電子書籍
単なるパニック小説ではない
2015/09/20 12:08
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ris - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近また九州の火山が活発化してきたので、興味深く読んだ。独自の神話解釈も面白い。ただ、著者の政治的な主義主張を登場人物にかわるがわる語らせる手法には閉口した。それによって一部のキャラクターが著者の代弁をするだけの陳腐で浅薄な存在になってしまい勿体ない。とはいえ2002年に発表され、東日本大震災やさまさまな政治状況を経てもなお「古さ」を感じさせないのは驚きである。
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九州は霧島火山帯にて破局噴火。一夜にして数百万人が犠牲となって南九州は壊滅。なおも噴煙による被害は日本という国そのものを死都と化してしまうのか。。。
火山噴火も地震も同列の自然災害、という程度の認識しかありませんでしたが、いやすさまじいものですねぇ。古代神話や黙示録を火山噴火の記録として解釈するあたりも、してやったりのなるほど感。
噴火の後の日本再生に向けての「神の手」作戦は、少々やり過ぎの感もありましたけど、日本沈没以来の大スペクタル小説でした。
(2009/2/11)
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九州でとんでもないサイズの噴火が起きて日本が死の列島になる話です.一言で書いてしまえばこれで終わりですが,この著者が火山マニアらしく火山について恐ろしく詳細に書いてあるので臨場感のある表現になります.ただし,前半はかなり火山の説明が多くかなりぐったりします.そこさえ乗り切れば,壊滅していく様子と,壊滅状態から日本が回復するための奇策を総理が仕掛ける様子をわくわくしながら読めます.
この本で火山の話以外で特徴的なのは,旧体制を打ち破った新興政党の総理を登場させ活躍させるなど,著者がなかなか現在の政府の状態を憂いていることが書かれています.最も賛辞を送りたかったのが,「過去の政治家と官僚が民衆を食い物にしていた」,というような内容が書かれているくだりです.今後の日本が,この本のような勇気を持った総理を迎えて欲しいものです.
2009.10.17(Sat)読了
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読んだのはちょっと前だけど、今現実に起きている霧島・新燃岳の噴火がこの本の内容とオーバーラップして怖い…
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非常に面白い本だった。
古事記との絡みも良かった。
一度九州に行って、火山の壮大な風景を見たい。
自分の身の回りの悩みなんて本当にちっぽけなことなんだ、と実感する一冊。
日本人全てに読んで欲しい。
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実は、この本を読み始めたのは東日本大震災の直前だった。
火山・地震・防災対策に関する緻密な描写。
小松左京『日本沈没』もすごいが、
それよりもっと現実感があって、
震災後に見聞きすることとかぶって、鳥肌がたった。
厚めの本だがスピート感ある文章で、
はらはらしながらどんどん読み進む。
結末も絶妙なので、下手に続編とか出してほ しくない。
読み終わったあとには、
震災後の復興をどのように進めていくべきか考えさせられる。
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九州は鹿児島、霧島火山は幻だった。それは、既に死火山と化したはずの加久藤火山の一部にぎなかった。この火山帯一体が噴火した時、日本は「死の都」となってしまう。
読んでいて、恐怖を煽られる。特に、3.11の後だけに、やたら実感を持った恐怖を感じざるを得ない。1分間で数百万人が死亡する状況とは、壮絶すぎて想像だにできない。
驚くことに、631頁中529頁が、噴火当日の出来事を述べている。しかし、全く飽きさせない。それどろか、作中でもあるように「たった一日だったのか」と言う程濃い内容である。
物語は、火山学者(本業は防災工学)の黒木と、その友人であり記者の岩切、旧与党を大敗させ、新たな日本を作ろうとする首相菅原ら政府関係者を中心に進む。作者の筆致は淡々としており、前半はやや説明的だが、それが却って状況のリアル感を際立たせている。九州・首相官邸・気象庁・アメリカ等、さまざまな視点からの叙述もおもしろい。個人的には、「古事記」および「ヨハネの黙示録」と火山との関係に興味を引かれた。通説なのか、作者個人の見解なのかは不明だが、非常に的を射ている解釈のように思う。いたるところに出現するこの関係性が、物語に重みを持たせるモチーフとなっている。
絶望的な物語の中には、ところどころ笑いの要素も含まれているが、それ以上に、作者の「現日本政府及び政策への怒り、不満」が散りばめられているように思う。読者誰しもが、頷きながら、新たな怒りを覚えながら、物語を読み進めることになるだろう。
日本のほぼ全土が灰雲に覆われ、大規模な「ラハール」(土石流)で西日本が既に壊滅状況にある中、最後は首相菅原により、全世界へ向けた日本再生へのシナリオが述べられる。とてつもなく長く、絶望的で未知の領域にも関らず、ここまで読み進めた読者は、必ずそこに希望を見出す。この有史以来最悪の災害の一日の後、恐れていた東海大地震、南海大地震が必ず襲ってくることを知っていたとしても。
事実、物語は東海地震の襲来で幕を閉じる。しかし、そこには恐怖をとは別に、かすかな希望が見えるはずである。
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第26回メフィスト賞受賞作品。
さすがメフィスト。一筋縄ではいけない。
けっこう読みやすいけど、ミステリじゃないよ。
まちがえちゃうよ。めふぃすとだもん。
日本はいつか・・・
九州崩壊、
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タイトルや「破局噴火」という言葉にひかれて、楽天ブックスにて購入。地震で滅んだ国はないが、火山噴火で滅んだ国はたくさんあるという言葉は非常に心に残りました。
火山列島に住む我々にとっては噴火という災害は身近にある危機として認識しておくことが必要かと思います。
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大噴火により、寒冷化、 日本経済破綻、 世界的食料不足、難民、国際紛争、などが予想され、合間に歴史上で如何に火山が壊滅的な影響を及ぼしてきたかというエピソードを繰り返し紹介され、読んでいてこれだったら最初の噴火に巻き込まれちゃった方が良いっていう感じだったが、主人公たちが、精密な科学的知識と気力によって困難を乗り越え、最後に時の総理大臣が全世界に向かって張ったりをかます段になると、なんかやっていけそうな気になっていたので、著者の狙い通りだ。毎日を流されて過ごしているが、希望って大事だと思った。
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第26回メフィスト賞受賞作。
10年くらい前に書かれた本ですが、
最近の新燃岳噴火がとても身近に恐ろしく感じられる一冊。
破局的噴火により引き起こされる災害が
結構なリアリティーを持って描かれており
時期が時期だけにかなりドキドキします。
こういうの読むと、お受験対策より前に
サバイバル能力だな、と思ってしまうのであった。
しかしこの本、宮崎在住の方が読むとめっちゃ怖いやろなあ。
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東北大震災が起きた今年に読んだ本だったので、すごくリアルに感じる部分がありました。
常に天災にたいしては、正しい情報と迅速な行動が必要なんだと教えてくれる一冊でした。
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霧島火山の噴火で大災害が日本全土に広がることを想定した話。とても面白かった。物語の多くの部分は、宮崎県の火山学者が噴火が発生した場所から命からがら逃げ伸びるシーンで、小説の終盤では、災害を予測していた首相とその関係者が、「神の手作戦」と言う作戦を展開し、国滅亡を回避するという話。
火山噴火の恐ろしさが細かく書かれている。また、日本は火山災害や地震災害が世界的にも特に多い地域であるにも関わらず、都市や工業地帯は軟弱な地盤や津波災害が起きやすい地域に発展し、国民の生活を守る規制が弱いということが主張されている。
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国会の災害対策特別委員会に参考人招致された方が「火山学的な記述についても、非常に正確を期している小説」だと言っていた、という話を Twitter のタイムラインで見かけ、興味を持ちました。2002年に第26回メフィスト賞、2005年に第15回宮沢賢治賞(奨励賞)を受賞した、石黒耀さんのデビュー作です。
[続き]
http://wildhawkfield.blogspot.com/2011/12/blog-post_25.html
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映像で見たい。
文章でも凄まじさが伝わってくる、が何分知識がないので想像に留まってしまう。
そして改めて日本の置かれている特殊な地学的な要素に気づかされた。
この本では、いい方向に向かう所で終わっている。
この発想の転換はとても良いものだと思えた。
火山灰で覆われた土壌を、いい土壌と捉えたりと確かにそのとおりである。
特殊な状況であることは変えようがないのだから、災害への捉え方を変える、というのはとても大事なことだと思う