投稿元:
レビューを見る
2008/4/13 アシーネダイエー甲南店にて購入
2011/1/3~1/4
警視庁捜査一課の刑事・渡辺みさとは待ち合わせていた友人の若江世衣子の死体を発見する。世衣子の死体は首を切られ鬼に見立てられていた。その後、鬼を名乗る犯人からの犯行声明が届く。みさとは警察内の友人や「日本から鬼を消す」といって警察をやめたハルアキ(この名前も隠された意味があったのね)らとともに鬼を追い詰めていく。果たして鬼の正体は?
最後には鯨氏らしい歴史解釈(鬼の正体の推理)も含めて、気軽に読めるミステリ。ただ、警察が一般人に話を聞いてる途中、普通にタバコを吸うシーンがあるが、ちょっと違和感。本当の警察もタバコを平気で吸うのか?
投稿元:
レビューを見る
あたかも鬼に見立てられた死体遺棄の連続殺人を、被害者の友人である女性刑事と「日本から鬼を消す」という言葉を残し警視庁を去った男が追う。
ラストの鬼伝説の謎解きは、さすがの「鯨ワールド」でしたが、犯人探しや登場人物のとんちんかんぶりには少々退屈してしまいました。
(2009/10/15)
投稿元:
レビューを見る
泡坂氏を古き時代の雄とするなら、新しき時代を率いるのはこの方かも?
デビュー作から多種多様のジャンルを網羅し、かつ、珍説・奇説・新説を巧みに突き付けてきます。
そんなわけで、今度は「鬼」。
期待も半端ないわけで。。。
軽やかな文体なのに始まりは鬼の見立て殺人。
事件の推移を縦軸に、鬼の考察を横軸に、最後はあっ!と驚く犯人像(鬼の考察)を?!
侮れませぬ~(ちょっと嫉妬)
鬼は好きだから結構、調べてる方なのですが、踏み込み方が見事だわ。
鬼の事を知りたい人にも、そんなんどーでもいい人も、鯨流を堪能して欲しいなぁ。
投稿元:
レビューを見る
読み終わって印象は、「京極堂ショート版」。(と思ったら「長編推理小説」にカテゴライズされてた!)
ミステリアス学園を読んだ身としては、言葉を選んでしまう訳ですが。
本格ミステリとしても蘊蓄ミステリ(そんな分類はなかったが)としても、程よいボリュームで大変読みやすかったです。
でも登場人物の個性が弱いので、再読はしないかな。
投稿元:
レビューを見る
警視庁捜査一課の刑事・渡辺みさとは、友人の若江世衣子の死体を発見する。あたかも鬼に見立てられた死体を・・・。直後、新聞各紙に鬼と名乗る犯人から犯行声明文が送られてきた。鬼の意味するものは何か?
「日本から鬼を消す」という言葉を残し警視庁を去った男・ハルアキとともに、みさとは鬼の正体を追うが・・・。連続殺人と伝奇を見事に融合させた傑作推理。
(「BOOK」データベースより)
今まで読んだ著者の作品は全て短編集だった。初めて読んだ長編。コミカルな雰囲気が消え、シリアスなタッチになっている。しかし、鯨統一郎氏らしく、本筋以外の情報(今回は「鬼」について)は盛りだくさんであった。民俗伝承上の「鬼」とは、一体何を表しているのか。それをいろんな立場の登場人物が、いろんな角度から述べていく。いずれもそれらしく、興味深いものだ。やはり、著者の知識の範囲は幅広い。
「鬼」が存在するのは日本だけではない。というより、日本が発祥ではないようだ。人類が文明というものを築き上げた瞬間からそれらしきものは登場しているらしい。それが姿を変え、形を変え、日本に伝わってきたときには・・・。ハルアキの本名は阿部清明。陰陽師の安部清明の子孫だという。そのため、ハルアキは鬼退治を自分の使命だといって警視庁を辞めていった。民俗学の視点から「鬼」を眺めていく彼の言葉は興味深い。
ハルアキが思う「鬼」の正体。それは悲しく切ないもの。それは昔話でもそうなのかもしれない。雪女だって、本当は悲しい女性ではなかったか。「鬼」とは強さの象徴ではなく、悲しみの象徴かもしれないとも感じた。
本書では殺人事件が起きる。そしてそれを解決しようと、主人公である渡辺みさと刑事が走り回る。結果、ハルアキの助けを得て、解決される。ミステリのようだ。けれど、ミステリとは少し違う。動機の情報などの開示がアンフェアだ。これでは読者は謎解きができない。だから、ミステリではない。だからといって、面白くないわけではなく、非常に面白かった。ミステリとしての要素以外の部分が面白いのだ。鯨作品らしい。
投稿元:
レビューを見る
死体を鬼に見立てたり、犯人が鬼を名乗ったりと
鬼というキーワードを元に展開されるミステリー。
ではあるものの、ミステリーとしての出来は正直イマイチだし
キャラクターも変なキャラが多いし、話の展開も強引。
それでも、鬼をめぐる薀蓄とよくわからない説のオンパレードを
次から次へと読んでいくのが妙に楽しくなってくる不思議な作品。
投稿元:
レビューを見る
ほくろのこととか回収されきってない物があるんですが。そして赤鬼ばかりで青鬼はどうした?赤鬼と青鬼がある時点で、童子形の神像は、製鉄よりも先に浮かぶと思うが、結論そこ??っていう。。。
投稿元:
レビューを見る
民俗学好きにはたまらない。
鬼って何って、初めて考えた。
謎解きもおもしろかった。
怪しい人物が多すぎて、みんな犯人に見えた。
投稿元:
レビューを見る
この物語は被害者を鬼に見立てた連続殺人事件を追うミステリーである。
同時に、「鬼」にまつわるさまざまな解釈、謂れ、考察が語られている民俗本のような一面もある。
知っているようで、誰も知らない「鬼」という存在。
ときに忌み嫌われ、畏怖され、まるで悪の象徴のように思われている存在。
物語は「鬼」の謎に迫りながら、ひとつの結論を提示している。
「鬼」とはいったい何だったのか?
ハルアキが導きだした答えは、あまりにも怖ろしいものだった。
怖いものはたくさんある。
けれど、この世で一番怖ろしいのは「人」だと思う。
誰でも、何かきっかけさえあれば奥底に眠っている狂気が目覚めるのでは?と。
ミステリーを楽しみながら、民俗学の分野である「鬼」に触れることもできる。
1冊で二度おいしい・・・そんな物語だった。
投稿元:
レビューを見る
長編推理小説ではあるが。書店の売り場には小説文庫にあるのはもちろんだが、人文書の歴史文化民族のコーナーにも置かれる。
本書は、鬼に憑かれる殺人事件を紐解いてゆくミステリ。
民間伝承上の鬼についての詳細がふんだんに盛り込まれているので、民俗学にも置かれるんだろな。
鬼。子を亡くした母か...
記紀神話、民謡、語り継がれる民間伝承は、とても物悲しいな。生きるためとは言え。
口減らし、姥捨山、食人、歴史の中には現代の価値観では計り知れない生存方法があったわけだ。
鯨氏の腕光る一冊でした。
投稿元:
レビューを見る
作者お得意の、歴史や民俗学の謎に切り込む長編ミステリ。さらには今作では殺人事件も絡んでくる。意外にも由来のはっきりしない「鬼」という概念について様々な視点から解説され、読み応えがある。リーダビリティが高いのも好印象。近頃NHKでも「ダークサイドミステリー」や「トーキング ウィズ 松尾堂」で取り上げられるなど鬼に関する関心が高まっているようだ。記憶ではNHKと本書で取り上げられた解釈にはそれほど差異はないように思われるため、それなりに堅実な鬼・民俗学入門書としてもおすすめできる。
投稿元:
レビューを見る
最後は一気読み。
元々鬼とか妖怪に絡む話か好きで、こういった妖怪はなぜ生まれたのかみたいな話が特に好き。