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東京ヴァンパイア・ファイナンス みんなのレビュー
- 真藤 順丈 (著)
- 税込価格:605円(5pt)
- 出版社:アスキー・メディアワークス
- 発売日:2009/02/10
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紙の本
闇にうごめく者どもの遠吠え
2010/03/05 18:31
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かげろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
都会のアンダーグラウンド/夜の闇に現れ、人生に不完全燃焼している輩に、半ば無理やり金を貸してその人生に介入――首を突っ込むモンスター、万丈小夜。
闇金融としては、超低金利(10日で0.1割)で貸付けをするヴァンパイア・ファイナンスの目的は、果たして。
現代の怪物、闇に蠢く者どもの遠吠えが、今夜も彼女を呼び寄せる!
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この作品に含まれていないもの。
・ライトノベル成分(不足気味)
・ラブコメ(ラブがあってもコメがない)
・萌え萌えサービスシーン(サービスシーン自体はありますが、萌え……とかはないな)
・ファンタジー(吸血鬼モノではありません)
この作品の主成分は、現代社会で完全燃焼して生きることが出来ずに鬱屈している、それ故に「怪物」じみた一般人。そしてそれを引っ掻き回して夜を跋扈する、傍若無人な金貸しの少女の嵐のような行動力。おまけに、それらを包含する都市の夜の闇。
オムニバス形式で進められていく「怪物」達と小夜とのやり取りの中で生まれていく、義理でも人情でもなく、金利(トレイチ=10日で0.1割)による謎の絆は、きっとそこらのファンタジーやラブコメでは到底表現し得ないだろう。
現代社会の闇を、跳梁跋扈する怪物じみた債権者たちと、その闇も怪物も引っ掻き回す万丈小夜の掛け合いが面白くてたまらない。
それでいて、なおかつ人間の闇をハードコアに描くのではなく、あくまでもコミカルに描かれているこの作品に、今までにない不思議な魅力を感じずに入られない(作中でおそらく一番可愛い女の子が、ドラッグデザイナーってどういうことだ?)。
はっきり言って荒削りな作品だし、恐らく執筆中の作者の頭の中も、作中で描かれる夜の闇のように混沌としていたと思われる。この圧倒的な夜の質量をまとめ切れていません。結末も尻すぼみだと思う方が多いだろう。
けれど、作中の言葉を借りるならば、夜の闇というのは、
「限りなく実態の不定形な、誰もがその存在を実感できない存在」
ではなかろうか。
美文を並べ連ねるのではなく、ただただ混沌とした巨大な存在を、原稿用紙の上にぶちまけようとしたような、そんな作品である。まさにこの作品が描こうとしている、夜の闇そのもののような展開と文体。
思わずページをめくらずにはいられない怒涛の展開、広がり続ける夜の謎、万丈小夜の正体――
この風呂敷は、もともと畳む事を想定されていない。
否、夜闇を畳むなんておこがましいと、作者は思ったんじゃないだろうか。
さぁ、あなたも夜の闇のページを開いてみないか?
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