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昭和10年代から戦時中の、広島県に暮らす少女の日々の暮らしを描いた作品2冊目。
ここでは昭和18年から20年が描かれている。
少女はすでに成人して、人の妻として生きている。
が、天然さんなので(笑)大変な戦時中の生活の中に、楽しさを見いだしつつ(時々本人が笑いの種になることも(笑))生きているところが、とても好きだ。
当時の風俗…生活習慣や食べ物、当時流行っていたことを、織り込みつつ描いているので、今は失ってしまった自分たちのオオモトを見ることができるのもいい。
こうの史代は『夕凪の町 桜の国』ではじめて知ったんだけど、個人の皮膚感覚を大切にしていた描き方にほれてしまった。
この『この世界の片隅に』も皮膚感覚は生きている。
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(ネタバレ注意)
上巻から引き続き、
昭和19年7月から、20年の4月までの、
主人公すずの日常。
こまやかな描写で、戦時中の人々の生活がよくわかる。
軍港である呉への空襲も激しさを増しており、
読み手は、確実に「その日」に向かっているのを
意識せざるを得ない。
すずの実家は、家族は、南方へ出兵した兄は・・・
(兄はすでに戦死の知らせが届いているが
家族は誰も信じていない)
下巻は
「夕凪の街 桜の国」を超える1冊になるかもしれない。
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過ぎた事 選ばんかった道 みな覚めた夢と変わりやせんな
すずさん あんたを選んだんはわしにとって最良の現実じゃ
(第15回 19年9月)
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甘くて柔らかくて温かいもの。どうにも苦くて悔しくてやりきれないもの。空襲の空の下でも変わらない美しくて綺麗なもの。普通の生活。すずとリンのやり取りと不思議な縁と絆の贅沢なこと。
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フリーハンドで描かれる淡々とした生活の丹念なディテールに惹きつけられる。軍港を見下ろす我が家、呉、広島の街の景色と、そこに暮らす人々。本をめくるその1ページ1ページがそこに描かれている生活とともに愛おしくなる。
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こうの史代のこのマンガ、だいぶ前から「よみたいなあ」と思い、「買おうかなあ」とも思っていたが、いただきものの図書カードの残額がまだあるし、リアル本屋でみつけたらと思っていた。しかし、そう思ってから、なかなか本屋でみつけられず(駅前の本屋は、『長い道』が消えたあと、こうの史代作品がまったくない状態)、昨日ようやく実家の最寄り駅の本屋で3冊そろいであったので購入。
買おうと思っていたのに、タイトルど忘れ。「こうの史代の、上中下と3冊のマンガで、広島の呉が舞台の作品」と本屋の人にたのんで探してもらった。
戦中の広島、得意なのは絵を描くことと海苔をすくことだけという浦野すずは、軍港のある呉の北條家へ嫁ぐ。夢中になると、まわりのことをすぐ忘れてしまうすず、おつかいに行けば迷子になるすず、がさつともおおらかともいえる性格で、すずは日々を生きてゆく。空襲が頻繁になり、食糧事情はわるくなっていき…そんな昭和18年の暮れから20年に戦争が終わるまでの戦時の暮らしを、こうのはだらだらと描く。
戦死したという兄がおさめられた、あまりに軽い骨箱のなかにあったのは、冴えない石ころだった。その石を見て、すずの母はこう言ってのける。
冴えん石じゃねえ
せめてこっちのツルツルのんにしとこうや
やれやれ 寒い中 呼びつけられて
だいいちあの要一がそうそう死ぬもんかね
へんな石じゃ 帰ったとき笑い話にもなりやせん
(中巻、pp.104-105)
すずは、夫との帰り道「お母ちゃんがあんな具合では気の落としようもありやせん」とつぶやく。『ああ保戸島国民学校』の洋太の母のように、息子の戦死の知らせにショックを受けて寝込んだ母も、きっと少なからずあったのだろう。そして、すずの母のように、そうそう死ぬもんかね、やれやれと言った母もあったのだろう。
こうの史代が「戦時の生活がだらだら続く様子を描く事にした」(下巻、あとがき)のは、こんな母や、あるいは村の隣保館で行き倒れていた「どこの誰か顔も服もべろべろで判りやせん」姿であった兵隊さんが原爆にやられた「うちの息子じゃったらしい」「自分の息子じゃと気づかんかったよ うちは」と言う苅谷さんや、そんな人たちを描きたかったからかなあと思った。
配給帰りに迷子になったすずが、遊郭に迷いこみ、道を訊ねたときに、友だちになったリンさん。
子どもができたかと思いきや、栄養不足と環境の変化で月のめぐりが悪うなってるだけとがっかりしているすずに、子どもは楽しみかね、うちの母ちゃんはお産のたびに歯が減ったよ、しまいにゃお産で死んだよ、それでも楽しみなもんかねとリンは訊く。
出来のええアトトリを残すのがヨメのギムじゃろうと言うすずに、男が産まれるとは限らん、出来がええとも限らん、ヨメのギムが挫折したらどうなるん、とリンは言う。
うーーんと悩むすずに、「ああ でも」とリンはこう続ける。
子供は居ったら居ったで支えんなるよね
困りゃあ売れるしね!
女の方が高いけえ アトトリが少のうても大丈夫じゃ
世の中 巧うできとるわ
子供でも 売られても それなりに生きとる
誰でも何かが足らんぐらいで この世界に居場所はそうそう無うなりゃせんよ
すずさん
(中巻、p.41)
他のまんがもそうだが、こうのまんがには「ほとんどセリフがない話」が時々出てくる。『この世界の片隅に』でも何度か絵ものがたりのようなのが出てくる。それを、じーっとながめていると「まんがをよんでるなあ」という気分になる。
広島弁がなつかしい。
◆上巻の51ページまで"試し読み"
http://sokuyomi.jp/product/konosekain_001/CO/1
◆こうの史代の「平凡倶楽部」(まんが)
http://blog.heibonsha.co.jp/heibonclub/
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だんだんと、すずの周りにも戦争の色が濃く出始める。それでもまだまだ、ほのぼのした感じは漂ってはいるが・・・。
リンさんは、貧乏な子沢山の家に育ってなかったら、賢い妻、賢い母親、賢い女性として成功しただろうな・・・という感じがするね。あの時代、不幸な女性がたくさんいたんだろうな。
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日常と地続きの戦争。
秘密と邂逅。
誰しもが、選ばなかった道に対する想いはあるだろうけど、
今の道が最良と言い切る旦那さんのかっこよさときたらない。
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すずの旦那さんが、きりっとした人で好感が持てる。
顔も知らずに結婚してから、段々に愛を育てていくふたり。
こんな夫婦っていいなあ。
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戦時下の広島。描かれるのは、純粋で愛らしい少女すずの成長。
彼女の日常を追ううち、緊張がほぐれていくように穏やかな気分になる。
驚くような展開はないが、素敵な絵の一コマ一コマに感動する。文学のような緻密な美しさがあると思う。やはり暗さがない。
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昭和十九年を生きる普通の人たち。戦争は時代とともにそこにある。忍び寄る影というには、大きすぎる。かといって、どしんと真ん中にあるわけでもない。
本の中でも、海兵さんの水原に普通だなと言われるすず。普通っていいことだなあ、すごく。家を守ること、好きな人を大事にすること、そんな普通のことをできる普通のすずは、すごくいい。
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戦時中なのに、
そうは感じさせないくらいの普通の生活。
そして主人公の子のキャラがほわわぁぁぁんとしてかわいすぎるw
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こうの史代さんの新刊、購入。ただいま読んでいるところ。たしか、このシリーズが雑誌に掲載された頃に、ちらりと読んで、これは、単行本になったら、まとめて読もう、それまでのお楽しみ…と思っていた。昨年の今頃は、『夕凪の街…』が映画公開されていて、ブログの方に感想を書いた記憶。『夕凪の街…』が話題になって、その路線に近い大作の感じだが、こうのさんの持ち味は、とぼけた『ぴっぴら帳』とか『長い道』なども、いい味わいだと思う。さて、連載中に読んでいなかったぶん、『下巻』がまた楽しみだ。
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戦争モノ。
やわらかく、温かいタッチで淡々と描かれると、残虐に描かれるよりもグッときますね…。
漫画ですが、体験談エッセイのようにも感じる時がありました。
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主人公すずさんのとぼけたマイペースさが魅力です。
幼馴染の海軍兵とすずさんの会話はよかったです。
人によって「当たり前」や「普通」は違うけれども、それが似通っていて安心できるっていいですね。
今の世の中だって、「ヘンだな~」と思いつつしていることがある日常で、そういう場所(人)はあってほしいです。