
レビューを見る
第41回谷崎潤一郎賞受賞作品。
842ページ。
読み終えるのに1ヶ月もかかった。
いや、でもこの作品は、町田康の最高傑作であり、1ヶ月を費やすのに相応しい小説であった。
河内音頭で知られる明治時代の大量殺人事件「河内十人斬り」をモデルに、主人公・城戸熊太郎が犯行に至るまでの心の有様を町田康節で書き尽くす。
「人はなぜ人を殺すのか」
帯にも書かれている、この永遠のテーマを、町田康は「小説」という媒体を用いて、「小説」が持ちうる限り全ての力を使い、思考し、表現した。
現代日本文学に刻まれる名作である。
この小説には僕ら人間のあらゆる部分が網羅されている。
実は僕らは、本当のことは何一つ言っていない。
そんな自分に気付き、悩む熊太郎。
そして熊太郎は言う。
「俺の思想と言語が合一するとき俺は死ぬる」
彼の生き様を見よ。
投稿元:
レビューを見る
人はなぜ人を殺すのか。河内音頭のスタンダードナンバーで実際に起きた大量殺人事件<河内十人斬り>をモチーフにした長編小説。見た目が分厚くて「エー読めるか?」と思いきや、どんどん読みすすめられちゃいます。(吉田さん)
投稿元:
レビューを見る
重いし暗いし泥臭いし、もう読んでいて憂鬱になる。読み慣れない方便のオンパレードにもまいった。うちは単行本で読んだんで、本自体も重いし厚いしで、はたして根気良く最後まで読めるかかなり不安だった。ところが、なんだかんだで一気読み。面白い小説のパワー。主人公は思弁癖の持ち主で、あらゆることを一人で必要以上にあれやこれやと無駄に考えてしまう。考えすぎた行動の結果が良い方向に進めばいいけれど、彼がやることなすことすべては悪い方向へ転がり、その度に傷ついている。しかもその思いを何一つとして他人にうまく伝えることができない。彼に同情して読み進めるには難しい。同情だけでこれは読めない。
投稿元:
レビューを見る
長編だけど、町田節のおかげでするすると読み進めることができる。でも電車の中とかでは
笑いをこらえるのが大変だったなあ。やくざ者の熊太郎に対する作者のまなざしがあたたかく優しく、
切ない気持ちになりました。
投稿元:
レビューを見る
第41回谷崎潤一郎賞受賞。
実際に起きた事件「河内十人斬り」に着想を得た町田康による渾身の長編小説。
まるで自分のことを描いているのではないか。そう錯覚するほど、主人公熊太郎には並々ならぬシンパシーを感じた。熊太郎は、自分の頭の中の思考と口から発せられる言葉の不一致に苦しんでいる。廻りの人間は、腹が空いたら、「腹減った」と嘆くし、うれしいと思ったら「うれしいわ」と騒ぐ。思考と言葉が一致している。熊太郎はそうはいかない。うれしいことがあっても、ここで素直に喜ぶのは、餓鬼くさいし周りになめられる、そもそも本当にこれは喜ばしいことなのか、違うんではないか、それは他人に勝手に決められた価値観ではないのか。そんな風に思考があちらこちらに拡散し、出てくる言葉も出てこなくなる。言わないから伝わらない。伝わらないから廻りの世界との隔絶を感じる。やる気をなくす。熊太郎はこのような負のスパイラルに落ち込んでいき、最終的に十人斬りに繋がっていくのであるが、このような感覚を真っ向から否定できる人間は果たしているだろうか。誰しもが、心の奥底で似たような感覚を抱き、孤独を感じているのではないか。町田康が今作で描き出した城戸熊太郎の葛藤は、現代人の抱える病理そのものであると思う。そして、思考と言語の齟齬に悩む現代人の代表的一典型が作家であり、このタイトル『告白』は、そのものずばり町田康自身の告白を意味しているのだと思う。
途中、読んでいて泣きそうになったり、息苦しくさせたり、爆笑させたり、800ページを超える分量でありながら、まったく退屈しなかった。現代の作家で、これほどの質の長編を物にできる作家は限られてくるだろう。この作品は町田文学ひいては日本文学のひとつの到達点であると思う。読んで損はしないです。傑作。
投稿元:
レビューを見る
この本の素晴らしさを言葉で言い表すことなどできません。
なぜなら私の思考と言葉は一致しないから。主人公熊太郎と同じく。
どじょうのシーンが一番印象的でした。あの絶望感。だけどあれっての人の一生を表象しているような。
いったい狂人とはなんでしょうか。熊やんはまったくの凡人で、素直なおバカさんで、人情に溢れ、人の優しさを求め、愛を求め、少々思弁的であるがために思っていることを上手く表現できない、要領よく人と上手くつきあえない、すごーく不器用な、だけどもっとも人間らしい人間です。
人はなぜ人を殺すのか。生きること、死ぬこと、食べること、酒を飲むこと、愛すること、信じること、裏切ること、人生の全てが詰まった町田康渾身の告白。いや素晴らしいな、これ。
投稿元:
レビューを見る
初の町田康だった様な気がします。
衝撃を受けましたねー。
苦手な方は苦手かも知れません。
私は時間がある時に読み返したいと思える一冊。
投稿元:
レビューを見る
人はなぜ人を殺すのか。
この深いテーマを、あの町田康が書くことにまず驚き。
テンポのはやい河内弁はそれぞれのキャラが立っておもしろい。
内面をえぐられるような、重いテーマを方言が和らげる、
が、やっぱり重い、深い。
投稿元:
レビューを見る
ほんとにぶあついの
有名な河内十人斬りのおはなし
でもこの事件のこと さいご5分の1くらいになんないとでてこないけど
頭で考えてることがうまく口から出てこない、伝えられない
わかってくれる人がいないってきもち
さいしょからその葛藤に苦しんで
でもでもさいごに
頭の中には なんにもなかったっていう虚しさ
人一倍考えた故の事件だったと
読みごたえはあったかなー
投稿元:
レビューを見る
分厚い作品なので(842P)読み終わるまでがホネでした。
浮かんでくるのは「日本昔ばなし」のようなマンガの情景。んで、その主人公が自分語りする話。でも、本の最後に出典が出てるようだがこれは実話なのだろうか??
私自身が大阪に2年半ほどいたことがあり、仕事で付き合っている業者のお年寄りの中には「河内弁」を話す人々がいた。早口で、何をいっているのか全くわからない。この本の表記が当時を思い出させて、少し懐かしいような暖かい気がした。
時折サンタナやバンドの話が出てきたりするのは作者がロッカーゆえのことであって、「殺す。殺す。〜」のリフレインなども然り。でも、この話の結末が破滅に向かっていくとは、途中全く思いもよらなかった。でも、それだけ近代とは未だ未成熟な世の中で、死がそこいらじゅうに無造作に転がっていたのかもしれない。
かえって、シリアスなドキュメンタリーとなるとこれは救いようのない話となり、とてもこんな大作にはならなかったことであろう。
投稿元:
レビューを見る
実際に起きた大量殺人事件【河内十人斬り】がベースとなっている長編小説です。
なんか切ない・・
頭のなかで思っている事を相手に伝えないといけない時って上手く伝わらなかったり、伝えられなかったり、解り易く説明しようと思って整理している途中で思想がごちゃごちゃになってしまう事ありますよね。
最期ぐらいは嘘、偽りなく正直に死にたい、出来ればその思いを言語にして・・・・
『人はなぜ人を殺すのか』は最後まで解りませんでした。
投稿元:
レビューを見る
ほんまにあった事件らしいけど、メチャクチャな想像がすごいね。文庫本で厚さ4センチ、読み切った自分もすごい!
投稿元:
レビューを見る
ページ数は多いけれど、独特の言い回しでぐいぐい最後まで引き込まれる。「おほほん」って言葉がなんか好きだ。
投稿元:
レビューを見る
初めて読んだ町田作品。
ハマりますね。
軽快で、読みやすいのに奥が深いというか・・・
痛快、が正しいかな。
ほかの作品も読みたいと心から思いました。