電子書籍
五話の短編と中編一話
2022/11/07 19:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編なので説明が全体に要約気味というか、スケール感のある話も多く、いくつかは長編にすればもっと面白かったのでないかと感じた。
投稿元:
レビューを見る
六編で構成される短編集。
どれもが終わりや喪失といったテーマに含んだ内容となっています。そのテーマ故に、作品全体が幻想的な雰囲気をかもし出していました。後ろ髪を引かれるような独特の悲哀は、読んでいて「悲しい」というより「淡く儚い」という印象を受けます。
SF的なギミックは随所に見られますが、それらはあくまでもアクセントとして存在している感じ。ストーリーが主軸にあってそれらを彩るためにSFが存在している的な。
あまり説教臭くもないですし、SF初心者でも気兼ねなく読めそうな一冊でした。逆にSFダイスキーな人には物足りなく感じる内容かもしれません。
どれも収束に向けた流れが綺麗でストレスなく読めます。安定しているな、という感想。若干カタルシスに弱い気もしますが、短編である事を考えればこんなもんかな、と。
読んだ事ない作者な上に光文社がSFってとこに引っかかりを覚えていましたが、はずれでなくて良かったです。
個人的に一番面白いと思ったのは「真朱の街」。
妖怪が人類に関わるようになったくだりの設定を読むとクラーク三法則の第三法則を思い出します。
投稿元:
レビューを見る
ジャンルとしてはSFホラーになるのか?
表題の話は短編だが世界観とかが結構おもしろくて読みごたえがあった。
中編?「小鳥の墓」は同じ世界観で別の話があるようなのでまた読んでみたいな。
投稿元:
レビューを見る
なんも期待せずに買って、ほほをばしんと殴られたようなカンゲキ!これ、いい!
最高の拾い物をした気分。やった!
まず最初に表題作の魚舟・獣舟。
一瞬伊藤潤二先生の名作・ギョを想像してしまった、
文章だけなのに絵まで浮かぶような圧倒的な筆力。
最後がまた、すごい。
終わるかと思ったところでもう一ひねり。
短篇の醍醐味がこれでもかとつまった快作。
そうして続く、くさびらの道。
すごい。
今時の言い方を使うなら、バイオホラー?
うまい。すごい。気持ち悪い。強烈。
なのにどこか優しく物悲しく、それでいてほころびがない。
最後の小鳥の墓も、秀逸だ。
特別区で純粋培養される上流家庭、そこから逃れようとする一部の若者。
ドラッグ、暴力、破壊。疾走し暴走する若さと力。
しかし、その先に待っていたものとは?
この作品はもっともっと、評価されるべきでは?
ぜひ、日の目を見てほしい作品。最高。
投稿元:
レビューを見る
SF的な表現もありつつ、文章の雰囲気は伝奇だと感じました。凄く端正な文章で、素直に美しい。
表題作のやるせなさがいい。擬人化という言葉がありますが、他の生物に人間の都合で勝手に感情移入するべきではないのだなと強く感じさせられる。結局、人間同士でも意志の疎通が出来ないのに、同じ体系の記号を有さないモノと意志の疎通も、感情の交換も出来はしない。
この枚数でこれだけの物語を紡げるのか。こういう人をプロフェッショナルと云うのかしらーと思います。人物の造形がどうこうというより、全体を貫く空気感がいい。
伝奇の中に鏤められたカタカナ語。ごてごてしすぎずに文章を装飾できる作家さんだなと思います。
投稿元:
レビューを見る
思わず唸るSF。
結構気持ち悪い描写もある(びっしり系)
短編集なのだが、「真朱の街」が一番好き。妖怪もの。
投稿元:
レビューを見る
不思議な世界設定で角川ホラーなどで成長すれば活躍してくれそうな作者だが,現時点では文章が薄っぺらく読者に訴えてくるものが少ない.
投稿元:
レビューを見る
短編5つと中編1つからなる6つのお話。
短編が良かったですね。
インパクトがあって、そしてどれもどこか物悲しいお話でした。
投稿元:
レビューを見る
5つの短編と1つの中編が収められたSF短編集。特に表題作の魚舟、獣舟と呼ばれる異形の生物や、美しくも哀しい世界設定が素晴らしい。同じ世界設定での長編が準備中とのこと。楽しみに待つことにします。
投稿元:
レビューを見る
同じ作者のミステリーを読んだことがあって、美しい文章を書く人だなぁと思った。(正直、ミステリーとしてはいまひとつだった)
本当はSF畑の人らしいので、次はこちらを読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
基本的に小説を読むのは、感動というか、清々しい気分になりたいということがあるので、ダークなのはあまり読まない。
この本は、そういった意味では全体が物悲しさに溢れいて、完全に外したが、読み応えがあり、人というものについて考えさせられる面白い本だった。
最後の「小鳥の墓」は犯罪者になる過程の心理と近未来の情景とが上手く混ざっていて、親として子供の心情について考えさせられた。
投稿元:
レビューを見る
ホラー寄りのSF。結構この系統は好き!
読売新聞の読書コーナーでこれの続編的なのをお勧めされていたので、そちらも読んでみたいです。
投稿元:
レビューを見る
表題作と『真朱の街』は傑作です。また『小鳥の墓』はSFという枠を使い切った文学でしょう。
悔しい思いでいっぱいです。
何でこんな凄い作家を見逃していたんだ。
読み手として悔しいけど、出会えたからには読み倒しちゃる。
投稿元:
レビューを見る
初めての上田早夕里。剛筆だが、文体は至極まっとうで、世界観や設定を簡潔に判り易く説明する手腕に脱帽。SFの書き手はこうであるべき、とエスエフ初心者的には思う。
タイトル譚「魚舟・獣舟」の続編への広がりを匂わせる魅力的な世界観もいいが、お気に入りは、リアル・マタンゴ譚「くさびらの道」と妖怪譚「真朱の街」の2つ。前者は短編としての完成度。後者は「探し屋」を主人公に一篇書いて欲しいほどのキャラクター性…とそれぞれ違う部分に惹かれた。
最後に収められた長編「小鳥の墓」については、人殺しの長ったらしいエクスキューズを読まされてるようで、初読としてはいい気分ではなかった。ただ、再読すればまた違う感想になるかも知れない…くらいの余地は残してくれる力作。
投稿元:
レビューを見る
上田さんの著作は、『ラ・パティスリー』と『ショコラティエの勲章』の、空腹小説しか読んでいなかったのですよ。
でも元々SF畑のご出身ですし、一度上田さんのSFを読んでみたいなぁと思っていたのです。
なので文庫化したこの本を手に取ってみた次第。
好み云々から判断すると、表題作が断トツで一番かな。
未来の話なのに、土着の民族信仰の匂いもぷんぷんさせてるところがたまらんです。
ラストも文句なく美しいな。
パンデミックホラーの「くさびらの道」も面白かったですよ、映画になりそな感じですね。
「饗応」は単なるいちサラリーマンの出張話かと思いきや・・・、あれよあれよと言う間に異質な世界に連れて行かれる感覚が楽しかったです。
科学技術の発展により、外見の差異が縮まった人間と妖怪。異なる種族が共存する街でのとある事件を描いた「真朱の街」は、シリーズ化できそうな話でしたね。
「ブルーグラス」は、私が苦手とする〈過去の恋を懐かしく思い出す男性のセンチメンタリズム〉が香ってくる作品だったので評価はイマイチ。
「小鳥の墓」は、管理された世界から外へ飛び出していくって所があさのあつこさんの『No.6』を思い起こさせました。『火星ダーク・バラード』の前日譚らしいので、ちょっとそっちも読んでみたいなぁ。