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わたしのこころはパパのものは未紀の一人称で生々しくパパとの交接がつづられている。Kもひとりの男として現実味がある。小説としての完成度は聖少女よりもたかく、近親相姦の聖化のテーマへの取り組みも切実。
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種村季弘のエッセイが秀逸。治りたくない病ですよ…。そして倉橋さんのあいうえお辞典と人生相談の痛快さ!!自分に対する誤魔化や繕いが一切ないので、ものすごく気持ちいい。
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買おうかどうしようか迷って、結局そのままになっていたのをふと思い出して購入。
倉橋由美子本人の著作は単行本未収録の短篇(〝聖少女〟の原型となった)、エッセイ、その他は倉橋由美子についてのエッセイや解題などが収録されている。
『聖少女』の原型となった『わたしのこころはパパのもの』は、『聖少女』では比較的抑えられていた生々しさが前面に出ているように感じた。
『倉橋由美子エッセイ・コレクション』の中では『新しさとは何か』が一番面白い。吉田健一の影響を強く受けた文体だが、『倉橋節』になっている。
寄稿者の論考では千野帽子の『文学少女殺し。』が面白かったが、興味を惹かれたのは栗原裕一郎の『倉橋由美子と江藤淳』。論争があったこと自体を知らなかったので非常に興味深い内容だった。結局、何となく有耶無耶に終わったところも含めて、当時の文壇事情が垣間見える気がする。
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桜庭さん関係のものをとにかく読みたい!と思ったときに、対談があったので購入。したらはまってしまった………倉橋由美子さん。このムックには単行本未収録の中編と、あとはエッセイと、ほかのひとの倉橋さんに関する文章が載ってたのですが、わたしはこの方の文章絶対すきだなと……。
時代はだいぶ違うんですが、なんだろう、憧れに近い女友達かのようだなと。わたしの他の一部の友達とはうまくいかなそう、だけどわたしは素敵だなと思ってる女友達。そんなイメージの文章。知性とか人工的とか、挙げられてたキーワードもはまりそうです。
まずは『聖少女』から、読んでみたいなー。あとはエッセイも。
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ネットで探してようやく手に入れたが、倉橋由美子の作品は、それぞれがそれぞれに堪能すればよく、いや、そう読むべきであって、したり顔でいろいろ言われても、かえって困惑する。そういう読後感であった。
当時の日本文学において、倉橋由美子の作品に比肩する結晶度の高い小説を、私は知らない。しかし、日本の文壇が女性作家を「女流作家」と評した時代に、不当に低い評価をされていたであろうことは想像に難くない。
この雑誌は、倉橋由美子の逝去から3年後、2008年にまとめられたものだが、それから15年、残念ながら、倉橋由美子を再び取り上げる機運もない。だからこそ、彼女の作品を大切に読みたいと思うし、今の私には、なおのこと、この雑誌は余計であった。当時編纂された方々の努力に敬意を評しつつ、星2つ。