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学校では一般教育を学ぶだけでなく、人への気配りや、思いやりを学ぶことが大事だと書いてありました。
また、それを自然に教えることができるのは視覚障害者である自分が、一生懸命がんばることだと言っていました。
自分の周りにいる人が、どれだけ支えてくれいるのかということを改めて感じました。
私もこの先生に会ってみたいと思いました。
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日本で唯一の、盲導犬を連れた中学教師 新井淑則先生。
人生半ばで視力を失った彼が、失明の恐怖を克服し、そこから新たに生きなおした成長記録です。
埼玉県秩父の中学に勤める新井先生は、教師として脂ののりきった28歳の年に、網膜剥離で失明します。
文字通り、人生の真っ暗闇に迷い込んだ新井先生は、いま写真で見る穏やかな表情からは想像もできない、ひどい荒れ方をしたこともあったようです。
二人目の娘を出産したばかりの妻の肩には、家事、育児、夫の父母を含めた家族四人の生活、そして高額な医療費。すべての責任が覆いかぶさっていました。
産休明けも慌ただしく、中学教師に復職した彼女に、
「おまえは働けるからいいよな」
トゲのある言葉を投げ掛けてしまいます。
「このまま死ねばラクになる」
何度も死の誘惑に駆られた新井先生を、こちら側に引き止めたのは、自らも全盲でありながら、普通高校で教鞭を取る宮城道雄先生の熱心な説得でした。
「あなたならできる。がんばろうよ」
説得を繰り返し、復職への努力を促しました。
少しずつ、前向きな気持ちを取り戻した新井先生は、自立訓練に耐え、盲導犬を得て、行動範囲を広げ、盲学校の教師になります。
そして、2007年には、普通中学校の教師の辞令を受けます。
普通中学に復職できることは、念願がかなった喜びであるものの、そこには不安と心配もあります。
できるはずと思い、いやできないのでは、と心が揺れます。
心が揺れたら、逃げずに果敢に立ち向かうほうをぼくは選ばなくてはなりません。
身体的な障害(新井先生は「害」の字は使わず、「障がい」と表記します)によってもたらされた、ほとんど心の死の状態から、最後に示したこの決意。
赤ん坊から大人になる成長過程を、新井先生は二度体験したのだと思います。
希有な経験であり、何事にも代えられない人生です。
やんちゃで家出癖がある初代盲導犬クロードとの、細やかな心の交流も描かれています。
年老いて、引退が迫るころの先生と家族の悲しみ、手放さなければならない辛さは、いかばかりでしょう。
二代目盲導犬マーリンは、仕事熱心な優等生タイプ。でも、一日の仕事を終え、部屋に戻ると、
「お仕事が終わったんだな」と思うと飛びついてきます。
もの静かな優等生の盲導犬マーリンが、普通のワンちゃんに戻る瞬間です。
パートナーであり、愛犬でもあるという関係をラブラドールと結べることは、ちょっと羨ましい気もしました。
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全盲の先生がわが町にいる。当時、その話だけは聞いていたけれど、今になって本を読ませていただき、驚愕。
この本では伝えきれない苦労も心痛もあったと思う。その想いや経験を、ぜひ無理なく外に広げていただきたい。
健常者と呼ばれる人たちと、障がい者と呼ばれる人たちとの分かち合いは、なんだかんだいっても交わって感じて経験するしかないと思うから。
それは…障がいがあるとかないとかじゃなくて、自分とは違う他人と共に生きて暮らすための根本でもあると思う。
素晴らしいのは新井先生や周りの方たちなのですが、ちょっとでもわが町が関わってる、それだけで嬉しいものです。
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[2016.7]全盲の中学教師が人生を綴った1冊。
網膜剥離を発症する前、失明した当時の様子、再び教師として働く姿には心を動かされる。
本気で死に向き合った新井先生だからこそ生徒の心に響く教育が出来ると思う。
私も甘えてばかりいられないと感じてしまう。
「自分には何が出来るのか?」一度立ち止まって、冷静に考えて、進んでいきたい。