紙の本
詐欺という名のショー
2008/09/23 15:33
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カフェイン中毒 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中年男+中年男+少女。
詐欺師+スリ。
そこから勝手に想像したのは、軽口の多い楽しい生活と、
3人の特性を生かした大きな詐欺計画の成功のようなものでした。
違いましたね、まったく。
一緒に暮らすことになった理由も、その暮らしぶりも、
むしろ緊張感あふれるもので、家族ごっこどころではない。
それぞれが背負った過去の重さに、あっぷあっぷしている始末です。
今の生活を脅かす過去を清算するため、もしくは親の仇うちに、
あとから転がり込んできたオマケ2人を加えて、大逆転劇をたくらみます。
詐欺計画そのものはどこかで見たようなもので、少々肩透かしを食いました。
しかし、風向きしだいで撤収すればよしという逃げ道のある計画ではないため(命がかかっている)、
見守るこちらにも力が入ります。
道尾秀介の作品なので、かならず大きなどんでん返しがあるのだろうと、
かなり構えて読み進めたところ、やっぱり!
故意に伏せてある事実で騙されるのは、じつはあまり好みではないのですが、
まあ、騙されたほうにあれこれ言う資格もないのでしょう。
この人の小説そのものが、毎回大仕掛けな詐欺みたいなものなので、
物語の中での「仕事」が小さく見えてしまうのも、仕方ないのかもしれません。
おもしろいキャラクターもいることだし、
それぞれがもっと生きる設定だったらと、ちょっぴり残念な気もします。
それでも、詐欺=爽快な物語というイメージを覆すだけの力はありました。
「詐欺師なんて、人間の屑です」
「最低の生き物です。自分は気づくのが遅すぎました」
その言葉は、主人公だけでなく、浮かれていた私の中にも鋭く突き刺さりました。
映画『スティング』でもそうでした。
ラストの見事な喝采で忘れがちですが、あれだって詐欺師の最期の悲しさが発端なのです。
それでも痛快極まる「騙し」は、私たちを魅了してやみません。
いわく最低の生き物たちの最高のショーを求めて、あらたな詐欺の物語を心待ちにするのだと思います。
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妻との関係、借金から身を持ち崩して詐欺師になってしまった男が二人。そこに女2人と変な男が一人加わって、物語は一気に加速する。人生を賭けた詐欺ゲームの行方を楽しむのだがこれが楽しい。嵌めたと思ったら、先読みをされていたり、偶然の出会いに支配された進行が実はて仕込まれていたりと、どこまでも読者をだまし続ける。
違和感がところどこに、この雑さはこの作家には珍しい。と思っていたら、全てが計算。どんでん返しが悔しいけど、楽しい。
人物描写もストーリー展開も俊逸。
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読んでいる途中ぽつぽつとあれ?と思う場面があったのですが、不自然な流れではなかったので読み進めていくと、結末にその答えがしっかりありました。ヒューマンドラマを描いた作品かと。
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最終章に至るまでは「えらいご都合主義のコンゲームやなぁ」というのが正直な感想。でも、最後の章で目から鱗が落ちます(笑。あちこちに仕掛けられた伏線を読み逃さず、あなたは真相にたどりつけますか?
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「こうしていると、家族みたいですよね」
という広告から期待していたけれど、擬似家族モノとしては今ひとつ。
道尾作品のトリックとしても、もうひとつ足りない。
物語はおもしろいし、すごく満足だけれども、期待していた分少し物足りない部分も。
向日葵、片眼並みの驚きを求めてます。
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またもやサイン本に食いつき、『story seller』を読んで以来、いつかは手に取ろうと思っていた道尾さんの作品を初めて読むに至った。
本編にも出てきたまさに詐欺師のような(良い意味で)小説家との前評判に終始疑りの目で活字を追っていたけれど、絶対これは見抜けないよ・・・。素晴らしい!!
読後感はこの伏線の回収だけではなく、前半に見られた惨さからの解放による暖かさ、人の持つべき在り方などからとてもすっきりしたものだった。
帯の「大丈夫。まだ、間に合うから。」ってのがこの小説を良く現しているなと感じる。
前半は、ただ面白い小説を読みたいならこれもいいかなとあまり評価できなかったけれど全てが伏線だったのだと分かった今は素晴らしい小説だったとただただ言うしかない。 カラスの苦労に気付けた気がする。
(2008.08.22)
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『流星の絆』でも違和感が残ったが、詐欺やローン返済にまつわるテーマは、ハッピーエンドでは終わらない現実の方に気持ちが傾いてしまう。
だから、軽い読み物なのだが心から楽しむことはできなかった。
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2月14日読了
ふたりの詐欺師がある日ある少女と共同生活をすることになり、そしてさらに人数が増え、彼らは過去と決着をつけるためにとある大きな計画をたてることに。。。
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伏線回収しすぎ。
主役二人のやりとりが神すぎる。
ラストがこれほどまでに心に残るのも珍しい。
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読み終えた後に
びっくりしました
騙されたのにあったかくなる作品でした
最近サギとか借金系の話ばっかり読んでる気がします(笑
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スリリングな内容で一気に駆け抜け、さらにどんでん返しが!!
途中ツライ部分と解けてない謎に、んん?と思ってたけど最後にスッキリしました。
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詐欺師の中年ふたりとひとりの少女。奇妙な同居が始まった。
ラストまで見事なオチでした。救いのある感じでほんとよかった…。辛いけど、最後はほんわりとした気持ちになれるお話でした。
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ふとした事から同僚の借金の保証人になったことで
返済に翻弄され、あちこちの消費者金融から借りるうち
思わぬ落とし穴に、会社も辞めざるを得なくなり
一人娘との平穏を取り戻すため
やがて、ヤミ金業者のヒグチという人物から取り立ての
仕事を持ちかけられ裏社会に身を落とした竹沢(あだ名:タケさん)
母子家庭の女性を自殺に追い込んでしまい心に負い目を感じ
挙句は、組織の機密種類を盗み出し警察に駆け込む。
捜査と摘発で壊滅するが、それによって、組織による仕業と思われる
報復で娘を死に追いやってしまうのである
そんな彼のアパートのドアの鍵穴に細工した事を見抜いた竹沢は、
同じ手口で錠の交換をさせ小金を稼いでいた常習犯と思われる
妻を亡くしたという鍵屋の入川鉄巳と出会うきっかけとなり
通称テツさんは、竹沢のアパートに転がり込むことに。
人生の辛酸を味わっている二人の中年男の前に、
スリで生活を支える曰くありげなまひろという少女が現れる。
スリが失敗した現場に遭遇し同業者のよしみなのか、
彼女を助けたことが縁で
家賃が滞り住まいを追い出される羽目になったまひろの同居人である
姉・やひろに、やひろの彼氏で売れないマジシャン・貫太郎と3人
が結局、竹沢のアパートに・・・こうして5人の奇妙な共同生活が始まるのである。
だが、摘発された筈のヤミ金のヒグチ、債務整理屋の謎の男など怪しい影がつきまとい
住まいを放火される、とか何者かがゴルフクラブを持って部屋に押し入るとか
危険な目にあい、怯える日々遂に、
彼らは、それぞれの再出発を決意し、リベンジに打って出ようと
アルバトロスという大胆な得意技を使った作戦を仕掛けるのだが・・・・。
世の中には、ファミレスとかで食事していてもメールをしてたり、それぞれが勝手気ままに
、他人のような家族があったり、だったら家族のような他人がいてもいいのではないか・・・と
この作品を描いた経緯を著者はあるTV番組で語ってた。
ちなみに、タイトルのカラスの親指について
カラスとは玄人、詐欺師のプロだという意味合いのことがラストで触れられる。
いくつもの伏線が散りばめられ一転、二転するドンデン返しに
ずんずんと惹かれていく。
古典的な詐欺の手口も読みどころかも。
HERON,BULLFINCH,・・・と各6章が英語になっていたり
テツさんが使う英単語や
登場人物たちの名前、詐欺に扮する際の名前がアナグラムという
まさにクロスワードパズルのような謎解きも面白さがあり
一つのキーワードになっている
読み終えて、結末の意外性に何だこれは・・と
狐につままれたように騙されていたことに気づくのだが
薫風のような心地よい読後感である
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☆4点! 相変わらずうまいですね〜。後半の詐欺を仕掛けるところの読み応えが! ぐいぐい行きました。
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なんとも…すっきりしたのかしないのか…しっくりこないと言うのが読み終えた正直な感想。
ストーリーはさまざまな付箋によって「ああ、なるほど!」と読み勧めるのには、面白かったのですが、まったくの凶悪ストーリーならば割り切れることも、“善人だけど仕事は詐欺師”というのが全編にわたって私の中にわだかまりとしてあったのです。
最終的には、大どんでん返しによって、美しい結末で終わるりストーリーも、ドラマとして「できすぎだろ!」と思うのはスッキリ系でいいとしても、
それでもやっぱり詐欺師じゃん…と…真面目すぎ?笑
テンポ、展開はすごくよかったので、高い評価を…とも思うのですが、どうしても “悪者になりきれなかったけど詐欺師だった過去” にマイナスかな。
主人公のタケさんも「どうにもひっかることがいくつかある。」と言っていましたが、私も同じく!です。
これが本物の悪党物語なら、行け行けどんどんなんだけど…でも、それじゃあこの物語そのものが成立しないのね。
ん〜どちらを評価すべきか、それが問題だ。