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青春SF小説の古典。切ない恋愛の細やかな心理描写、背景である世界設定のハードさ、どれをとっても一級品。何よりも一人の少年が一夏の間に女性との関わり、大人との関わりを通して成長する、教養小説であると思う。
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マイクル・コーニィ 1975年作品。サンリオ文庫でかつて出版されていたが、
このたび待望の復刊・新訳作として話題を集めていた。
14,5 歳くらいだろうか、主人公のドローヴとブラウンアイズの瑞々しい
恋愛譚を中心に、ひと夏の出来事が綴られている......という感じで2/3くらいまで
読み進めていた。が、しだいに怪しくなる雲行きに惹かれながら、ラストを迎えた。
前半に描かれるような具体的情勢に比べるとラスト間際の描写は曖昧な感じもする。
読者にそのあたりの読み込みをゆだねているようにも思え、
読み終えてもう一度そこだけを読み返さなくてはならなかった。
ただし、読み返す価値はある!!
これは深い。ラストの1行で救われた。鳥肌が立った。
文中で最後まで気になったのが、罵倒語の表記。
たとえば「なんてことだ」のルビに「ラックス」とあったが、これは逆のほうがいいし、
「氷結なたわごと」に「フリージングラックス」というルビもちょっと苦しいかも。
その罵倒語の元になった世界観の描写はとても面白かった。
なぜ異星人の住む惑星を舞台にしなくてはならないのか、
当初は少し変だなと思ったが、読み進めるうち、異なる世界を描くのに、
こんなにぴったりの手法はない。
読後感としては、トーヴェ・ヤンソンの大人向け小説「誠実な詐欺師」や、
バーコヴィチの「野うさぎ」を連想した。見たことも体感したこともない世界を思うとき、
行間を想像力で埋めてゆく。そんな作業がとても楽しい。
ブラウンアイズのかわいらしさや、若い恋人たちのさわやかさが、ちくりと刺すような
せつなさ、寂しさ、やりきれなさ(そしてラストのラストでのあの大どんでん返し!!!!)
と溶けあっている。そんな小説だった。
続編を期待しています。
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SFらしいSFだと感じました。普段はあまりSF読まないんですけどね。。
二国間の戦争と少年少女の恋の話だと思いきや、戦争どころじゃ済みませんでした。いやもう、まさかあんなところまでいってしまうとは!後半は意外な展開でした。主人公たちの行き着く先が物悲しかったです。タイトル通り、ハローサマーでグッドバイでした。でも、最後は・・・想像の中で無事にブラウンアイズと出会えたら良いなと思っています。
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夏休み。
きっと、私たちにもこんな、甘酸っぱい恋愛の記憶と冒険のスリルと理不尽な社会に対する反発で胸がいっぱいだった季節があった。
うそ、なかった。
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夏の別荘を訪れた少年のひと夏の恋物語であり、戦争と惑星をめぐるSF小説でもある。
全体として面白くないわけではないんだけど、読むのにやたら時間がかかった。なんというか、牽引力不足で、区切りがつくたびに本を置いてしまうんだよなぁ。SF古典ということで、読むのに集中力がいるせいかも。
ひと夏の恋物語として見ると、なんとも描写に欠ける気もするんだけど。
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SFで、恋愛で、青春で、ハローで、サマーで、グッドバイと来たら、おもしろくないわけがない!
ありとあらゆる要素が惜しむことなく盛り込まれ、そのスケールの大きさに圧倒されること無く、したたかに成長していく主人公。
凡百のライトノベルなどこの小説の前では粉々になって消滅してしまうだろう。
今まで読んだSF(そんなにないけど)の中で確実に一位だった。
もちろんこの小説はそうした矮小なジャンルなどやすやす超えてしまう力を有しているわけだが。
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素敵本!!
焦って先が気になる感じでもなく、展開が遅すぎてダレる感じでも無く、すんなりよめた。ただ後半はあまりにも展開が早すぎて、読み終えるのが勿体なかったなぁ~。ゆっくり読もうと努力したけど、直ぐに終わっちゃた…。
読後感は、ラストの絶望から希望へ切り替わった瞬間の二人の未来の可能性に心躍ったね。色んな思いと同時に夢が大きく広がる感じ。
主人公ドローヴとブラウンアイズ。二人が目を覚ますとき。再び恋に落ちるのだろうか?
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読んでください。
世界構築から、ストーリー、キャラ、甘酸っぱさ、悲しさ、弱さ、救い、すべて完璧です。
「SFは何でも書ける」は小松左京さんの言葉でしたか?
とにかく素晴らしい作品です。
SF読みでよかった(SF読みでない人にもお勧めです)。
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読むのに結構時間がかかった。物語の専門用語が多くて慣れるまで読みにくかった。
途中から急に面白くなる。あと、戦争の理由とかが明らかになってフェンスを境に主人公とブラウンアイズ(ヒロイン)が隔てられるところのシーンとか好き。
最後の退廃的なところとか「幼年期の終わり」に近いなと思った。SF初心者なので、適当ですが。
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太陽系外の地球によく似た惑星が舞台。
戦争・恋愛・身分、この3つのフレーズで大体のストーリーが予想できるかもしれないが、ここにSFという要素が絡んでくることによって、私たちの予想は大いに裏切られ誰もが驚くストーリーになる。
フリージング面白いが登場人物ほぼ全員がフリージング気に入らない。主人公とヒロインだけが良心。
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夏休暇をすごすため、政府高官の息子ドローヴは港町パラークシを訪れ、宿屋の少女ブラウンアイズと念願の再会をはたす。粘流が到来し、戦争の影がしだいに町を覆いゆくなか、愛を深める少年と少女。だが壮大な機密計画がふたりを分かつ…少年の忘れえぬひと夏を描いた、SF史上屈指の青春恋愛小説、待望の完全新訳版。
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夏の避暑地を舞台にした恋愛小説。まさにボーイ・ミーツ・ガールなので、甘酸っぱい気持ちになりたいときにオススメかな。舞台設定はSFなんだけど、ストーリーは恋愛小説寄りで楽しく読めた。
ちなみに、続編はあるけど翻訳されてないみたい。
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どうしてでしょう。
私には、この物語に魅力を感じることができなかった。
読解力が足りぬのか。SFが好きではないからか。
多くの人が絶賛し(?)、本にのめり込めなかったという人に対して、
もっと多くの本を読み、読解力をつけよと言う方もおります。
たしかにそうなのかもしれない。もっと本を読んだら、いつかおもしろいと感じる日が来るのかもしれません。
しかし、好き嫌いは人ぞれぞれでよいと思います。
さて、私の感想。
主人公の少年が、父親に反発心むきだしで、つねに挑戦的。反抗期なのでしょう。この反発心を文面で読むのがやや苦痛であった。何不自由なく働きもせず人が文句だけ言うということに。もちろん自分が子供であった頃を思い出せば、共感もできるが。父親も傲慢で鼻持ちならぬ部分はあるが、ある時、自分の言動の理由、地位、弱みをはっきりと息子に述べた。これは、実際に考えればとても勇気があり、誠実である。息子も親の弱さを知る日がくるだろう。
一般人と役人が死と安全に分かれる。理不尽で、悲しく、醜く。しかし、考えてみれば、今の世もこれに近い。金持ちと貧乏。格差。
架空の国の架空の話でありながら、きわめて人間くさくて現実社会のようだった。寒さがキーワードだからこその工夫ではあるが、罵倒する表現として「冷血野郎」や「フリージング」など頻繁に出てくる言葉に違和感。
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すごく面白かったです。
ヒロインのブラウンアイズがとても可愛く書かれていて良かったです。
最後の逆転劇も良かったです。
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SFらしい奇妙な味わいがありますが、10代の子達が成長する一夏の青春物としても読めます。
太陽フューを回って楕円形に軌道を描く惑星に住む少年達。
地球とは違うが、かなり似たような人間の世界が展開します。
エルトという国の中心地アリカから、避暑地のような別荘のあるパラークシにやってきた一家は、父親が役人。上流階級と両親は思っているが、大多数の人からは嫌われる結果に。
少年ドローヴは去年好きになった女の子ブラウンアイズと会えるのを楽しみにしていました。
去年の夏の終わりに、ちょっと口をきくことが出来ただけの仲。
このブラウンアイズがすごく良い子なんです。
酒場もやっている旅館の娘で、いわば下層階級。ドローヴの親はいい顔をしません。
何が起こるかわからない世界。
身近な人が突然狂気にとらわれたり、道ばたに生えているアネモネの木に取り込まれてしまったり。
なぜかアネモネという名前の植物がここでは木で、人の服を食べてしまうという…
ロックスというのが使役動物で、馬や牛やロバを合わせたような存在。ロックスがひくロックス車というのが走っています。
ほかにスチーム車や自動車(モーターカート)というのも。
ロリンという毛がふさふさしていて身軽な猿のような?生き物(猿とは一言も書かれてないけど)が半ば野生だけど、そこらにいます。ロックスと共生関係になるのか?寒さで立ち往生したロックスにまたがり感応力を使って誘導したりします。時にはロックスのように感じてか?苦しんでいる人を助けに来てくれたりする。
隣国というのか隣の大陸?アスタとの戦争が起きていると言うが、子供にはそんな実感はなかった。
親同士が認めたウルフという少年と、彼が連れてきたリボンという少女。ウルフは問題の多い性格で、リボンはお人形のように綺麗だがやや傲慢な所がある。
最初は彼らの強引さに押され気味のドローヴでしたが。
4人で小型スキマーに乗って赤い海へ乗り出し、冒険を楽しみます。
しかし、謎の事件が起こり、次第に町の人々の争いに巻き込まれていくのです。
そこには、恐ろしい秘密が…
少年の冒険がいつしか、一人前に現実的な対応を迫られることに。
SFならではの奇想天外な危機が訪れます。
無惨だけど、一筋の希望も。
少年の成長と共に、少女ブラウンアイズとの初恋が貫かれていくので、その辺に注目すれば心地よさは感じられます。
背表紙にアンドロイドと書かれていますが、作品中にはそんなことは書かれていないのが謎。
ヒューマノイドと作者前書きにはあります。これは人間タイプの異星人ということでしょ。
後書きには「エイリアンとの戦争」という言葉もあるのですが、エイリアン?そういう話じゃないような…?
というか、ここの登場人物達はみんな地球人ではない他の惑星のエイリアンですが。
1975年の作品。
この世界は1875年ぐらいの段階で進化している途中という設定だとか。もう少し後の感じだけど?