紙の本
ドロドロした部分が
2015/06/02 21:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:レオボー - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリーというよりは人間ドラマの要素が強いと思います。
人間のドロドロした部分が浮き彫りになっていく感じです。
読み終わってすっきりとするような物語ではありません。
投稿元:
レビューを見る
連城三紀彦の名前と、表紙の写真の美しさに惹かれて買った小説。
聡子が歯科に娘を連れていくため、家を空けたその一時間半のあいだにそれは起こった。
留守番として義父と共に家に置いていった姪が、何者かによって殺され、庭に埋められていたのだ。
警察は痴呆も激しく攻撃的な義父に疑いの目を向けるが、一方で若い男を見たという証言も出てくる。
さらにこの殺された姪は聡子の妹・幸子と聡子の夫との不義の子であることがわかり、家族の誰にも動機があることが明らかになってくる。
犯人は義父か、若い男か、幸子か、その夫か、それとも聡子か、聡子の夫なのか、はたまた他の誰なのか。
くるくると新しい像を結んでいくストーリー展開は見事。
かなり早い段階でひとり目が自首してきたので、これは何かあるだろうなあと勘繰っていたら案の定、真犯人はこの人、いや違うこいつだと、疑いがたらいまわしに。
幸子や聡子が言った「いいのよ」は、プロバビリティの犯罪だなあ、しかし何かもやっとして終わるな・・・、と思っていたらその先にもう一段階あって、最後はものすごく綺麗にオチがつけられていました。
さらに同時に、この物語の人々はそれぞれ矛盾した発言をしているけど、彼ら自身の中ではそれが疑いようのない事実であって、どれも間違いなどではないんだな、ということを痛感し、改めて「客観的な事実」などという言葉の空々しさを感じました。
投稿元:
レビューを見る
登場人物それぞれの真相が違っていて、まさに「藪の中」状態で話が進むが、読者にはじわじわ事実が見えてくるという変わった構成。ただ人間のいやらしさに少し辟易する。
投稿元:
レビューを見る
時計の針がちょうど一時を告げた。
最後にもう一度やはり直子も連れていこうかと迷ったものの,結局は時計の針に押されるように佳代の腕だけをとり,直子を老人のそばに残して家を出たのだった。
数時間後,夜が始まるころには『事件の現場』と呼ばれるようになるその家をーーー。
(本文p.33-34)
投稿元:
レビューを見る
次々に明かされる真実!!
で、なにが本当かわからなくなります。
最後までわかりません。
とても面白かったので、みんなにおすすめしたいです。
投稿元:
レビューを見る
独白。。。
語る本人だけが信じる事実。
騙る本人だけが知る真実。
ある家族を襲う一つの事件と独白の果てに見える真実。
まばゆい白光の向こうにあるものの正体とは?
連城三紀彦が魅せる幻惑の超大作、お楽しみください。
投稿元:
レビューを見る
白光
怖い。やっぱり怖い。連城氏は人の心理を倫理に捕らわれず真っ正面から見ているように思います。「恋文」のように切なく悲しくも書けるし、この作品のように現実と本人から見たことの差まで描くこともできる。だんだん人間不信にまでなりそうな恐怖。けど、それぞれの行動理由はひどく切実だし、必要なことだったりするんです。自分が登場人物の誰であっても、きっと他の行動なんてとれない。それがどんなに辛い結果を生むとしても…。家庭内の事件で絶望までも書ききる。二転三転する状況以上に、それぞれの「罪」の重さに引き込まれた作品でした。
投稿元:
レビューを見る
登場人物たちの邪な思いが交錯する様子にくらくら。一見「狂気の物語」のように見える本作。けど実は、かなり本格度の強いミステリじゃないかな。後から考えると、しっかり伏線も張られていたし。
二転三転する犯人像、そして動機に翻弄されていると最後で絶句。結局「真犯人」は誰だったのか……最後の最後まで気が抜けない作品。もちろん「犯人がわかってそれで終わり」というわけでもない。重い。
投稿元:
レビューを見る
一つの事件が様々な視点から語られる、その人物だけ知る事実と己の感情。人の負の部分が強く描かれ、その余りの強さにそこに輝きを感じてしまいそうになった。
重圧な一冊。
ストーリーも一貫された空気と纏まった展開で素晴らしくよく出来たミステリーのように感じました。
個人的な話ですが、京極夏彦の描く作品(「死ねばいいのに」を描いた際の京極)とよく似ていて、若干の仏教めいた臭いをスパイスに交えるとこのような結末(少女)に辿り着くのだろうか…感じました。京極の方がポップですが。
投稿元:
レビューを見る
少女を殺したのは真の犯人は誰なのか。家族全員に殺意があり、衝動があることが、章毎に登場人物の視点が変わることで徐々に明らかになっていく。
文章も読みやすく、物語のプロットも面白いと思う。だが、同じ描写の繰り返しが多すぎて途中で飽きてしまい、なかなか一度に読み進められなかった。それに、理由は違えども、一人の少女の存在を皆が皆、疎ましく感じ、殺害されて然りと少なくとも一度は考えていることなど有り得るのだろうか。もし、このような家族によるこのような事件が実際にあるのだとすれば、これほどまでに虚しく救われない話はないと思う。殺された少女があまりにも可哀想だ。
投稿元:
レビューを見る
連城作品、初めてでした。
長男に勧められて読んでみることに…。
登場人物がそれぞれの心情を告白する方法で表現されていました。
読者としては、二転三転する告白に騙されながら、どんどんはまってしまいます。
ちょっと重い内容ですが、他の作品も読んでみたくなりました。
投稿元:
レビューを見る
ドロドロした人間模様。 心の闇。 理不尽な殺人。
そんな小説が読みたくて、この本を選んだ。
「真犯人は一体誰なのか!?」
登場人物全員がそれぞれの「独白」という形式で語られ
真相が二転三転していく。
だから一体 誰が犯人なのよーーーー!
憎悪や嫉妬、我儘、家族の崩壊...
自ら望んで読んだが、読後はどんよりした気分に。
***********************************************************
内容(「BOOK」データベースより)
ごく普通のありきたりな家庭。夫がいて娘がいて、いたって平凡な日常―のはずだった。
しかし、ある暑い夏の日、まだ幼い姪が自宅で何者かに殺害され庭に埋められてしまう。
この殺人事件をきっかけに、次々に明らかになっていく家族の崩壊、衝撃の事実。
殺害動機は家族全員に存在していた。真犯人はいったい誰なのか?
連城ミステリーの最高傑作がここに。
投稿元:
レビューを見る
事件に絡む人物たちの壊述によって二転三転する真実。 壊述ゆえに、思考の軌跡が細かに綴られる。それにしても、救いがない…。読んでて、苦しい。
投稿元:
レビューを見る
ごく普通の平凡な二つの家族が、一人の娘の死をきっかけにそれぞれの事件や家族に対する考えを吐露していく物語。一人ずつ自分の考えを告白していくと事件の真相は思わぬ姿をあらわしてくる。
一番安心できる相手である家族が、本当は何を考えているのかわからない恐怖がじわじわくる物語でした。告白する者によって事件の真相がコロコロと変わっていく間ずっと、作者に騙されてるなぁ感を味わうことができました。
投稿元:
レビューを見る
各所でおすすめされていたのを知り読んでみた。
が、本当に救いのない話だった。殺された女の子が不憫でならない。
どこまで読んでも犯人がすっきりしない。
すべての登場人物が犯人でもおかしくない。
読んでいて苦しい。
惹きこまれたが、おもしろい話ではない。
評価が難しい作品だと思う。