紙の本
流石、リーダビリティーあるなあ。絶望的な状況下での人間ドラマを描いて、はらはら、ぞくぞくさせてくれました。
2009/04/19 18:25
9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初のほうは分かりづらくて、これはちと期待ハズレだったかと心配したのですが、複数の登場人物のキャラが立ちはじめ、作品を貫く太い芯が見えてきた中盤から面白くなってきて、結局、最後まで読まされてしまいましたね。期待以上のリーダビリティーで、はらはら、ぞくぞくしながら、一気に読んでいくことができました。
突然、自分の周りから、人間が消えていなくなる異常事態に面食らう複数の男女。彼らが、3月13日の13時13分13秒から13秒間にわたって発生した「パラドックス13」現象、略して「P-13現象」に巻き込まれるんですね。で、未曾有の大災害(大地震、道路の陥没、建物の倒壊、大雨による水害)が立て続けに起きる無人の東京を舞台に、様々な危難、人間関係の衝突を乗り越えて、必死に生き抜いていこうとするストーリー。そういうSF風パニック小説の顔をしているのですが、小説の底を貫いているのは、絶望的な状況に直面した複数の人間たちが繰り広げる人間模様、その決死のドラマです。途中で、映画『ポセイドン・アドベンチャー』のこと、思い浮かべたりしました。
複数の登場人物の個性も無理なく、自然に描かれていて、馴染みやすかったです。なかでも、集団のリーダー的存在として皆を引っ張っていく誠哉(せいや)と、優秀な兄に複雑な感情を抱いている冬樹(ふゆき)、久我兄弟のふたりのキャラが印象に残りました。人を救う使命感に異常な熱意を傾ける超人的な兄と、人間らしい過ちや性急な行動に走る傾向のある平凡な弟、という構図。危機的な状況のなかで、ぎくしゃくしていた兄弟の間に信頼の絆が生まれていきます。この信頼関係が築かれていくテーマは、久我兄弟のふたりだけでなく、ほかの男女の間にもあって、そこに本作品の一番の妙味、読みごたえを感じました。
エンディングは、タイムトラベル映画の素敵なシーンを彷彿させるもの。新味は薄いけれど、すっきりとして心地よい余韻でしたね。私は好きです、このラスト。
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最初の数ページで挫折しました。
聖女の救済で最初にダメだと思ったけど最後まで頑張って読み、結局ダメだった経験を思い出して潔く諦めました。。。
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2009/07/15〜2009/07/16
おもしろかった。でも怖かった。
「ドラゴンヘッド」を読んだ時も同じ思いをしたなぁ。
もう先が気になって気になってどんどん読み進めてしまいました。
地球が崩壊していく様は本当に恐ろしいです。
一応納得のいく結末だったので、「ドラゴンヘッド」のようなモヤモヤがなくて良かった。
そして「ドラゴンヘッド」みたいにチープな映像化だけはしないで欲しいと切に願います!
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エンターテイメントの最高傑作!...とオビにコメントされてます。
が、もう、そういう煽りはヤメませんかー? ツマラないとは言いませんが
「天空の蜂」とかの方がよっぽど面白いし、ハラハラしますよ。「秘密」とかもね。
最高傑作とは言い難い。
とは言え読んでる分には充分面白いよ。面白いけど...
梅図かずお氏の「漂流教室」に比べると1/100000000くらいだよね。
似たような状況下...異空間でのサバイバル、そして生きるという事を
強烈に描く凄みは今作は到底及んでない...よね?
大丈夫か!? どうした東野圭吾!?
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東野圭吾作品の中ではちょっと異彩を放つ作品ではないか。P−13現象によって、街から人間が忽然と消え、豪雨と地震によってどんどん破壊されていく東京。その中でなぜか生き残ってしまった久我兄弟をはじめとする登場人物たちのサバイバル。途中で明らかになるP-13現象の真実や、登場人物たちの人間模様の描き方は実に巧みで、あっという間に読破してしまった。また、ストーリーが進むにつれて、善悪とは何か、生きる目的とは何か、といった深く考えさせられるシーンも多く、楽しみつつも、いろいろ考えさせられた作品だった。
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ちょっとSF風?
東野氏にしてはストーリーがイマイチの気がします。
ただ、この設定…。
理系の東野氏ならではの発想?
遊びで考え出したような…。
が、極限状態の人物の心理描写はさすが。
一気に読んでしまいました。
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13時13分からの13秒間、地球は“P−13現象”に襲われるという。何が起こるか、論理数学的に予測不可能。
そんな中、実際にその時を迎えたときに、特定の人間を除いてすべての生き物がこの世から消えてしまいます。なぜ我々だけがここにいるのか・・・・(って言っても、その理由は予想通りなんですけど)。
東野さんの珍しくSFパニック映画を思わせるような作品です。1970年代にさまざまなパニック映画がありました。「ポセイドンアドベンチャー」「タワーリングインフェルノ」「大地震」「大空港」などなど。そんな映画のシーンが思い浮かぶほど、てんこ盛りのビジュアルストーリーって感じです。特に生き残っていくための姿や行動、考え方は「ポセイドンアドベンチャー」にある主題とほぼ同じ感じです。
P-13までの過去が次第に暴かれて、それがまた別の世界でつながるというあたりは、ネタばれにもなるので詳しく書かないけど、作品でももう少しそこにスポットを当ててくれてもよかったかな?
東野さんですから、さすがに読ませる物語に仕上がっている感じで、スムーズに楽しく読めました。でも、その分、目新しさは少ないような感じも。期待が大きい分、不利だったかな?
でも、映画化されたら見に行くけど(^^;
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白夜行とか、あのあたりまでは面白かったが、その後どうも相性がよくないような。。。本作もS.キング風の設定ながら、内容が疎だし結末も無理な(プチ)ハッピーエンドでいただけない。(ネタバレを含むあらすじ)13日の13時13分13秒、地球に巨大なエネルギー体がやってきて、P-13現象が起こる。P-13現象のあとは13秒間、時間が失われるが、宇宙的な現象のため、通常の生活には影響のない現象の予定であった。唯一例外なのが、その失われた13秒間に死んでしまった者たちで、P13現象の前後での連続性を持たない彼らは死者だけの世界に飛ばされてしまう。犯人逮捕の瞬間に撃たれた刑事や飛び降り自殺予定の親子、わき見運転の運転手と被害者など、たまたまその13秒間に死ぬ運命にあった者たちは住む者を失い、崩壊してゆく東京の街でサバイバルを試みるが、交通事故の余波や地下鉄などの陥没、洪水や地震に襲われる。首相官邸で見つけた極秘文書により、36日後にP13現象の揺り戻しが来ることを知り、それに合わせて自殺することで元の世界に戻る。
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あんまり気分が良くない話。
善悪が人によって違うのは、同じ社会に住んでたって同じこと。
常識っつったって、自分の価値基準と違うことなんか日本に住んでたってよくある。
それをどこまで押し通せるかってところだよね。
宗教戦争も根本的には同じじゃないのかな…
そう考えると裁判員制度なんて、絶対イヤだし。
わがまま言ってしまえば、他人の価値基準で誰かを一方的に判断することに関わりたくない。
それこそ、今まで歩んできた人生や想いを否定したり、押し付けたり…
誰かを否定するってことは、自分を否定すんのと同じだし。
経験しなきゃ分かんない感情なんて沢山ある。
そっから出てきた思考回路を否定されたくないから、否定したくない。
そういう一次元的な判断が無いと、社会が成り立たないんだろうけどさ。
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一気読みしてしまいたくなるテンポの良さは、相変わらずです。
登場人物の共通点がよめてしまったぶん、最後は「やっぱりね」って感じだったのだけがちょっと残念でした。
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並行世界へ飛ばされてしまった男女13人のサバイバルを描いた小説。
東野圭吾には珍しいSF物。
テーマとしては、「盲目的に常識・道徳に従うのではなく、その場
その場で自分で考えろ。」ってことなんやと思う。
ただ、言いたいことは分かるけど、ちょっと強引すぎる感じ。
地震が起きたり洪水が来たりして逃げ惑う場面は数が多すぎて、
途中で飽きた。
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なんだか箱庭感満載だ。
登場人物が少ないの話を展開させないためか…?
「Pー13現象」により時空の歪みに入り込む描写はなかなか。
関係ないけど、時空の歪みに入り込むっていう設定、台湾か香港かどこかアジア系の映画にもあったな。そちらでは時空の歪みはパラレルワールドではなく、こちらの世界の一部なんだけど。
…って、本当に関係ないや。
ちなみにその映画では空も飛べるよ。
(しつこい)
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パラドックスう〜ん、なんとも、わくわくどきどき♪
3月13日、13:13から13秒間、地球は予測不可能なP−13現象に襲われる。
何も知らされずに、気が付けば人のいない、廃墟な東京に取り残されていた13人の人々(老若男女、子供に乳児)。
今まで当然のようにあった、善悪は、この廃墟の中では意味を持たない。
しかも、なお、残されたこの世界までもが崩壊しようとしていく。
何故、そして、これからたったの13人でどうしたらいいのか・・・。
う〜ん、いいなぁ〜。
このような日常的なSFって好き♪
途中に訪れる、身につまされる過酷な選択の瞬間。
南の島に漂流しているのなら、どこか諦めもつくのに、なまじ東京のど真ん中で漂流していると、
捨てきれない物が有りすぎるだろうなぁ。
う〜ん、最後まで息をつかせずに惹きこまれた。
東野圭吾さんの作品、私は他をあまり知らないので、ミステリー色を期待される人などからの評価は
それぞれだと思いますが、私は、どこか懐かしい、学校SFのような、そんなことを感じた作品でした。
倶楽部回覧本(5/22)
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13時13分からの13秒間、地球は“P‐13現象”に襲われるという。何が起こるか、論理数学的に予測不可能。その瞬間―目前に想像を絶する過酷な世界が出現した。なぜ我々だけがここにいるのか。生き延びるにはどうしたらいいのか。いまこの世界の数学的矛盾を読み解かなければならない
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異質な感じがした。テーマの大きさに対して、書き手が持て余しているような印象を受ける。発想の転換を着眼点にもってくるあたりはさすが。わかりやすいキャラと展開で、あっと言う間にレールに乗って進んで行く。
何らかの大きな決断をしないことには、話が終わらない。そしてその決断を読者に納得させるには、それに至るプロセスが必要不可欠。このプロセスの部分が一番重要ではないかと思う。非日常的な経験の中で消耗し、それでも成長していくキャラたち。しかしその過程が、タイプの違うエピソードを焼き増ししてるだけにしか見えないのだ。この中盤の単調さに飽きがきて、東野作品には珍しく読書が停滞してしまった。崩壊していく東京の様子も淡々としており、作中と読み手の温度差は広がるばかり。好きな要素であるシンプルな筆致も、本作品においては説明不足に拍車をかけるだけ。
しかし何だかんだ言っても、この時期にこのテーマを持ってきたことは大きいと思う。荒唐無稽な設定だが、自分だったらどうするかどうなるか、とにかくいろいろ考えさせられた。