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紙の本

名著『想像の共同体』の著者で東南アジア比較政治学者アンダーセンの日本限定の自叙伝

2012/04/22 13:22

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る

大学や母国といった「ヤシガラ椀」の外に出よと説く、名著『想像の共同体』の著者で有名な東南アジア比較政治学者ベネディクト・アンダーセンの「日本限定」の学問的自叙伝である。「日本限定」なのは、英語圏では学者が自伝を書くことはほとんどないため、著者自身がそれを望んでいないためだという。

欧米では首相や大統領経験者は、かならずメモワール(回顧録)を書き残すが、それは政治家にとっては歴史に対する義務であるとみなされているからだ。学者による自叙伝が当たり前の日本語環境ではなかなか想像しにくいことだが、欧米においては学者はそうではないらしい。この学問的自伝は、弟子であり訳者でもある加藤氏と編集者に口説き落とされて、なんとか重い腰をあげて、日本の若い研究者のためになるとして執筆したものであるという。日本語がよめる読者はじつに幸いだ。

「何かが違う、何かが変だという経験は、私たちの五感を普段よりも鋭くし、そして比較への思いを深めてくれる。実は、フィールドワークが、自分が来たところに戻ってからも意味がある理由は、ここにこそある。フィールドを通して観察と比較の習慣を身につけ、やがて自分の文化についても、「何かが違う、何かが変だ」と考え始めるように促され、あるいは強いられるようになるからだ。前提になるのは、注意深く観察し、絶え間なく比較し、そして人類学的距離を保つ、ということだ」(P.143)

比較による観察については、これほど明確に書かれたものはないのではないかと思われる一節である。

ナショナリズム論の名著『想像の共同体』が書かれた背景を明らかにしている箇所がじつに興味深い。アイルランド人の血を引く著者の大英帝国に対する違和感、国民統合の原理であるナショナリズムに対する思いが、ただたんに学問的な関心である以前にアイデンティティそのものに由来するものであることが理解されるからだ。

東南アジア、とくにインドネシアを中心にして、タイやフィリピンに知的な関心を抱いている読者にとっては、研究者以外もぜひ読んでおきたい内容の本だ。繰り返すが、こんな内容の濃い学問的自叙伝を読める日本語読者は、じつに恵まれているのだ。日本語限定だからこそ書けた内容なのかもしれなからだ。

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2011/11/13 22:49

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