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分厚い割にあっという間に読み終わった。
マイナスから始まる章立てなのが面白い。うまいこと考えられてるな、という感じ。
登場人物は相変わらずステレオタイプな書かれ方だけど、大勢の出演者がちゃんと書き分けられてるので読みやすかった。
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一見無関係に見えるたくさんの登場人物達の行動がめまぐるしく場面展開されるマイナス番号の章は-44を起点にカウントアップされ、「章番号0」で事が起こった時には…。読後感がいいわけではありませんが、それ以上に非常に考えさせられる一冊でした。
「人の振り見て我が振り直せ」とは昔からよく言われるものの、なかなか直せないのが人間というものなのでしょう。深い自戒を込めて。
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まだ読んでる途中です。
話の主役が短い間隔で変わりながら、それぞれ一人ずつのストーリーが進行していく。
どの話も説得力があり浮いてないのがすごい。
まだ3分の1くらいしか読み終わってませんが、今後の展開が気になります。
この休みの期間で読み終わりたい。
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一人息子が事故死した、被害者遺族の加山氏。
新聞記者という仕事柄、息子の事故死の真相を辿っていくんですが。
様々な人々のちょとした「マナー違反」が重なり合って事故がおきた、人災にも思える事柄にどう立ち向かうか見モノでした。
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オススメ度85点。
一見全く無関係の人たちの小さな行動が一人の命を奪う話。
途中でなんとなく展開やオチやは読めたけど、
このバラバラの話を1点に収束させていく筆力はスゴイ、さすがと思った。
(読了日:2009/05/01)
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2009/08/29〜2009/09/01
賛否両論あるみたいですが、私は納得のいく最後でした。
とにかく構成がおもしろいし、次から次へと気になって
久々に寝る時間を削ってまで読んでしまった。
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500ページ以上に至る長編の最初の300ページは、何人もの登場人物の自分勝手な物語が綴られ、読んでいるだけで気分が悪く、何度も読むのを止めようと思うくらいで、実に読み終わるのに1週間近くかかってしまった。
300ページぐらいを境に物語は、一人の男児の死亡の真相を突き止める父親の姿を描いていく。
誰もが日常思う「これくらいいいか」の感情が、一つの死亡事故を起こしたと、父親が関係者に迫っても、誰も謝らない。
そして、途方に暮れた時、物語は冒頭の父親自身がパーキングエリアに家庭ごみを捨てた「これくらいいいか」の感情に辿り着く。
確かに日常「これくらいいいか」の感情は誰しもが持っているものだと思うが、これだけ、その感情を集められると、とにかく不愉快な感情にしかならなかった。
時間かけて、頑張って読んだのに、「がっかり・・・」
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1人1人の些細な自己中心的な行いから 子供の命を奪ってしまう。
モラルって何? 自分さえ良ければ他人なんてどうでもいい。な現代社会を上手く表現されていたと思う。
悪意がなくても殺人ってあり得るのですね。
自分の生活を振り返えらずには いられない。
読み出し始めは 乱反射し過ぎて読みづらい感があった。
後半に向けて一気に収束していくのがスゴイ!
いつものような読中のブラックさ 読了後の、やるせなさが少なかった。
毒は少ないけど ずっと残る毒だな・・・
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この作者はほんとうに、人の嫌なところとか狡いところを描かせたら右に出るものはいないだろう。読んでいて時折不快になるほど、登場人物たちはずるくて、身勝手で、自分にそっくりだ。(だから不快になるのだ。)
そういう小さな身勝手さの蓄積が、やがて痛ましい事件を引き起こすまでを淡々と描いていき、その事件によって爆発する、人間の本性。
何というか、本当にありそうな話だから怖い。結局、誰もが小さな悪事を犯しており、それを言ってしまえば人は人を裁くことなんて、できない。
だが、結末に至りほのかな明るさが見えることで、本当は作者は人の善き所を信じているのだろうと救われた思いになる。
ものすごく力強い一冊だった。
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2歳の男の子が事故で死んだ。だがその事故はたくさんの人の罪とも言えない罪が重なって起きたものだった。
一体誰がその男の子を殺したのか・・・
すごいです。すごい本ですよ。
人のちょっとした我が儘、エゴ、見栄がまさか人を殺してしまうなんてね・・・怖くなるよ。
「みんな少しずつ身勝手で、だから少しずつしか責任がなくて、それで自分は悪くないと言い張るんだよ。」
きっと自分もその一人・・・・なのかもね。
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ちょっと装丁が「白夜行」(東野圭吾)に似ているな、というのが第一印象。ブックモニターで手に入れたので、文庫本ではなく、ちょっと持つのが重いな…と思いながら読み、実際内容も重かった…
見事な構成で、一気に読まされてしまう。−44章から始まり、0章(事故の瞬間)に向かってカウントダウンしていく章数がまた0からカウントアップしてゆく。とてもユニークだと思った。
小さなエゴが重なって起こる事故はどの一つが欠けていても起こらなかったかもしれない悲劇を生んだ。いわゆるバタフライエフェクト、といえるかも。冒頭に悲劇提示されているので、読者はそれを頭に入れたまま読まねばならないのが、悲劇の内容が内容だけにちょっと辛いかも(子供が犠牲になる話は嫌だな)
事故後、被害者家族が事故原因を追い求めてゆく形式なんだけど、犯人?がわかっていっても(読者には最初から提示されているわけだけど)すっきり感がなく、犯人に対する毎にもやもやとした嫌な感じが残る。犯人を求めて、めでたしめでたしとはいかないのだ。
読後感は悪いが、心にもやもやとした何かを残すことがこの本の主題なのかもしれない。
と、なればもやもやのままで終わった方が…ラストの旅行シーンで「癒された」のような部分は蛇足のような気もする。でもこれがなかったら読者はどうしようもなく重っくるしい気分のまま放置されてしまうんだろうけど
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◎第141回(2009年度・上半期)直木賞候補作品。
◎第63回(2010年)日本推理作家協会賞受賞作品。
2009年7月21日(火)読了。
2009−71。
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定年退職した男が犬を飼うが腰が痛くて糞を拾えず、街路樹の根元の糞を放置
街路樹は歩道を拡張する為に伐採される
立ち退きを断る老人が急死した
伐採されるのが決まっているが、5年ごとの業者による検査があった
業者の男は潔癖症。犬の糞があるので検査できず。
その晩の大風で木が倒れ、乳母車の男の子に直撃。
義父の見舞いの帰りに事故会った母。姑とやっと打ち解けた矢先。
あの時、引き止めなければ事故にあわなかった。
父親は新聞記者。調査開始。業者の男は自首。
社長と二人で土下座。男の妻は家を出ていた。
救急患者を断った近くの病院を探す。医者につめよるが、自分は内科医、
多くの患者がいたので断った。患者の多い理由は近所の大学生がすいているのを
いいふらしたからだった。学生につめよるが、謝罪はなし。
行政を叩く記事を書くことで取材を許されていた。
HPをたちあげると、さまざまな書き込みがあった。
HPの存在がばれて閉鎖させられる。
事故のあった時の大渋滞の原因は車庫入れができずに若い女が車を放り出したから。
家を訪ねるが、謝罪はなし。
犬の糞を片付けない老人の存在を知る。妻に協力してもらい、探し当てる。
待ち伏せして「息子を殺したのはあなたよ」とるめよるが逆切れ。
HP閉鎖後に会社に送られた絵葉書の場所を妻と尋ねる。
自分も最後の旅行の日に生ごみを捨てたのを思い出す。
自分自身も同じことをしていたことをきずいた。
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直木賞候補になった、久々の新刊。
貫井徳郎ひと皮むけたなって、感じいる作品でした。
貫井作品ですから、とんでもないドンデン返しかはたまた読ませるミステリーか、楽しみに本を開けたらそれのどれでもない、今までにないものでした。
ミステリーといえばそうですが、それだけでは括れない何かがある。現代の潜在的なものを的確にあぶり出している気がしました。
最後に主人公が本質に気づいた部分、読んでいる自分まで青ざめるような気持ちでした
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2歳の男の子が街路樹の下敷きになって亡くなった。その子の父親である新聞記者の加山聡は、なぜこの事故が起こってしまったのか、責任は一体誰にあるのかを突き詰めていく。しかしそれで浮かび上がってきたのはどこにでもあるような日常のささいな、ほんのちょっとした怠惰やモラル低下ばかりで、罪には問えないようなものばかりだったのだ。
不運な事故、と言ってしまえばそれまで。しかしそこに至るまでにある、多数の人間の怠惰、違反、偽善、エゴ・・・その1つ1つはほんのささいなものなのに、重なるだけでこんなにも重大な事故が結果として生み出され、それぞれは知らないうちに【加害者】となる。が、当然のごとく彼らには人を1人殺したという罪の意識はないし、後半、加山によって少なからずお前にも責任があるのだと突き付けられても、「そんなことは予期できるわけがない」と、責任逃れや逆ギレするような者ばかり。加山のやりきれなさは痛い程に伝わってくるが、加山に加害者とみなされてしまった者たちの気持ちもまた、わからないでもない。小さな罪(とも呼べないものすらある)を責められて、人が1人死んだ事実を負わされるのは酷過ぎるし、やはりそこまでの責任があるとも思えない。どちらの言い分もわかるから、読んだ後はジレンマと恐ろしさでいっぱいになる。
章がまた、「-44」「-43」から始まって続いていくため、「0」で事故が起きるのだな、というのは読んでいる途中でわかる。わかるから、余計にこわい。マイナスの章で書かれているのは、本当にただの日常で、きっとどこにでもある光景。ということは、現実世界で自分の身近にも起こりえることなのだ。