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世界中で信じられている宗教である資本主義のしくみを前作より詳しく説明。続編は物語だけでなく理論的な説明が増えるので前作よりは多少難解になっている印象。前作は労働者搾取が多少デフォルメして描かれていたが、続編は下請け企業の悲哀がメインストーリーで、現代でも全く違和感がないどころか、コロナ不況によるリアリティーのある切実な話として読める。続編はどうやらエンゲルスが書いた第2部、第3部に該当するらしい(エンゲルス本人が登場して解説してるし)。
このマンガ本の内容を完璧に理解していて他人に説明できる大人は果たしてどれぐらいいるだろうか?自分もちょっと怪しいところはあるかもしれないと思ったり・・・。とりあえず「信用創造」とは何か?がわからない人は読んだ方がいいのかも。
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前作の『まんかで読破 資本論』よりも論理的な解説が増えたおかげで、資本主義のどこに問題があるのかという点が分かりやすくなっている。
正直、前作は何が言いたいのかよく分からなかった。そもそも難解といわれる資本論の第一部なので仕方ないのはわかる。ただ、そこを加味しても前作には漫画化した意味がほとんど見出せずに残念に思っていた。
対して、今作はかなりよく漫画化されている気がしておすすめできる。最後の終わり方には少し無理やり感はあるが、所々で入る解説が漫画では表現出来ていない部分をうまく補足している。これなら資本主義の問題点が誰にでも理解できると思う。
基本的なお金の勉強にもなる本書は、『資本論』や『マルクス&エンゲルス』に興味がない人にもおすすめしたい。『まんがで読破』シリーズはこうであってほしいと思える一冊になっている。
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経済ニュースを聞いていて、ふと資本主義について自分がしっかり説明できない状態だと感じたことが動機である。、
この本に関しては、資本論といえばマルクスだという安易な発想で調べたところ、どれも難しい内容ばかりだったのだが、この本はベースが漫画調になっており、架空のキャラクターが資本主義の荒波に巻き込まれながら会社を経営していくストーリーになっており、大変わかりやすかった。
投資家は余剰利益で利益を得ていて、余剰利益=人という考え方が根底にある。つまり機械で効率化させ人を減らした際に売上が増加しても利益率は下がるという考え方になるとの事。
さらには競争社会になるために、もっと良いものをもっと多く売り続けなければ会社が成り立たなくなる、切磋琢磨する中で類似ビジネスの利益率は平均化し、その中でも強者と弱者が生まれてくる。
またそうした競争の渦の中に巻き込まれるのは下請けで、下請けは依頼主が求める生産量に追いつくためにその生産量を補うためだけの増産設備を行い、過度な設備投資を行う(できないなら切られる…)これの事を「不均等的拡大」と呼ぶ。
この不均等的拡大は資本主義社会では往々にあり、もし依頼主のその商品が売れなくなった際には下請けへの発注が減る、下請けはその商品を拡大するために増加した設備なのでなかなか応用が効かずに赤字になる。そうすると工場を守るために人員削減などの手段に出るしかなくなり、職を失う労働者が後を立たなくなり、社会全体的に消費が減ることになるため依頼主の商品も売れなくなり…と負のループに入る。これが恐慌と呼ばれるもの。
本書曰く、資本主義社会ではこのようなリスクもあるが、社会が成長するというメリットもあるので一概に悪いと言えるものではないとのこと。
経済の仕組みさらっと知る上ではとても役に立つ本だった。
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優しく解説してくれているけれど、それでも少し難しい内容。じゃあどうすればいいのか。100分de名著の番組内でゲストの先生が、「環境に優しいので買ってください、は0kcalなのでダイエットコーラ買ってください、と同じ」と言われていて、ハッとした。SDGsも所詮資本主義社会の枠組みを越えることはないのか、と実感。何事もちょうど良いバランスをどう保つかにかかるのだろうか。
いつかは原書にも挑戦したい。
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資本主義の支配のもと社会はひとつの巨大な商品の集まりという文で始まる
商品・貨幣・剰余価値 使用価値 人の価値観やそのときの状況で価値を判断する「使用価値」 注がれた労力の度合いで価値を判断する「交換価値」
労働者の労力・人数・時間を総称したものを「抽象的人間労働」これが多いほど交換価値が大きくなる 一般的等価物は物⇒金⇒貨幣へ
ただの商品のひとつにすぎなかった貨幣が人間や商品の価値を決定する「貨幣の物神性」
利益の追求 生産と流通で利益を得ることを繰り返す 総労働は必要労働と剰余労働による可変資本になる
資本家は労働力と賃金の等価交換の原則を守りながらも剰余価値を得ている
資本主義社会の矛盾 業績の悪化の悪循環はリストラ給与カット、消費の落ち込みで企業の業績悪化が続き不況と恐慌へ
銀行は銀行自身が支払わなければならない債務をふくらませ貨幣を増加させる「信用創造」というしくみ
信用創造を支えているのは銀行から融資を受けている借り手の返済能力
資本主義社会において不況や恐慌は必ず起こる避けては通れない 需要と供給のバランスを正す役割を担っているという