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読んでいて厳粛な気持ちになる一冊。
戦争の最前線が、どんな地獄になるのかを克明に描写していく。
おびただしい死と、だんだんと理性と正常な感覚が擦り切れていく様子が心胆を寒からしめる。
日米両軍の兵士に哀悼を。
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作者がペリリュー島と沖縄で経験した第二次世界大戦を綴られています。士官になるべく志願したが前線の兵士となる海兵隊の訓練へと進んでいき、ペリリュー・沖縄の前線で経験する日本兵との死闘がリアルに表現されます。バンドオブブラザーズの様にアメリカでTVドラマ化されており小説を手にしました。
この本は、ドラマ化の原作というか原案で、別のスティーブンアンブローズの息子による小説がザ.パシフィックとして刊行されています。バンドオブブラザーズの原作者はスティーブンアンブローズで、親子二代で第二次世界大戦に関わる書籍を出しています。TVドラマは、バンドオブブラザーズ同様にトムハンクスとスティーブンスピルバーグが監修です。
訳者あとがきにもありますが、日本人による関連書籍が出ないのが残念です。
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著者の描く当時の訓練シーンが、スタンリー・キューブリックの「フルメタル・ジャケット」での海兵隊の訓練シーンと同じ表現があります。
著作自体が、恐らく当該映画の元ネタなのでしょうか。
もしくは、進化させる必要性のない完成された訓練なのでしょうか。
学者だけあって、単純な敵国たる日本、憎いしという表現ではなく。
客観的(当然、恐怖に満ち溢れた状況を客観的に書くのは、頭がいい証拠でしょうが)に、戦場の恐怖がよく描かれている。
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海外ドラマ「ザ・パシフィック」の原作の一つだが、戦記ものというより、優れたルポルタージュのように感じられた。精鋭とされる、米海兵隊員であっても、悩み多い、多感な若者であるという、当たり前のことに気付かされる。詳細な情景、心理描写は非常に説得力がある。
勝者の米兵ですらこうなのだから、孤立無援の中で玉砕して散った日本兵の苦悩はいかばかりであったかと思う。戦争は死と虚無をまき散らすだけである。
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戦場は暗く、臭く、汚く、えげつない。死体があちこちで腐っている。
生きている人間も、人間でなくなっていく。
悲しいとか辛いとか、これまではぼんやりと捉えていたのだ、ときづかされた。ようやく、戦争が物語ではなく愚かな歴史なんだと実感した。いかに無意味か、も痛感した。
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太平洋戦争とベトナム戦争とで舞台は異なるのだが、キューブリックのフルメタルジャケットを思い出した。映画は、あまりに荒唐無稽に思えてなんだか駄作だなと思ったのだが、この話を読むにつけ、案外戦場の描写として正しいのではないかと思えて来た。それはこの筆者の冷静でありながら、非現実的な語り口が、上手く戦場と言う非日常空間を語っている様に思えるから。勝者の側の話ではあるのだが、戦争を大いなる無駄遣いと位置付け、団結心が故に戦い続けられたと言う筆者の言葉には感嘆する。
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広島の原爆資料館を見て、被爆者は必ず言う。「こんなもんじゃなかった…」と。おそらくペリリューや沖縄の戦いも筆舌につくせぬ地獄だったのだろう。本書で、その片鱗をのぞくことができる。
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日本で太平洋戦記に関わる本を読むと、戦争の無意味さが語られることが多い。しかし、この本で、米兵の死に怒りつつ日本兵を憎む著者の姿を目にすると、日本兵は恐ろしくも勇敢で、確かにそこに生きていたのだと気付かされる。後ろ暗い部分を苦しみながらも活字にした著者に敬服。
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もともと戦記物とか戦争映画すきなんですが、文章でアメリカ視点のものって読んでなかった。日本の戦記物は餓死してるものとか、意外と戦闘で苦しんでるものが少ない印象です。
太平洋戦争があたかも日本のトップが悪かったような話が多いですが、戦争へ進んだ過程はもう一度押さえておきたいと思う。
レビューじゃないけどいろいろ考えました、この本。
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はじめて読んだ米兵目線の太平洋戦争の記録。なかなか良い( ̄▽ ̄)
ペリリュー島、沖縄…
ペリリュー島の戦いは、ザ・パシフィックを見るまでは全く知らなかった。
戦場前夜のステーキ、
定期的な部隊交代、
戦場でコーヒー…などなど…
当時の米兵と日本兵のそれぞれ国からの待遇に大きな差があることに驚いた。そして、元日本兵の追い込まれている戦場目線より、広い目線で戦場での出来事を記録している。
著者は、聖書に日々起きた出来事を綴った紙の切れ端を挟み日記のように付けていたこともあり、ひとつひとつの描写が凄く鮮明で、ラスカサスの著者と同じぐらい、生々しくて、読んでいて本をつい閉じたくなるような描写がいっぱいある。
読んでいると著者は学識ある方であることがわかる。アメリカ先住民の話もちょこっとのってたから、もしかしたらラスカサスの著者も読んでいるかもしれないなー…なんて思った( ̄▽ ̄)
戦場にいれば、
長引けば長引くほど、窮地に行けば行くほど、
日本兵にしても米兵にしても、どんどん人間らしさが消えていき、まるで野生化…野蛮化…?どれにハマるかわからないけど、誰でも残忍な行為を平気で行えるようになることが理解できる。憎しみだけが最終的に残り逃げ場がない。
政治がある限り戦争は一生消えないような気がした。
本の中には、若者らしい行動も所々に、記録されている。米兵が夜中に用を足しにズボンをおろしたところが、密かに隠れていた日本兵の背中の上って…急いで追いかけられ走り出す光景が頭に浮かんで笑えたよ
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「戦争は野蛮で、下劣で、恐るべき無駄である」
彼のその一言が、戦争の全てを物語っていると強烈に感じる内容でした。
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栄光ある戦争の正体。知識として知っていた沖縄戦は米兵視点でやっと私の中でリアリティを伴った。日本兵は勇敢で残酷で、米兵の憎しみの対象である。沖縄戦に血が通った感じであるが、読まなきゃよかったと思うのと、読んでおいて良かったと思うのと、半々。
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アメリカ兵視点からの戦記を読むのは初めてでしたが、同じように日本の戦記しか読んだことがない人にぜひ読んでほしい本。
数字で見ちゃうとどうしても日本の死傷者とアメリカの死傷者の数は圧倒的な差が出ていて、特に日本の戦記だけ読んでいると余計に日本の悲惨さが目立ってしまうけど、アメリカ兵も本当に辛かったんだなぁと思わされる。
ペリリューは特に日本視点で書かれているものもあまりないからいい資料にもなる。
この作者含めたアメリカ兵3名の記録を元に作られたアメリカドラマ『ザ・パシフィック』もとてもいい作品で、本を読んで改めて忠実に作られてたんだなぁと思った。
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アラバマの医者の息子で愛国心に燃える主人公スレッジ・ハンマーことユージーン・ボンデュラント・スレッジ(後に大学教授)の従軍体験記で当時の想いが素晴らしい翻訳からなのか他の体験記よりリアルすぎるぐらいに伝わってきた。
感性、知性ともにあふれている青年が戦記を書くとこうなるのか驚きながらと一気に読み進んだ。
戦記物の読書歴は日本9対米国1ぐらいで
に圧倒的に日本サイドからだった。
彼の戦場はペリリュー島と沖縄でこの2つは日本側がいわゆる「玉砕=バンザイアタック」戦術をとらずに戦国の真田幸村ばりの谷合でじっくり待って攻撃する戦術をとった為に米軍の損害率が高い事で有名らしい。
直前に読んだ日本側のペリリュー戦記から比べるとなんとも言えない「兵隊の待遇の格差」を感じた。
他のレビューにもあるが読むに堪えないに日本兵のひどい残虐行為の箇所も不快な思いよりも補充兵も無く
武器の格差や制空権や制海権も味方の援護も望めない中我々の先人たちへの尊い犠牲に思いを馳せずにはいられなかった。
しかし人間として共感できるのは圧倒的にかつて
の敵国人の書いたこの本。
それは自分が「現在の価値観」の中で生きているからだろう。
作者が言う「戦争は野蛮で、下劣で、恐るべき無駄である」そして原題With the Old Breed(海兵隊第一師団)
にあるような組織への忠誠は日米双方の激戦地からの帰還兵に通じるところ。
この兵士の最悪の戦場を味わった苦しみに比べれば全ては「なんたる小さいこと」だろう。
70年この世代の声を聴くにはいい機会だと思う。
さっそく原書を注文してしまった。
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感傷に浸りやすいように都合よく修正された日本人目線の戦争記ではなく、一人のアメリカ兵が実際に見た知られざる本当の戦争がリアルに、そして克明に描かれている。
読んでいて思わず顔をしかめてしまう凄惨なシーンも随所に出てくるのですが、国のために命を投げ出して勇敢に戦った友軍兵士に対する処置が、両国の間であまりにも違っていたことに愕然とする。
結局のところ、そもそもなぜ無謀にも戦争なんて始めたのかを考えるに至るのですが、と同時にアメリカ軍側の理屈として、あまりにも多くの犠牲を払って勝ち取ったこの沖縄という場所から、我々の活動拠点(基地)をみすみす引き揚げることなどあり得ないことなのだと宣言されたようで、70年後に生きる日本人としてただ無力感に沈む。