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「どちらでもいい」というより「どうでもいい」という感じ。
背表紙と帯にある「絶望」「喪失」が
短いページに詰まった一冊。
それなら最後のはなしは、蛇足かも。
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悪童日記を書いたアゴタ・クリストフの短編集。
透明な悪意が充満してます。
死につながるモチーフが多い。
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古典など読んだことは
最近ないがそんな感じ。
帯に描いてある通り色のない
モノクロームの世界が広がる。
他の作品も読んでみたくなった。
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(2009.02.07読了)
必要な解説は、「訳者あとがき」に網羅されているので、拝借します。
「どちらでもいい」は、1970年代から1990年代前半頃までのアゴタ・クリストフのノートや書き付けの中に埋もれていた習作のたぐいを編集者が発掘し、一冊に収録した拾遺集である。本書の中身は、計25の短編小説、もしくはショート・ショートである。むしろエッセーに近いテクストも混ざっている。形態も多様で、ストーリー性のある話、一幕劇のようなもの、風刺的な人物描写などがある一方で、夢想、独白、回想などの形をとっているものが多数を占めている。(187頁)
ここに集められた25のテクストのうちに、修正を加えられた上で全面的に長編小説に組み込まれたテクスト、部分的に組み込まれたテクスト、小説や戯曲と共通するモチーフのものが見出される。(188頁)
アゴタ・クリストフの作品、「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」「昨日」「怪物」「伝染病」「文盲」を読んで、さらにその雰囲気に浸りたい方は、この作品も読んでしまいましょう。
●郵便受け(73頁)
孤児院で育った人物の話です。毎日郵便受けを見て、父か母からの手紙を待っています。父か母がお金に困って、助けを求めてくることを期待しているのです。
でも、来た手紙は、父からのものでしたが、自分の企業を継いでくれというものでした。
●間違い電話(83頁)
よく間違い電話がかかってくる。長い夜は、間違い電話であっても、かかってくると嬉しい。夜10時、女性からの電話だった。
間違い電話であったが、明日、午後4時に会いたいという、女性は、自分の服装と髪の色、持っている本を言った上で、あなたの見分け方を聞いてきた。
ジーンズをはいて、黒のセーターを着て、栗色の髪で、インテリの読む週刊誌を手に持っていくことになる。
翌日、ジーンズを買い、黒のセーターも買い、髪を栗色に染めた。自宅で鏡に映してみたが、なれない格好なので落ち着かない。結局、いつもの恰好で出かけた。
待ち合わせの喫茶店で、相手の女性を見つけたけれど、離れた所に座って観察する。
女性が立ち上がって、喫茶店を出ようとしたところで、ジーンズに黒いセーターの青年が入ってきた。女性が、本来電話をかけたかった青年だった。
●ホームディナー(129頁)
夫が、妻の誕生パーティを提案する。妻は、疲れるから嫌だという。
夫は、必要なことは全部自分でするから、君は座っているだけでいいというので、妻は同意する。
ところが、当日になると夫は買い物に行ってきてくれたけど、何かというと、妻にあれこれとお願いして、結局、妻の恐れていた状態になってしまう。
本の最後に収められている「マティアス、きみは何処にいるのか?」は、単行本には収録されていないものだそうです。
(2009年2月8日・記)
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アゴタ・クリストフが色々と実験したような感じの短編が集められた一冊。しかしどの話にも、彼女の作品に共通する喪失感がある。これだけを読むのはおすすめしない。まずは『悪童日記』からどうぞ。
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子供が「ものすごく否定的な感じで作家がかなりクロイこと考えてそうな本」と言ってたので、気になって読んでみました。
ものすごく短い短編だけど、どれも孤独・絶望・希望(先)がないという点では共通している。高校生の暗い気分の時代、安部公房の本を読みあさったけど、ここまで直截的で身も蓋もないという感じではなかったなあ。
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絶望、というと大げさなほどの諦めと失望感が漂っている短編集
決して明るくないのに心地いいのはなんでなんだろう
ピューマの話をどこかで読んだ気がするのだけど思い出せない
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A. クリストフ『どちらでもいい』 #読了 彼女のネタ帳的短編集。徹底的と言っていいほどに孤独、絶望、不条理の連続。
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三部作の余韻に浸りながら読み進めました。短編集であるこの本を通して読んでみると作者は「生と死」を区別して考えていない、という印象を受けました。彼女は生きている人も死んでいる人も同じ世界にいるものと考えているのだと思います。作品の中では特に両者の「魂」のようなものが故郷(愛するもののところ)に留っているもしくは囚われているという描写が多かったように思います。
それとやっぱり一番に感じたことは本の中に漂う「暗さ」です。作者の心に闇を投げかけた彼女自身の悲痛な歴史を僅かながら感じられた気がします。闇とかちゅうにでしたね。
この本を書くのはすごく苦しかっただろうな。同情します。別にして欲しくないか。
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短編集。本当に短い2ページ程度のものもあります。
悪童日記を読んだ後ではどうしてもインパクトにかけてしまう。
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幻想的だったり風刺的だったりする話ばかりの掌篇集。
全体的に物悲しい雰囲気が漂ってる。
なんだか秋の夕暮れに誰もいない路地で落ち葉が風に舞ってるような…そんな切なさ。
いくつかの話には『悪童日記』三部作に出てきたのと似ている文章やモチーフが見うけられます。
『マティアス、きみは何処にいるのか?』は三部作の前の話とか、続編とかなのかなと思っていたらそうではなくて、『悪童日記』のモチーフがあるという感じなんですね。
これをもっと練っていったら『悪童日記』になりそう…という感じ。
やはり作者の本は好きだけど、『悪童日記』のインパクトが凄かったのであれ以上には思えない。
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有名な悪童日記三部作以前の短編集でサクッと読了。このころからすでに乾いたような文体で、内容もかなり暗い。後の作品のモチーフらしき話もちらほら。著者のファンでなければ、あえて読まなくてもいいかもしれない。
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嘘を付くことが弱い事だと思わない。本当の弱さとは嘘を付いている事を認めないこと、嘘を付いていると気が付かない事を指すのだから。短編集というより喪失と悲哀のショートショートの様な本作は、タイトルが示している通り時に投げやりな感はあるものの、それが彼女の人生にこびりついた絶望と後悔に一層凄みを与えているのだ。そう、皮肉な笑いは虚無をやり過ごしてくれるが、それはただ先送りしているだけに過ぎなかったのだと気が付いた瞬間の、真っ逆さまに落ちていくあの感覚。商品として体裁を整えられる以前の、剥き出しの虚無の断片集。
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短編集というよりはショート・ショート、或は習作集といってよいかもしれない。しかし、習作には習作の味がある。ああ、これがあの作品の原型かあ、などなど。それでも、本作品集にはひとつの貫かれたテーマ性を感じる。それは、「絶望」だろう。特に、私は思う、という作品は秀逸。
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2015/09/21
アゴタ・クリストフの短編集。悪童日記ほどのインパクトはないが、空気感はそのままである。