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昭和初期の日本陸軍に作られたスパイ養成学校の話。
発案者である結城中佐の下、任務を遂行する彼らは何を思うのか。
あまりに完璧すぎて、非現実的に感じた。
訓練期間の描写があったなら、説得力が増したかも。
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スパイ養成学校、そして結城中佐。
この設定が凄い興味深く感じられたのですが…小説として、描ききるのは、この短編集の内容じゃ、ちょっと物足りないなぁ。(*_*;
結城中佐という人物に、もっとスポットライトあてて欲しいかも。
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陸軍スパイ養成機関を舞台とした短編集。私には信じがたいような体力と知力と精神力を備えた人々が、自己に対する信念だけで任務を全うするストイックな状況。人間としての甘さや感情をすべて越えたところにいる彼ら。何も信じられない世界で認識するものは、「自分」でしかない。ジョーカーゲームの駆け引きを楽しめるほどになるには「こだわらない」ことに「こだわる」しかないということか。どこか劇画っぽさもありながら、昭和のまったくの闇を感じる面白い作品だった。
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伊坂幸太郎さんが推薦文を書いてたので気になってて、
あと表紙に書かれてる人がスト?のヴェガに似ててかっこよくて、読んでみた。
いやー、面白かった。
けど、まぁまぁともいえる。読みやすい。読みやす過ぎて軽い。
でもスピード感があって続きが気になってページをめくる手が止まらなかった。
D機関に所属する訓練生は1度読んだ文書は一言一句間違えずに覚えていられるとか、
2日もあればある1人の人物に完璧になりすませるとかが
出来て当たり前というような化け物の集まりで、およそ優秀にはほど遠い自分にとっては
「ほぉーんとかよぉー!?」
と疑う感が否めない面もあったけど、まぁ小説だし。
それぞれの話はそんなさまざまな訓練生がそれぞれ主人公となって進むわけですが、
読んでていいなぁと思ったのは、主人公であるスパイが徹底して目立たないように仕事をしている点。
個人的に好きなのは他の話とは毛色が違う気がする最終話「XX ダブルクロス」。
「スパイは疑われた時点で終わりだ」という結城中佐の教えのもと、別人になり済まし、
誰にも気付かれず疑われることなく、必要な情報を探り出し、探った痕跡も残さず消して去っていく。
そんな任務を繰り返すこなす。
自分がどれだけすごい仕事をしても知られるわけでもなく、功労を称えられるわけでもない。
そこにあるのは孤独、だと思うのですが、訓練生はまるでゲームのように仕事をこなしていく。
彼らを仕事に駆り立てる理由を、「ダブルクロス」の主人公である飛崎は自負心であるという。
「自分になら、この任務を遂行することが出来る」
「この程度のこと、自分は出来なくてはならない」
そういう、手に負えないほどの自負心だ、と。
名誉や名声を得られない任務に求められるのは、究極的には、そういう自己満足なんだろうなぁ、
と思うととても納得した。
結局飛崎はD機関を辞めるのだけど、でもそれは飛崎にとっては自負心なんかよりも
大事な捨てきれない感情があることに気付いたからで,その人間臭さにとても魅力を感じた。
最後に飛崎に向けて言った結城中佐の言葉も・・・・!かっこ良かった。
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既読。
舞台は戦前日本、D機関と呼ばれるスパイ組織の話。
陸軍中野学校のようなものかと手に取ってみたら、ずいぶんスタイリッシュな文体で驚いた。
雰囲気や空気はだいぶ軽く、さらりと読める。
もし続編があるなら、戦後の結城中佐の話を読んでみたい。
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大日本帝国陸軍内に作られたスパイ養成の‘D機関’。敵を殺す事と自分が殺される事が大前提である軍隊の中で、魔王と呼ばれる結城中佐は「殺人と自死は最悪の選択肢」「スパイとは見えない存在であること」「何にもとらわれない事」を訓練生に徹底的に叩き込む。人並み外れた頭脳と能力をもスパイ達は「任務への忠誠心」も「愛国心」も持たず、ただ「この程度の事は自分にならできるはずだ、できなければならない」という強烈な自負心のみで困難な任務をこなしていく。東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる2重3重の騙し合い。5編の短編集に収められた軽く楽しめるスパイミステリー。
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陸軍D機関。結城中佐(元スパイ。拷問により足をひきずって歩く。白手袋の下は義手)が率いるスパイ養成機関。陸軍以外から優秀な人材を募集。
何をしても名前は残らないが、自分しかできない任務への自尊心のかたまり。軍服での出入り禁止。髪が伸びてから出ないと着てはいけない。
同期意識もなし。互いの本名も知らない。卒業による別れも突然。二度と会うことはない。
ジョーカー・ゲーム
親日家ジョン・ゴードンにガサ入れする憲兵ばけたD機関。証拠がでない。陸軍出身の佐久間は切腹を約束。本当にするつもりだった。
証拠は天皇の写真の裏側。最初に捜査に入った憲兵が探さない場所は、天皇の写真と知っていた結城。憲兵が自分達のミスを押し付けるのを逆手にとった。
ゴードンは二重スパイに仕上げる。
ジョーカー・ゲームは彼らのする複雑なゲームの名前。いかさまOKのポーカーで、カードの種類を盗み見る仲間が敵or味方かを楽しむ。
ゴースト
イギリス領事にスパイの疑い。情報の受け渡し場所、すべてに現れていた。テーラーの店員として潜入。領事のチェスの相手になる。証拠がない。
チェスの手筋から性格を判断しても、スパイには不向き。
イギリス領事館に憲兵が化けた男が来た。2週間の期限前に領事館に忍び込む。金庫を開けたが日記だった。成り上がり日記。
汚い金儲けと上流階級への罵倒。
報告の際、結城中佐が杖を持ち替えたのを思い出す。杖の取っ手を中に反日中国人達が情報伝達に使っていた。シロだった。任務完了。
赤紙を理由に別れを告げる。
婦人は帰国を希望。夜中に音もなく動き回る男を幽霊を見た。
ロビンソン
結城中佐から、任務の前に渡されたロビンソン・クルーソー漂流記。ロンドンでの船中に読むが意図不明。スパイとしてつかまり尋問される
外交官が女スパイにばらした。拷問はなかったが自白剤を飲まされる。二重スパイを持ちかける。脱走を試みる。トイレに行った時にあいた扉から
建物の通路等を把握。トイレで兵士を倒し逃げる。あるべき所に扉がない。マークス中佐の罠だった。ワザと扉を開けたのだ。万事急須。
♀マークの扉を発見し、隠れる。敵が入ってくるが、見逃して出て行く。地図を置いていった。スリーパーだった。
♀は錬金術で美の女神の意味。ビーナスは第六日目=金曜日。自白剤を飲まされても、わからない情報伝達手法。すべては結城中佐の仕込み。
外交官がセックス・スパイに情報を流すのも予想ずみ。D機関の予算どりの為の茶番劇だった。
魔都
上海に派遣。及川憲兵大尉より内通者の捜査を依頼される。極秘調査。前任者は射殺されていた。及川の家が爆破される。複数の焼死体が発見
自分記者の塩塚(D機関)が情報をくれる。帝大の優秀な同期草薙が、D機関として上海で諜報活動をしている。写真をわたされる。
夜の街で草薙を発見。追跡。ダンス・ホールに入る。奥の扉に消える。入る時に金を渡そうとするが、ポケットにあるコインを渡した。
中は高級カジノ。働くのは女装した美少年達。及川大尉が美女を抱え酒をあおり賭博に興じていた。
押収した阿片を流すこと���より。快楽に溺れていった。気づいた部下を殺す。手を下したのはカジノの美少年。家を爆破し焼死体にまぎれこます
すべては及川大尉の仕業。部屋に行き問い詰める。拳銃を向けられる。後ろから、入ってきた上等兵が大尉を打つち、自殺。
殺された美少年は上等兵の恋人だった。
XX
二重スパイの嫌疑をかけていたが死んだ。ワインに含まれた青酸カリで死亡。本人直筆の遺書もある
結城中佐「自殺の可能性は?」D機関による捜査直前の死だった。死はスパイにとって最悪の選択。
20人以上の女性関係。アリバイを調べろと指示される。その女のアリバイを崩す。自分の後輩の女優との関係に嫉妬して殺した。
女は自分を育ててくれた近所の女性に瓜二つ。
両親に見捨てられ祖父母に疎まれた。陸軍幼年学校ではつねにトップ。上官のあまりに無謀な命令に対し、意を唱える軍法会議に。
最前線への異動。死を意味していた。結城中佐のD機関に拾われる。
D機関に女がいない理由。女はすぐ殺す。スパイは殺してはならない。
しかし、すべてを捨てられない。D機関を辞す。結城中佐が初めて本名で声をかけられる。「死ぬなよ」
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上海、魔都、ドイツ、スパイ、のキーワードを見て買わぬ訳にはまいりません。
思った通り面白かったよ……最後の話のラストには「うああああ」ってなりましたが。
切な過ぎる。スパイ止める=死とは……なんとも…。
華音は佐久間さんが意外と好きです。
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結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校“D機関”。「スパイとは“見えない存在”であること」「殺人及び自死は最悪の選択肢」。これが、結城が訓練生に叩き込んだ戒律だった。軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、当然、猛反発を招いた。だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く「魔王」―結城中佐は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を挙げ、陸軍内の敵をも出し抜いてゆく。東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる最高にスタイリッシュなスパイ・ミステリー
スパイ養成学校という舞台設定から、長編で重い話を想像していたのですが、予想に反して短編で割りと軽いタッチだったので読みやすくて面白かったです。この本を読む限りでは、スパイにはなりたくないなぁと思いました。こんな高いプライドはいらない・・・続きがあったら読んでみたいですね。
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連作短編のため、ちょっとあっさりしているかも。「XX」のラストが好きです。
結城中佐をメインにしたお話をもっと読みたい。
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やっと読めたー!そして面白かったー!!COOLでエンターテインメントなお話だった。こんな超人ばっかホントにいるんかい!と思ってしまうことも時々あったけど、でもやっぱりカッコイイのだ!装丁・装画もカッコイイしね。全話好きだけど、特に「ロビンソン」が好きだなぁ。結城中佐の「魔王」ぶりがよく伝わった1篇。ミッションの真の狙いが分かったとき、ゾゾッとしてしまった。
しかし、余談だけど、この本の中で結城中佐が繰り返す「スパイは殺さず死なず囚われず」と照らし合わせると、007のボンドなんか失格中の失格なんだろうなぁと思うと、ちょっと可笑しかったです。派手にドンパチやって超目立ちまくりだものねぇ…(笑)
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普通に面白くてイッキ読みしました。非常に現代的な印象を受けるため、どうしても戦時中の話とは思えなかったですが。
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「取り込み」の基本は、飴と鞭。
相手の弱みをつかみ、それと引き換えに“ささいなこと”を要求する。
自分で盗むのは駄目だが、盗みに入るタイミングを教えるのは構わない。
食事に毒を盛るのは駄目だが、睡眠薬を入れるだけならやってもいい。
自分の手で人を殺すことはできないが、見殺しにするのはかまわない・・・・・・
圧力と報酬のバランスが問題なのだ。 (本文より)
スパイものの小説を初めて読みましたが、すごく緻密な内容で驚きました。
読み始めるとすぐに引き込まれ、気持ちは昭和初期へ。
古い時代の内容で、時代背景もしっかりとしているのにとっても新しい感じを覚えます。
「スパイ」に対して持っていた価値観が一気に覆される1冊です。
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☆4.5くらい。文庫ばかりで書籍の形で買うことはほとんど滅多にないのだけれど、就活で本屋大賞をネタにしているので(突っ込まれたことは一度も無いけど)一冊くらい、と思って選んだジョーカーゲーム。桜庭一樹のときにも思ったけれど、カドカワのセンスはかなり良い、のかもしれない。勿論装丁だけではなく中身もスタイリッシュ。
スパイ小説、そして☆のうちの3.5くらいは結城中佐。結城中佐のあの存在感はなんなの!彼の話をもう少し読んでみたい、というだけでシリーズ化を熱望します。でも彼は語られたらきっとジ・エンド。結構重くてゴリゴリした話なのかなーと思ったら連作短編でした。どれも様式が違い、主人公――と言っていいのかわからないけれど、人物が異なり、けれど「D機関・スパイ」という軸だけがかっちりとあるのでブレない。読書の楽しみが詰まってる気がする。あ、ミステリー扱いですが謎解きミステリーじゃないです。犯人を捜す物語ではなく、スパイを味わう物語です。いやもう楽しかった。うん、純粋に「読みたい!読み終わりたくない!」という気持ちだけでページを繰っていた気がします。
読後感は池袋ウエストゲートパークに似てる。ただIWGPの方が甘いかな。
もう小学館でコミック展開決定してるし、平台映えする装丁だし、既刊もあるし……で賞を獲ったらちょっとしたムーブメントが起きそう。女の人は好きじゃないかな。
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『ジョーカー・ゲーム』
アメリカ人商人ゴードンにかけられたスパイ容疑。D機関と参謀本部の連絡役としてD機関に出向した佐久間中尉。ゴードン宅の捜索の隊長として出動するが・・・。参謀本部・武藤大佐の陰謀。2度目に捜索の秘密。憲兵隊が捜索しない場所の秘密。
『幽霊』
捕まったテロリストの証言で爆弾テロ計画の主犯の疑いをかけられた英国総領事グラハム氏。グラハム氏を調べるためにチェスの相手として潜入した蒲生。クロの可能性をゼロにするために屋敷に忍び込む蒲生。連絡役の秘密とグラハム氏の日記に隠された秘密。
『ロビンソン』
新任の外交官がスパイに漏らした情報の為捕まったD機関のスパイ伊沢。取り調べに自白剤を使われる。彼が読んだ『ロビンソン漂流記』の秘密。
『魔都』
上海の憲兵隊・本間軍曹に託された任務。憲兵隊内のスパイ狩り。本間の上司である憲兵隊長・及川大尉の自宅爆破。中国寄りのイギリス警察の捜査。本間の元捕えた新聞記者の証言。及川大尉の私生活に隠された秘密。
『XX』
ドイツの二重スパイであるシュナイダーの張り込み中にシュナイダーを殺害された飛崎。自殺と思われた事件の裏に隠された秘密。シュナイダーの愛人の証言に隠された謎。
2009年2月14日購入
2009年3月18日初読