紙の本
文庫で楽しめる上品な作品集
2008/09/12 22:09
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mikimaru - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても趣があって美しく、上品な作品集。表題作でもある2作品はいうまでもないが、P156以降につづく「ねぎ坊主」、「いいなずけ」などは、わたしの好きな作品だ。
日本の若い女性作家でこれだけ中国の雰囲気を描ける人がいるのだと、目を開かされた気がするし、同時にうらやましくもなった。
P.56からの「流刑」は、聊斎志異などに見る狐の話とくらべても、遜色ないように思う。名前を呼ばれて瓢箪におさまるラストの描写もいい。
願わくば、話の並び順に何らかの配慮をいただければありがたかった。
冒頭の「王冠とバナナ」は日本の山村の話だが、それ以降はP.174で「いいなずけ」が終わるところまで、ずっと中国(もしくはアジアのどこかの国)を思わせる話がつづく。だが、そのあとの三作品は場所や題材が日本のものであるというだけでなく、かなり雰囲気が異なるように思う。
では後半から雰囲気が変わるかというと、また前半にあったような話も出てくる。
どれもよい話だけに、掲載順などにもうひと工夫あるとよいように感じた。
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一応怪談らしいけど、そんな怖い話もないので、ファンタジーに分類。
本屋でビビっと一目ぼれ。その直感は正しかった。私これすごい好きだわー。梨木香歩「家守綺譚」や、中島敦「山月記」が好きな人にオススメ。特に「竜岩石」は「家守綺譚」に似ていると思う。
日本の話もいいけど、アジア諸国っぽい話がすごく面白い。「ねぎ坊主」とか「ひょうたん息子」とか。
この人の他の作品もどんどん読みたい感じ。できたら長編も読んでみたい。
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ホラーとまではいかないかもしれないけど、ちょっと不気味な雰囲気のある短編集。
舞台は中国や日本。話ごとにまちまち。
だけどどの話もその舞台や時代背景にあった文章で入り込み易い。
親しみのない世界でも簡単に入っていける。
「炊飯器」が個人的にはおもしろかった。
方言も見事。
表紙の絵がきれい。
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怪異・幻異譚。表題の「竜岩石…」は仙人譚的な物語で登場する。古中国から近、現代的世界まで、様々な背景での、しかし綺譚短編集。中国ものの仙人話がお好きな方にはお勧めかと。
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やっぱり作品全体に漂う雰囲気が素敵だ。
17歳の湯夫人にも出てきた短編に通じるものもあって、思わず両方読み返した。
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118:中国をはじめとする、アジアの雰囲気が漂う短編・掌編集。あやかしのものと人との幻想的な物語は、いい話あり、ぞっとする話あり、箱に詰まった色とりどりのたからものを拾い上げるような気分になります。読者の想像力や暗黙の了解に頼っているような部分も多少ありますが、オチのはっきりした物語はとても好みでした。「ただならぬ娘」「山のあやかし」「白桃村」とかが好きです。さらりと読める短さと易しさながら、イメージをかきたてる作品ばかり。
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久々の勝山海百合さん。
アジアンテイストな奇談集、短編20話が収録されています。
同著者の『厨師、怪しい鍋と旅をする』もそうでしたが、独特の幻想的な雰囲気が何とも味わいがありますね。
お得意の中華怪奇短編を中心に、日本の奇談や現代モノの不思議話も載っていて、さながら奇譚拾遺集といった印象です。
ゾクっとする話もありますが、“怖い”というより“不思議”なお話で、“嫌な話”ではないので(←重要)、子どもの頃にワクワクドキドキしながら読んだ怪奇話みたいな感じでしょうか。
中でも表題作の「竜岩石」が、中国志怪風小説の雰囲気が出ていて好きでしたね。
他にも、「ひょうたん息子」「山のあやかし」などの昔話っぽい感じも良かったです。
「いいなずけ」も、結構残酷な話なのですが、切ない余韻が残るも印象的でした。
個人的な印象ですが、岡本綺堂さんの『岡本綺堂読物集』の雰囲気と似たものがあるかな・・と思いました。
時々無性に読みたくなる“奇譚系”。
現実逃避したくなった時に、またお世話になるかもです~。