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行政の経営分析 大阪市の挑戦 みんなのレビュー
- 上山 信一 (監修/編著), 大阪市役所(大阪市市政改革本部) (編著)
- 税込価格:3,080円(28pt)
- 出版社:時事通信出版局
- 発行年月:2008.12
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紙の本
地方行政改革の教科書
2009/03/25 20:42
10人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大阪市の関前市長と組んで大阪市に溜まりに溜まった膿を吐き出すべく、最前線で陣頭指揮にあたった上山信一慶応大学教授の「行政改革マニュアル」である。上山教授は京都大学から運輸省に入省し、プリンストン大学で修士号をとるとマッキンゼーに転じ、マッキンゼーで早々にパートナーに出世したエリートである。その彼が俎上にあげているのが行政改革である。大阪は腐りきっている。組合に迎合し、大阪市民と大阪府民は彼らが気がつかない間に市と府に二重に搾取されても、相変わらずノー天気に振舞っている。大阪が如何に腐っているかは漫画「ナニワ金融道」を見れば、その一端を窺い知ることが出来る。これではいけないと改革に乗り出しのが関市長と上山さんだった。
上山さんは行政としての大阪市の仕事を67の事業ユニットに分け、それぞれのユニットごとに内容を分析している。昨今、何でもかんでも官僚が悪い、行政が悪いという魔女が理的な公務員バッシングが世間で吹き荒れているが、上山さんの行政改革は、こうした頭に血を上らせたヒステリックなバッシングとは無縁な極めてオーソドックスなものである。67の事業ごとに「何がムダか」「赤字の原因は何か」「赤字事業は赤字でもやる必要があるものなのか、それとも廃止しても構わないものか」と丁寧に分析し、事業ごとに改革案を提示している。
意外な発見というものはあるもので、大阪ではゴミはあれだけの大都市にもかかわらず戸別収集をしていること、戸別に収集するには狭い路地にもゴミ収集車が入っていかねばならないので軽自動車のゴミ収集車が大量にあって、これが赤字要因となっていること。その一方でごみ焼却所は先行投資を充実させているので、周辺からも処理依頼がきていて収益をあげていること。
大阪市営バスが巨額の赤字を垂れ流していて、その多くが市民が利用する気の無い地域路線から生じていること。大阪市営バス職員の中には高額所得者が多数いて、その最高額は1300万円だったこと。
市営住宅に入居条件を大幅に上回る高所得者が多数居座っており、その悪質な高所得者の相当数が大阪市職員だったこと。
第三章には上山教授自らが行政改革のノウハウを余すことなく公開している。これは他のエリアで改革を進める場合、そのままマニュアルとして使用できるほど精緻で微にいり細にわたった解説が付されている親切なものだ。今や霞ヶ関のみならず全国の地方自治体で行政改革は待ったなしの情勢である。来るべき消費税アップの前に行政支出の内容を総点検し、行政のムダをゼロにするムダ・ゼロは日本全国であまねく実行されねばならない。そのムダ・ゼロ改革を推進するにあたり本書は必読のマニュアルと言えよう。
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