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歴史小説というものは、ほとんど読まないのですが、面白かった。
また時間を遡っていくという構成も興味深かく、文章も簡潔で、難しい単語もすんなり入ってきた。
美を言葉の力で表現しているわけですが、これをは映像にすることは相当難しいだろうな・・・
利休の美意識に恐れ入りました。すごい人だったんですね。
「茶」というものの力、この時代の空気なんかが読んでいて興味深く、こんな読ませる歴史小説だったら、また読みたい。
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利休が切腹するときからさかのぼって秀吉、家康、三成などが語り部になる。構成もすばらしく利休の美に対する執着の原点が徐々に明かされていきおもしろかった。
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ー 松籟を聞くがごとき釜の湯音の縹渺 −
それが、読み終わるまでずっと耳の奥を離れなかった。
利休、切腹の日の冷たく鮮烈な怒りから、物語が始まる。
時空を次第に遡り、利休が真に美の探究へと研ぎ澄まされて
いくきっかけまでを描き出す。
色彩が鮮やかで、茶の描写がとても細やか。
目も耳も手触りさえも楽しませてくれる。
執拗なまでに美を追求する利休の姿に魅せられもし、
慄きもした。
吸い寄せられるように読み終えて、ほーっとため息。
利休が額づくのが、美しいものだけなのだとしたら
私たち本読みが額づくのは、心躍る美しい文章だけ、
・・・とは言い過ぎか(笑)
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09/03/25読了。個人的には中盤が一番、読んでいて楽しかった。たぶん、利休本人から見た、『美』への思いより、
秀吉や古渓宗陳、石田三成、ヴァリニャーノといった、一応利休に近い場所にいて、利休のすごさ肌で感じて、どうしようもなくひきつけられているけど、その根源がどこにあるのか分からなくて、『美』を利休と同じようには捕らえられない、って感じている人の、『美』への思いのほうが、私は興味深かったからだろう。
特に、秀吉の、「降参などさせんでよい。あの男の困じた顔が見たい。」という台詞は、秀吉の、自分より優れていると認めざるを得ない男(それが例えば利休)への対し方、距離の詰め方を端的に表してるような気がして、すき。
文章表現については、このひとの文章大好き!という程ではないけど、ぐいっと引き込まれる文体。なんか・・・ねっとりしているのに嫌な感じがしないというか(たまーに飽きたけど)。
そして、色々な人が指摘しているけど、やっぱりこの作品の構成、よかった。
戦国時代と茶の湯という題材について、もうちょっと詳しく知りたくなった。
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話題の第140回直木賞作品。いきなり切腹直前の場面から始まり、徐々に時代を遡っていく展開。一章ごとに様々な自分角目を通して利休を描いています。そして利休の美学の根源の答えが徐々に明らかになっていきます。
2009.3.27読了
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千利休の恋、そして秀吉との確執、死を過去にさかのぼりながら描かれています。これまで、千利休とは「茶道の人」くらいしか知らなかったのですが、秀吉に重宝され、あげく死を命じられた人生を少し知ることができ、「へぇ、おもしろいな」と感じました。そして恋多き人だったようです。
利休は「美」に囚われ、追い求めるばかりに身を滅ぼしたようにも思います。三島由紀夫の「金閣寺」を読んだときにも感じたのですが・・・「美しさ」は人によって違うとは思うのですが、「美」には人を惑わす魔力のようなものがあって、怖いな、と思うのです。
第140回、直木賞受賞作です。
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久々に面白い!!本に出会った感じ。かなり、茶道に詳しい!名物や作法・弟子など、細かく書かれていて、とても楽しめました。
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短編連作でとても読み易かったです。
茶を知らないのが悔やまれました。
タイトル通り「利休にたずねよ」でした。
作者が司馬遼太郎ファンだと耳にしたのですが
得心しました。書き込むにつれ秀吉が生き生きしていました。
秀吉と利休がそうであるように、三成と利休のあいだにも
同族嫌悪が横たわっていた気がしました。
信長様の章がいちばん印象に残りました。信長様を前にすると悪党どもが輝きます。
美の探究者としてはともかく
女として付き合いたくないどころか知り合いにもなりたくない利休でした。
景勝さまが登場したのがとても嬉しかったです。
ガラシャが可愛かった。
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第140代直木賞受賞作 利休の生涯のさまざまの場面を、時間軸をさかのぼる形で描き、最終的に切腹の日にいたる。茶の湯の美にかける数寄者
その美の探究心の原動力になった若い時と高麗の女とのひとときの恋。彼女を死んだため、利休の心に、深く刻まれた思い。それを美を力とした。
秀吉をはじめ、家康、古田織部、細川忠興、信長など多彩なおなじみな人物とのからみ。茶室と宴席の細かい描写・表現。利休の世界に引き込まれて
一騎に読んでしまった本である。
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利休の切腹の日から、いろいろな時点に遡り、視点も秀吉や、細川忠興、織部、家康、三成、利休の妻や師などと変えていく趣向。
老いて沈着に見える利休の内心の激しい憤怒と秀吉との葛藤。
利休の審美眼に驚嘆する人々、美しさへの執着のすごさにそれも欲と思う僧や、弟子の懲りない性分など、面白く描けています。
茶道にのめり込んだ日々、若い頃の情熱…
高麗から拐かされた美しい姫との若い日の短く激しい恋が心の奥に眠っていたというその印象は鮮烈。
ヴァリニャーノまで登場。
この作者を読むのは初めてかな…
臨場感のある描写で、完成度が高い。
第140回(2008年度下半期)直木賞受賞作。
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すごくすごく、面白かった!利休という一人の男を通して、「男の孤独」や「真の美」とはなにかを教えてくれます。
ずばり、”VIVA・孤高”。
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購入者:櫻井
高麗の美姫との恋、そして秀吉との確執の末に切腹を選んだ利休の生涯を過去にさかのぼりながら描かれています。利休の茶の湯にかける美の思い。かなり茶道に興味を持った。秀吉をはじめ、家康、織部、細川忠興、信長など利休とからんだ男達にも利休についてたずねてみたいと思った。
第140代直木賞受賞作です。
貸出:山本資(2009.6.30)返却:(2009.7.7)
最近あまり信じてもらえなくなったのですが、僕は昔3年間茶道部にいました。ずっと読んでみたいと思っていた本だったので読めてよかったです。千利休という人をあまり知らず、内容は事実なのかはわかりませんが少なくとも織田信長や豊臣秀吉が茶道に異常な執着を持っていた事は歴史でも有名でその理由が垣間見えた気がしました。
日本独自の文化として代表的なものに茶道があります。侘び、寂びの世界観、今も京都には脈々とうけつがれていると思いますが、せっかくの機会なので茶道をもういちど勉強し、週末にやってみようと思いました(笑)文章の構成も独特でオススメです。
貸出:相談役(2009.7.8)
この本に出てくる高麗の女性と利休との恋はフィクションなのかノンフィクションなのかよくわかりませんが、利休の茶の湯に対するストイックさの源泉が「秘められた恋」であるという点が人間らしく、切なかったです。
この本を読めば茶の湯のこともよく分かります。
(2010/7/25 藤本)
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直木賞。
逆時系列の構成で、それだけでもう凄い!って思えるのにだんだん謎がほぐれて行き繋がってゆくのは感嘆。
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秀吉に仕え一時は一世を風靡したものの、
最後は秀吉の怒りをかって切腹。
これぐらいの知識ならもちろん知っている。
でも、それ以上はと聞かれると、
ぼんやりとした像しか浮かんでこない。
それが私の利休像だったのですが、
この作品を通して初めて利休を生身の人間として感じました。
切腹シーンから始まって、
徐々に利休の人生をさかのぼっていくのも面白かった。
さすが、直木賞。
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現在から過去に遡るというのもいいが、同じことの繰り返しで読むのに骨が折れた。使い古された題材だけに新機軸を加えたかったのだろうが、短編で十分ではないだろうか。ただ「へうげもの」もいまいち入り込めなかったので、そのせいもあって星が辛いのかもしれない。お茶をやっている人ならまた違った感想もあるだろう。