紙の本
スパイに会ったことが無いんで、実際のところわからないんですけどね
2008/10/06 15:22
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kako - この投稿者のレビュー一覧を見る
普段は読み応えが無いので短編小説は読まないのですが、息抜き程度と手にとってコチラを読んでみました。
この一冊で5編入っていて、全体で小一時間くらいで読み終えるくらいの軽さです。
短編小説はそれぞれが少しずつ重なっていって最後に結びつく形のものが多い中、これは完全に独立したストーリーとして成り立っていて、一遍一遍それぞれ違う人物、違う場所で話が展開されています。
本当に時間がちょっと空いた時に読むのには最適ですね。
登場してくるスパイ達がかなり現実離れして見えるので、ハラハラドキドキするスパイものというよりも、単純に「おぉ、格好いい~。」と楽しむ感じでしょうか。
中途半端なキャラクター設定よりも、『現実にはいないでしょお~』と思ってしまうくらいいってしまったこの結城中佐の人物像が物語を楽しくさせてくれます。
といってもスパイなんて実際に見たこと無いんで、本当にこんな人がいるのかもしれませんが・・・。
紙の本
迷いもない、能力のみという特殊な人間たち
2009/03/28 16:37
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カフェイン中毒 - この投稿者のレビュー一覧を見る
自らのスパイ経験を活かして、陸軍内の養成学校“D機関”を率いる結城中佐。
その第一期生たちの活躍が、5つの短編で綴られます。
スタイリッシュなスパイ・ミステリーとあるように、派手さはない代わりに禁欲的で美しい。
あまりにも美しすぎる、いや、有能にすぎるのでは……と思いながら、
よく考えたら、現実のスパイ稼業の実態など知りもしないのでした。
007シリーズのような特殊なものはともかく、
スパイものの醍醐味といえば、目立たず、ひたすら任務の成功のために邁進することだと思っているので、
出来すぎの感があるとはいえ、楽しく読むことができました。
仲間にすら本当の自分を知らせることができない、まさに孤独を抱えたままの人生。
当然、迷いがあって務まるものではありません。
何かにとらわれていてもいけない。
実務的な能力だけでなく、心の問題をクリアしたものにだけ与えられる任務。
少なくとも、結城中佐が育てようとしているのはそういうスパイたちです。
同じように学び能力を発揮できても、心の部分という最後の適性で躓き、
任務につけない(スパイになれない)人もいます。
その葛藤を描くものあり、淡々とスパイの日常と任務遂行を描くものあり。
あまりにもあっさりしすぎている部分も含めて、スタイリッシュなのかなと解釈しました。
できることならもう少し読みたい。
5編にまとめたのも良いけれど、続きや長編が出るならそれも気になる。
そういう感触が残りました。
その際には、人間離れした技や能力も良いけれど、
人間ならではの苦悩もいい感じに描いて欲しいなと思うのは、欲深いのでしょうか。
紙の本
精鋭スパイたちの奮闘
2010/02/11 16:52
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ロンタス - この投稿者のレビュー一覧を見る
スパイものなので、長い小説なのかな?と思いましたが、思ったより早く解決される五つの話で構成されています。どの話にもでてくる元スパイの結城中佐、その結城中佐率いる精鋭のスパイたちの話です。それぞれ優れた能力の持ち主のスパイたち、それでも彼らに様々な困難がやってきます。どの話も結末が読めず、気づいたら、話についていくような感じで最後まで読んでいました。続きがでているそうなので、ぜひ読んでみたいです。
紙の本
本屋大賞を見て、読みました。
2014/10/31 22:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:shingo - この投稿者のレビュー一覧を見る
本屋大賞を見て、読みました。
スパイの短編集。読みやすく、短編として纏まっています。ただ、結果的にスパイが無敵すぎるせいか、読後感がいまいちでした。
投稿元:
レビューを見る
密度の濃いスパイミステリーです。要素が綺麗に組み込まれているというか、要素しかない。のに凄く自然。初読では『XX』(ダブルエックス)がお気に入り。再読するぞ!
投稿元:
レビューを見る
第2次世界大戦前夜の日本で、極秘に設立されたスパイ養成組織「D機関」。そこに君臨する「魔王」こと結城中佐と、彼の部下たるスパイたちの活躍を描いた短編集。
何時代のどの国を書かせても、やっぱり柳広司はさらっと上手だよなあ。
いかにもありそうな世界観の構築と、魅力あるキャラクターの描写の両方が、押し付けがましくなくさりげなく、かつ安定していて素晴らしい。
それぞれの話にスパイ小説らしい緊張感があって、「日常ミステリ」を読み飽きた人にはおもしろいかも。
5つの短編のうち、「D機関」や結城中佐以外にはとくに連作になっている要素はないので、時間がないときにも気軽に1話ずつ読めます。
私的にはもう少し連作短編集と呼べる面があれば読み応えがあってよかったかも、と思う反面、
このあっさりと淡々としたところが、いかにもこの本において語られるスパイらしくていいのかもしれないとも思いました。
★
死ぬな。殺すな。とらわれるな。
結局のところ、優れたスパイとは、己以外のすべてを捨て去り、愛する者を裏切ってなお、たった一人で平気で生きていける者たちのことなのだ。
投稿元:
レビューを見る
表紙の人物は結城中佐。しかし,この新作にキレは見られない〜日米開戦前。結城中佐の作ったD機関は,諜報戦の重要性に鑑みて極秘に活動する。日本通のイギリス人が御真影の裏に隠したマイクロフィルムを探し出し,横浜に住む英国総領事が持ち歩く傘の柄の内部の空洞が暗号文を入れる器に使われ,ロンドンで写真館を営む人物に化けたスパイが検挙されそうになり,上海の憲兵隊に潜む内部スパイを追い,ゲシュタポに属するドイツ人新聞記者にして独ソの二重スパイ殺害の謎を追う〜非常に残念だなあ。現実のスパイって地味なんだろうし,誰も信用してはいけないんだろうし,そりゃあ寂しいモノだろうぜ。突き詰めていくと,小説にし難い材料だ。ま,今回は陸軍中野学校というテーマ選択を誤ったってことで諦めましょう
投稿元:
レビューを見る
小気味いい。
嫌いじゃない。むしろ面白い。
スパイの側から見て、の物語。007的な派手さはないけど、興奮は覚えるお話。
かって損はないのに★三つなのはもうすこしボリュームとか読み応えがあってもいいと思ったから。
面白いんだけどなー。
このごろ京極作品ばっかりに没頭していた反動かも。
投稿元:
レビューを見る
ダ・ヴィンチ2008年11月号
「今月のプラチナ本」
「このミステリーがすごい!2009年版」第2位
「週刊文春」ミステリーベスト10 第3位
「ミステリが読みたい!2009年版」第8位
「2009本格ミステリ・ベスト10」第12位
2008年12月11日(木)読了。
2008−117。
投稿元:
レビューを見る
ちょっと「スパイ・ゲーム」を思い出した。
スパイ養成学校、通称「D機関」で学ぶ者達の物語。
連作になっていますが、通しで出てくるのは一人しかいなくて、なかなか面白かったです。
アニメ化を機に再読。
投稿元:
レビューを見る
贅肉をそぎ落とされた端整な文章でサクサク読めました。気づくと目が文字を追ってる感じ。短編の中では「魔都」が好みでした。どうも「記者」という肩書きに弱い。うさんくさいの大好きです。トリックはともかく、「ダブルクロス」のラストの余韻にしびれました。かっこいい!魔王結城中佐の現役時代を長編でガッツリ読みたい今日この頃。
投稿元:
レビューを見る
スパイものの短編集。
養成に至るまでこれほどまでの能力を問われるのかとまずその点に驚く。
短編だが、読み応え充分だった。
投稿元:
レビューを見る
水を打ったような静寂と張り詰めた糸のような緊張。
騙されまいと思っても、いつの間にか結城中佐の掌の上で踊らされている私。
短編だけど、重厚。短編なのに、読み応えアリ。
続編出てくれたらいいなぁと密に期待。
投稿元:
レビューを見る
帝国陸軍のスパイたちのお話です。
帯に「徹夜本」と書いてありますが、読みやすいので徹夜しなくても一気にいけてしまった!
作中で何度も「スパイは地味な存在だ」と書かれてるので、地味なお話……かと思いきや、非常にがっつりエンタメ小説でした。
福井晴敏好きな人は、楽しめるんじゃないかなと思います。
いやー面白かったです。
投稿元:
レビューを見る
ずいぶんカッコイイ表紙だなぁと表紙買いでした。
面白かったです。
スパイ、という職業(?)に対するイメージががらりと変わりました。
派手なアクションは何一つとしてないけれど、陸軍の閉塞感と、その中でさらに薄氷の上を歩くようなスパイたちの攻防は十分スリリングでした。
顔が見えない面白みと、偽名だらけの仲間とも呼べない同僚達。
短編集ということもあり、もしかしたらこの作品の彼とこの作品の彼は名前は違うけど同じ人間なのかもしれない、という想像力も逞しくなる作品です。
そしてその中にあって、全ての物語に普遍的に登場した結城中佐の厳然たる存在感は強烈でした。
ただ、帯が、な……
いや、宣伝なんだから目を引いたもん勝ちなのかも知れないが、
帯に寄せられているコメントがほとんど徹夜明けのテンションだったのには怯みました…(苦笑)
そこまで大仰な装飾も、乱舞するびっくりマークもこの本にはいらないと思うのよ。
正直、この本に引力感じる人は、表紙だけで十分だと思う。