投稿元:
レビューを見る
すごく面白かったです。
ヒロインのブラウンアイズがとても可愛く書かれていて良かったです。
最後の逆転劇も良かったです。
投稿元:
レビューを見る
SFらしい奇妙な味わいがありますが、10代の子達が成長する一夏の青春物としても読めます。
太陽フューを回って楕円形に軌道を描く惑星に住む少年達。
地球とは違うが、かなり似たような人間の世界が展開します。
エルトという国の中心地アリカから、避暑地のような別荘のあるパラークシにやってきた一家は、父親が役人。上流階級と両親は思っているが、大多数の人からは嫌われる結果に。
少年ドローヴは去年好きになった女の子ブラウンアイズと会えるのを楽しみにしていました。
去年の夏の終わりに、ちょっと口をきくことが出来ただけの仲。
このブラウンアイズがすごく良い子なんです。
酒場もやっている旅館の娘で、いわば下層階級。ドローヴの親はいい顔をしません。
何が起こるかわからない世界。
身近な人が突然狂気にとらわれたり、道ばたに生えているアネモネの木に取り込まれてしまったり。
なぜかアネモネという名前の植物がここでは木で、人の服を食べてしまうという…
ロックスというのが使役動物で、馬や牛やロバを合わせたような存在。ロックスがひくロックス車というのが走っています。
ほかにスチーム車や自動車(モーターカート)というのも。
ロリンという毛がふさふさしていて身軽な猿のような?生き物(猿とは一言も書かれてないけど)が半ば野生だけど、そこらにいます。ロックスと共生関係になるのか?寒さで立ち往生したロックスにまたがり感応力を使って誘導したりします。時にはロックスのように感じてか?苦しんでいる人を助けに来てくれたりする。
隣国というのか隣の大陸?アスタとの戦争が起きていると言うが、子供にはそんな実感はなかった。
親同士が認めたウルフという少年と、彼が連れてきたリボンという少女。ウルフは問題の多い性格で、リボンはお人形のように綺麗だがやや傲慢な所がある。
最初は彼らの強引さに押され気味のドローヴでしたが。
4人で小型スキマーに乗って赤い海へ乗り出し、冒険を楽しみます。
しかし、謎の事件が起こり、次第に町の人々の争いに巻き込まれていくのです。
そこには、恐ろしい秘密が…
少年の冒険がいつしか、一人前に現実的な対応を迫られることに。
SFならではの奇想天外な危機が訪れます。
無惨だけど、一筋の希望も。
少年の成長と共に、少女ブラウンアイズとの初恋が貫かれていくので、その辺に注目すれば心地よさは感じられます。
背表紙にアンドロイドと書かれていますが、作品中にはそんなことは書かれていないのが謎。
ヒューマノイドと作者前書きにはあります。これは人間タイプの異星人ということでしょ。
後書きには「エイリアンとの戦争」という言葉もあるのですが、エイリアン?そういう話じゃないような…?
というか、ここの登場人物達はみんな地球人ではない他の惑星のエイリアンですが。
1975年の作品。
この世界は1875年ぐらいの段階で進化している途中という設定だとか。もう少し後の感じだけど?
投稿元:
レビューを見る
政府高官の息子ドローヴは、海辺の町パラークシで、ブラウンアイズという少女と念願の再会を果たす。しかし町には戦争の影が迫りつつあった・・・。
ずばり、片山若子さんの絵に引かれて手に取った。
ここで描かれる世界は地球ではなく、登場人物も宇宙人なのだそうだが、描かれる彼らの心情は人間そのもの。淡い恋、親との確執、そして戦争・・・。
時にあまりにもバカらしく軽薄に見える親や知人(親からは「お友達」になりなさい、と言われる同年代の男子)と、次第に渡り合う方法を主人公が見つけていく様は、ちょっとした「子供時代への別れ」が窺える。
ここでの彼らの年齢は、地球人の何歳ぐらいなのだろう。私は14,5歳ぐらいかと思って読んだのだが、それでは幼すぎるだろうか?
主人公にとってヒロインのブラウンアイズの存在があまりにも天使なところがちょっと引っかかるが、ぎりぎりのところで踏み留まっていて、恋愛小説としても結構楽しめた。
というより、きっとこういう女の子がいればいいな、という理想を形にしたのがブラウンアイズなのだと思う。恥ずかしがりやだけど能動的で、小さくて可愛い女の子。
この話、文体をちょっと変えたら日本人作家の作品と言ってもわからないのではないだろうか。なんというか、ブラウンアイズの造詣といい、ストーリーの生真面目さといい、日本人の好みに非常に近い気がするのである。
ただ、私はラストがよくわからなくて、いまいち消化不良なのです(え゛?)。
投稿元:
レビューを見る
完璧なタイトルと表紙に惹かれて読みました。
伝説のサンリオ文庫の生き残り。
まずドローヴのナイフ・エッジ・カレスなキャラがいい。
家族を憎み、愚鈍な大人を嫌い、くだらない世界を軽蔑する。
だから、前半のドローヴとブラウンアイズのお互いへのぎこちなさに涙。いや、だれかを必要とするってこういうことだったよね。
ほとんど悲劇的な様相を帯びてくるこの小説が最後のどんでん返しで、ひとつところにうまいこと収斂してしまうのが、逆に残念な気がするのは僕だけでしょうか。
ともあれ、冒頭に脇役がドローヴにさらっと語る以下の言葉が、この小説を、というかフィクション全般を象徴しています。
「お話ってのはある目的があって語られるもので、その語られ方にもやっぱり目的がある。お話がほんとかそうでないかなんてのは、どうでもいいことなんだ」
そう、どうでもいいことなんだよ。ただ語りさえあれば。
続編読みたいので、みなさん買ってください。
投稿元:
レビューを見る
SFで青春で戦争で恋愛な小説。とても読みやすい。
身分違いの恋とか、分かりやすい三角関係とか、古い体質に縛られた親とそれに反発する子どもとか、夏休みのちょっとした冒険気分とか。
そういうものがいっぱいに詰まってるお話。
少年少女は、誰しも気付けば大人になって、大人になることで失ってしまったものはもう戻ってこないんだな…と少ししんみりした。夏の終りのこの時期に読めてよかったと思う。
投稿元:
レビューを見る
偶然なんだけど、最初の「作者より」を読まないで、物語に入ったから、この舞台設定が「地球ではない星」であることに、半分くらい読んでしまうまで気づかなかった。だからこそ、自分が住んでるこの地球上の物語として読んでいて、そしてグングン物語に引き込まれていった。まるで自分が追体験していかのように。
「追体験」していく物語っていうのは、子どもたちに向けた作品の中に多いような気がしている。偉大なる「ハリーポッター」シリーズもそうだし(やはり誰がなんと言おうがハリーの物語は、マイ・フェイバリット・シリーズ。毎年あんなに翻訳を待ち望んでいた作品は他にはない。)、「獣の奏者」のエリンの物語、エンデが紡いだ「はてしない物語」、いずれの作品も読み手を物語世界に没入させ、活字世界と現実世界の境界を消滅させるようなパワーを持ってる。わたしはそういう小説が大好きだ。「ここではないどこか」、ファンタジーの世界に私を連れてって。常にそう思って、本と向き合っている。
そんなニーズを満たすのが、この「ハローサマー、グッバイ」。1975年に生み出された傑作は、36年後、気怠い毎日を生きる私を、色褪せることもない「ここではないどこか」にちゃんと連れてってくれた。とんでもないほどの疾走感と、爽快な読後感を伴って。
永遠の恋人「ブラウンアイズ」と船の上で肌を重ねた夏の光景を、私は一生忘れたくないな。
最高。文句なしの★★★★★。ありがとう、コーニイ。あなたが好きです。
投稿元:
レビューを見る
読後、スッキリ感と甘酸っぱさ感を感じられた。
地球とは異なる惑星の独特の世界観がちゃんと描かれているし、
少年の思春期にありがちな自己中心的な思考や葛藤と
様々な経験をしていくことによる成長が読み取れるし、
少女との恋愛と、惑星を二分する戦争を絡めたストーリーもグイグイ引きこまれるし、
最後まで一気に読めて、とても面白かった。
思春期の甘酸っぱさを思い出させてくれるSF小説としておススメ。
投稿元:
レビューを見る
厳格な父、ヒステリックな母、どうにもならない僕と、膨らみ始める君の胸。まるで青春文学のスターターパックのような構成。
舞台となる特殊な公転軌道を持つ惑星で、2人は選ばれたように恋に落ちる。だが、忍び寄る戦争の影、そして、陰謀。たった一度の愛の記憶を、2人は何度も反芻するがーー。
「そしてこの夏のあと、僕たちは誰ひとり、前と同じじゃなくなっているだろう...それが怖いって思うところもある。すごくたくさんのものを、すごい早さで失っているような感じがして。」
投稿元:
レビューを見る
絶版になっていたSFの傑作を再版したものらしい。ある惑星を二分する国家アスタとエルトの戦争の最中、少年ドローヴがで夏休暇をすごすパラークシで少女ブラウンアイズに恋をする話。異星ものだけあって、ロリンという謎の知性動物がいたり、蒸留液とかいう燃料兼飲料があったり、設定がいろいろファンタジック。どこで知ったか覚えてないが、とりあえず読んでみた。こども層を惹きつけるような表紙をつけておきながら、自転軸がどうのっつうめんどくさいSF設定はあるは、性描写はあるはで、中身は意外に大人向け。主人公が常に不機嫌だったり、キャラクターが割と典型的だったり、色恋がめんどくさかったりで、一種のジュブナイルとしても読める。だが、最後の締め方から言えば、やっぱりジャンルは本格SF寄りなのかなーと思う。設定が凝っていてファンタジーとしてもなかなか魅力的だし、ミステリー的な要素もはいっていて盛り沢山な内容。結構面白かったと思う。やっぱ河出文庫は割高だけど質が高い。ただ、海外SFの常として、なんだかすっきりしないというか、説明不足かつ説明過多なところがあって、ロリンとかいう生き物がなんなのか全く説明しないまま最後の大オチに使われても全然しっくりこなかった。一方で、ブラウンアイズとの逢瀬なんかはもうしつこいくらいに描写されて、正直読むのがめんどくさかった。
投稿元:
レビューを見る
冒頭の「作者より」にあるように、「恋愛小説であり、戦争小説であり、SF小説であり、さらにもっとほかの多くのものでもある。」
「そしてこの夏のあと、ぼくたちはだれひとり、前と同じじゃなくなってるだろう……それがこわいって思うところもある。すごくたくさんのものを、すごい早さで失ってるような感じがして。得たものも、たくさんあるけどね」 この主人公の言葉がこの本を流れる全てだと思う。
投稿元:
レビューを見る
あの夏の少女のことは一生忘れない。
惑星をゆるがす時が来ようとも――
冒頭の「作者より」にて、
「これは恋愛小説であり、戦争小説であり、SF小説であり、さらにもっとほかの多くのものでもある。」
と書かれています。
物語の序盤は、わけのわからない生物?の存在や、休暇に出かける描写が続き正直読みにくかったのですが、
ヒロインであるブラウンアイズが出てきてから恋愛小説の面が出てきて、
その展開に「こんな超絶リア充はいない!」と苦笑しながらも、
実態のうかがい知れない雰囲気が漂ってきます。
そして隣国との戦争、陰謀論?と続いたところでラスト3ページでした。
鮮やかな着地を決められました。多様な読み方ができ傑作だと思います。
以下はネタバレリンク。上は訳者さまもコメントされています。
http://swimmingpool.seesaa.net/article/102758480.html
http://www5a.biglobe.ne.jp/~sakatam/book/hello-summer.html
投稿元:
レビューを見る
夏の休暇を過ごすため、政府高官の息子ドローヴは
自分たちの住む首都アリカを離れて、両親とともに、
今年もまた港町のパラークシへとやってきた。
この星の夏は短いがその間の日差しは強烈で、
蒸発して濃度の高くなった海水が、南から北へと移動する現象、
粘流(グルーム)を発生させ、豊かな漁獲を人々にもたらす。
しかし一方で、冬の時期は長く厳しく、
人々は寒さを忌み嫌い、心の底から恐れていた。
一応は息子思いのようだが頭が固いドローヴの両親は
自分たちの息子が港町の住人などという
身分の低い連中と親しくなるのを嫌い、
同じ役人の子供であるウルフという少年を紹介したりしたが、
ドローヴが会いたいと願うのは、一人の少女だった。
それはブラウンアイズ。
去年の夏に、彼女が暮らすこのパラークシで出会い、
一年間、ひそかに思いを温めていた相手なのだ。
両親の監視が厳しく閉口していたドローヴだが、
あるアクシデントが原因でブラウンアイズと再会を果たす。
その日から、町の住人であるリボンという少女や
その弟であるスクウィント、そしてウルフらとともに
ドローヴとブラウンアイズはたびたび散策をする仲となった。
やがてお互いの好意を確認しあい、愛を急速に深め合う。
しかし、戦争の影がしだいに彼らを、町を覆ってゆく。
町のはずれにある新缶詰工場や、
目立たない場所に建設されている埠頭は何のための施設なのか?
そして、壮大な機密計画が、ドローヴとブラウンアイズ、
二人の間を引き裂くときがやってくる――。
少年の忘れえぬひと夏の思い出を描いた、SF史上屈指の青春恋愛小説。
何十年か前にも一度刊行されていたようだが、
本書は待望の完全新訳版となっている。
原題「Hello Summer, Goodbye」。
SFなど今まで手に取ったこともないのに、
どういう理由で本書を購入したのかは覚えていない。
おそらくどこかのサイトで話題になっていたのを気に留めて
書店で見かけたときに衝動的に購入したのだとは思うが。
SFとはいえ、本作はそこまでハードなSFではない。
あくまで物語の主軸はドローヴとブラウンアイズの恋である。
しかし、SFとしての様々な設定が物語上欠かせない要素として
見事な効果を発揮しているのは明らかである。
価値観の狭い役人(両親)との対立、
ブラウンアイズやウルフ、リボンたちとの関わり、
そういったものの中で、ドローヴは少しずつ成長していき、
またブラウンアイズとは愛を深め合っていく。
その一方で不審な動きを見せている役人たちや、
戦争についてのことが描写され、
やがて訪れるであろう悲劇的展開を示唆している。
情景の描写も巧みで、氷魔や粘流といった架空のものについても
容易に映像が思い浮かぶくらいリアリティがある。
しかし説明くさくてわざとらしい文章というわけではなく、
あくまで物語の流れに沿った形でそれは行われる。
これらのことはそつなく、ユーモアに富んだ表現に包まれ行われ、
ストーリーテラーとしてのコーニイの手腕を思い知ることができる。
終盤の悲劇的な展開までは裏表紙にも書かれていることだが、
その果てに待ち受けている、希望を感じさせるラストシーンも良い。
伏線もきちんと利いたうえでの展開なので気持ちも良い。
SFと言うとあまりなじみのないもののように聞こえるが、
読んでみて思ったのは
「ラノベにどこか近いものがある」
ということ。
現実にはない架空の物事が多く登場する世界で、
少年少女たちが悩んだり戦ったりする話。
ラノベに多そうな話のタイプではないだろうか。
まあもともとラノベというジャンルの起こりからして
SFとの間には浅からぬ縁があるのだろうとは思うが、
つまり本作のような物語は今の時代にも
受け入れられる可能性が大いにあるということではないか。
何しろ、世にあふれかえっているラノベより
おそらくは圧倒的に面白いのだから。
あまり知名度は高くない作品だと思う。
しかしこういう物語が好きな人はそこそこ多いはず。
凡百のラノベなどよりは断然面白いので、
なかなか書店で遭遇することのない本だとは思いますが、
興味があったら手に取ってみるのも良いかもしれません。
投稿元:
レビューを見る
とある地球によく似た惑星で起こる
戦火の一夏に起こる淡い恋愛、そして事件。
父親が役人であるため(※この世界は階級制)
戦時中でも食べ物や燃料の制限をさほど受けない一家は
毎年夏になると過ごしやすい港町パラークシの別荘に行く。
1人息子ドローヴはパラークシの宿屋の娘
ブラウンアイズがちょっと気になっており
再会後、両想いであることが発覚
→2人は燃え上がるのです!(階級差があるので余計に!)
この辺の超速リア充展開は
『イニシエーション・ラブ』のごとく
「おいおいどんでん返しカタルシスに恋愛要素はノンノノン」
という方々(私ですが)にはちょっとだるいーのですが、
この作品がSF・青春・戦争・恋愛、という各種要素を取り揃えた
名作であることは本当にラスト数ページで分かります。
まず地球ではない惑星でありながら
ほぼ地球人そのものの感情や文化が描かれるのですが
そこから既に作者の罠にはまってしまった感でいっぱいです。
間に挟まれるもろもろのSFネタ、
・氷の惑星ラックスが季節に負の影響を与えること
→そのため「冷たい」「凍る」などがこの世界ではFワード
・自転・公転が海の満ち引き、特にグルームに影響を与えること
・厳格なる階級制
・この惑星に住む特殊な生態系
→特にロリンというかわいい動物が人の感情をなだめる特性があること
割と最初から随所に散りばめられていて
違和感なくこの世界に入り込めるのだが、
まさか全て最後につながるとは…!
ということで名作。
作者が病没する前に公開された続編の訳本期待です。
投稿元:
レビューを見る
あとがきによれば、この本は英国の作家マイクル・コーニィにより1975年に出版された青春恋愛SFとのこと。日本でも、元々サンリオSF文庫から出版されていたとのこと。(サンリオSF!懐かしい。)
舞台は、地球ではなく別の星。(普通の青春小説として読めてしまうけれど…)この星の気候や、生物相がストーリーに大きく影響している。気候変動により、人々は死への恐怖にさらされてしまう。しかし、政府は、一部の人間だけが生き残れるような方策を選択し、住民は激しく反発するが、破滅の時は近づいてくる…
結構お勧めできる本。
作者は2005年に亡くなられている。続編も執筆されているそうだけれど、まだ未訳とのこと。この本が売れれば、出版されるのだとか。読んでみたいな…
投稿元:
レビューを見る
休暇を過ごすため海辺の街を訪れた少年ドローブは少女ブラウンアイズと再会する。二人の恋と戦争の影、政府と人々の抗争、高官である親への反発。背景には、夏になると押し寄せる粘りのある海流や、他者の思念に感応する動物ロリンなどの不思議な生物。忘れられないひと夏の物語。