紙の本
それは、ミラーニューロンのせいさ
2009/07/31 14:05
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ソネアキラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ミラーニューロン」とは「神経科学から発見された「脳にある特殊な細胞の集まり」」、「物まね細胞」。これにより、人間同士での共感や共鳴が生まれたり、感動が連鎖すると。この本ではミラーニューロンの氏・素性・可能性について、取り上げている。
「間主観性」もミラーニューロンの働きなのかもしれないと。センスス・コムニス(共通感覚)もミラーニューロンで科学的に解明されるのかもしれない。
「間主観性におけるミラーニューロンの役割は、純粋な「結合」というよりも、相互依存の許容とでも表現したほうが正確なのかもしれない。-略-ミラーニューロンが可能にする自己と他者との相互依存は、人々のあいだの社会的相互作用を形成する」
作者は、現象学の総帥・フッサールはおろか、実存哲学の始祖といわれるキェルケゴールまで「ミラーニューロンの特性を重ね合わせられる」としている。万能薬のようにか。
子どもが社会化する第一歩は、親(大人)のまねだし、語学のすばやい修得は先生の徹底模倣だし、ギターだって完コピから入るし。模倣犯(コピーキャット)から大量複製の同じブランドものを着たがる・持ちたがるトレンドもそうだしな。
「私たちは生まれつき共感を覚えるようにできており、だからこそ社会を形成して、そこをさらに住みよい場所に変えていくことができるのだ」
ふと考えるんだけど、人間と脳の関係は、マジンガーZ本体と兜甲児が乗る頭部と似ている。脳がすべてをつかさどっている、コントロールしているという意味で。
併読している創元推理文庫の『江戸川乱歩集』の短篇『目羅博士』に、偶然リンクしているところが出てくる。
「まねというものの恐ろしさがおわかりですか。人間だって、まねをしないではいられぬ、悲しい恐ろしい宿命を持って生まれているのですよ。タルドという社会学者は、人間生活を「模倣」の二字でかたづけようとしたほどではありませんか」
ほらね。文化的遺伝子ミームとミラーニューロンの関係は、どうなるのだろう。そのうちきっと出るよ、『ミラーニューロン・マーケティング』って本が。
投稿元:
レビューを見る
2009/5/29 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2012/11/15~2012/11/29
新書で出されているが、ほぼ学術書的内容。ミラーニューロンの発見からそれが我々の行動や感情に及ぼす影響まで幅広く紹介されている。脳の研究は面白いなあ。生まれ変わることが出来るなら、こういう分野の研究者になりたいな。
投稿元:
レビューを見る
ミラーニューロンとは、端的に言えばものまね神経細胞のことだ。
例えば、熱湯にぶち込まれるダチョウ倶楽部を見て、自分も「熱ッ!」と感じることだ。
これがノー根拠なものではなく、確かに神経細胞の反応として起こっているらしい。
著者は、このミラーニューロンをさまざまな視座から見ている。
言語、心、自己、自閉症、犯罪、政治、などなど。
注目の分野が分かりやすい言葉で記されている。
行動経済学なんかの前提としても読んで見る価値が高い。
投稿元:
レビューを見る
こりゃぁオモシロい
「セルフィッシュジーン」を読んだときミタイなオドロキ目
著者の筆力と訳者の表現力のタマモノかと
考えてみれば、人数的にも先進度合いから言っても
舶来モノにそういう著書に出会える可能性は高いのカモ
実際、生物学におけるDNAくらいのインパクトがあると言われる
脳科学・神経科学における「ミラーニューロン」のハッケン
<ヒトコトで要約すると>
ヒトは脳とカラダ一体で、相手を観察・模倣・シミュレーションすることで相互理解と社会適応および学習スル、というように出来てマス
ーヒトリだけでも、脳みそだけでも成立しない自己
ー相手がいて、成り立つニンゲン。
ー相互に対象を認識しあうことで成り立つニンゲン。
<ミラーニューロンって何?というと>
ジブンの行動のときも、他人の同じ行動を観察するときにも
脳の細胞で同様に反応スル部分のことを言いマス
<その仕組みはナニ?というと>
ミラーニューロンが他人の行動を見て反応し
ジブンのカラダの同じ部分に、同じような行動の信号を送り
他人が行った行動をシミュレーションして
その時に得られる感情を、脳の感情を司る部分(大脳辺縁系)に送る
<その効果はというと>
他人の行動・意図・感情の模倣・シミュレーションを通して
社会の中での自己認識・相互理解・自己適応、さらには学習を実現スル
<その理論的背景は>
ニンゲンが社会的動物でアルということ
社会での適合のためにニンゲンは、鏡のように「模倣」という手段を使うこと
ヒトの思考・感情は脳だけでなくカラダも使っているコト
現象学・実存主義的アプローチ。
読んでるうちに、生物学やら哲学やら心理学やら
イロンな知識が想起され、本棚をチラカしながら読む。
なんか、「夏休みの読書」のカンショクが楽しめたひとときでした晴れ
良書との出会いに感謝。
投稿元:
レビューを見る
「ミラーニューロン」とは、実際に身体を動かすときと、他人がその動きをするのを見るときと同じ脳内領域(ミラーニューロン)が活性化されるという近年の発見だそうです。この新しい知見に従うと、他人への共感能力とミラーニューロンの障害の関係(自閉症の原因のひとつと著者は考えている)、心のプロセスが身体によって形成されるという逆転、哲学上の他我問題の一定の解決、などにつながるということだそうです。
少し驚くのは脳活動の撮像技術の進化です。ある特定の領域を一時的に"マヒ"させてしまうこともできるようです。
「ミラーニューロン」については著者が力を込めて述べるほどには革新的な発見だと納得させられたわけではないですが、脳の働きの実証的な調査というのはこういう実験による仮説の検証が繰り返されていろいろなことが明らかになってくるんだろうな、というのは感じさせられました。
投稿元:
レビューを見る
人間は、あらゆるものを模倣する。
言葉も、身振りも、表情も、模倣する事で学習していく。
映画を見て、スクリーン上の人物の表情や行動に感情移入できるのも、
脳の中でその人物を模倣する事で神経細胞が強く活動する。
そんな、模倣する事自体に喜びを覚える脳の仕組みが、
本書のテーマである「ミラーニューロン」である。
これが共感能力から自己形成に至る、
いわばヒトがヒトたりえるための重要な側面を制御しているという。
思えば生命そのものが、遺伝子をコピーして生まれる、
模倣そのものとも言えるかもしれない。
広告の効果測定や、選挙のネガティブキャンペーンの効果についての
考察が興味深かった。
ただ、全体に少し冗長かな...。
投稿元:
レビューを見る
fMRIの仕組みからすると重要なのはオキシヘモグロビンとその酸素を失ったデオキシヘモグロビン
活性化された脳領域は流れ込む血流量は必要以上に多いのでオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンの比率が変わる
報酬系 腹側線条体と内側眼窩前頭皮質
この実験により、私たちの脳は観察された他人の苦痛経験の完全なシミュレーションを運動の部分まで含めて成り立たせることが実証された
もっと抽象的な状況の場合、私たちは痛みの感情的な側面をミラーリングすることによって、共感を覚えられるのかもしれない
投稿元:
レビューを見る
専門的で難しく飛ばしながら読んだ。
まとめると、ミラーニューロンは人間同士のコミュニケーションを促進するらしい。それゆえ、ミラーニューロンは言語の起源ではないかと述べられている。また、自閉症の原因にも関わっている可能性があり、自閉症の原因を突きつめられるのではないかということ。
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
「生物学におけるDNAの発見に匹敵する」と称される、マカクザルで偶然みつかったミラーニューロンは、他個体の行動を真似るかのように発火する脳神経細胞だ。
最新の研究で、この細胞はヒトにおいても、共感能力から自己意識形成に至る、じつに重要な側面を制御しているらしいことが明らかになってきた。
ミラーニューロン研究の先端を切り開いている第一人者がこの細胞の意義を自ら、近年行なわれている驚くべき脳撮像実験などの詳細を紹介しつつ解説する。
[ 目次 ]
第1章 サルの「猿真似」
第2章 サイモン・セッズ
第3章 言葉をつかみとる
第4章 私を見て、私を感じて
第5章 自分に向きあう
第6章 壊れた鏡
第7章 スーパーミラーとワイヤーの効用
第8章 悪玉と卑劣漢―暴力と薬物中毒
第9章 好みのミラーリング
第10章 ニューロポリティクス
第11章 実存主義神経科学と社会
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
投稿元:
レビューを見る
「共感」の神経回路「ミラーニューロン」に関する入門書(なのだろうか?)
ミラーニューロン発見のエピソード、ミラーニューロン研究の生物学、脳科学、哲学的な意味、著者によるミラーニューロン研究の今後の展望を知ることができる。
ミラーニューロンの知識を得ることで自分の生活、行動、思考にどう役立てたらよいのかという目的意識で読むと、「だからなんなの?」という空しい読後感しか残らない。
もし私と同じような目的意識で読むなら、本書よりも、本書に寄せられたみなさんのレビューのほうが、はるかに役に立つ。
このミラーニューロンが私たちが元々生まれ持っている共感の回路であることを知ることで、「引き寄せの法則」がまんざら迷信ではないように思える。
投稿元:
レビューを見る
ミラーニューロンの発見から、それの機能の紹介。研究がはじまってからさほど時間がたっていないということで、未だ可能性のレベルの話が多かったが、スーパーミラーニューロンへの展開や報酬系等様々な考察がされており、面白い。その中でも一つでも早く、結果に結びつくような発見がされればと思います。
投稿元:
レビューを見る
大学生時代を思い出すほど、しっかりと本格な科学本。ページ数の割に、読み切るのに時間がかかったのは、決して内容がつまらなかったからではない。アメリカの文章らしく、時折筆者のユーモアのセンスものぞきみることができるのが個人的に好きだなぁ。
最近友人との会話でよく登場する言葉「卵が先か、鶏が先か」を、少し考えてしまった。しかし、この本ではそこを突き詰めて考えているわけではない。自分がリンゴを食べていなくとも、食べている時と同じニューロンが発火している事実を突き止めた!という大発見から、それって他人を理解することにとても大切…というか自分というものを確立する大切な要素なんじゃ…といった「他我問題」にまで話を広げる、とても広大な話になった。
人間は真似をする動物だなぁと、中国のことやら、発展する日本の歴史を見るとつくづく感じてはいた。だけれど、それが人間を知るということで、これほどまでに重要な要素だったとは…正直驚いたし、すごく直感的ではあるものの、これは重要なことだと感じた。
他人の気持ちがわかるとは、本当に他人になっているのだから当たり前なのだ。ミラーニューロンが正常に働いていれば、あたりまえなことなのだ。そんなことがあたりまえになる日も、近々あるのだろうか。(まさかすでに…?)
投稿元:
レビューを見る
脳の仕組みを知ることは、人間社会の仕組みを解き明かすこととほぼイコールなのだなあと思わされた。こんな面白い本に出会えたことに感謝。
投稿元:
レビューを見る
(ミラーニューロンが)知覚を追体験する→知覚を強化
※常に追体験するのはしんどい→スーパーミラーニューロンによる調整あり
模倣行動を通じて形成されるミラーニューロンの働きが関与すると考えられる
投稿元:
レビューを見る
第1章 サルの「猿真似」
第2章 サイモン・セッズ
第3章 言葉をつかみとる
第4章 私を見て、私を感じて
第5章 自分に向きあう
第6章 壊れた鏡
第7章 スーパーミラーとワイヤーの効用
第8章 悪玉と卑劣漢―暴力と薬物中毒
第9章 好みのミラーリング
第10章 ニューロポリティクス
第11章 実存主義神経科学と社会