投稿元:
レビューを見る
灼熱の暗闇で誰にともなく助けを求める夢、深海に潜りその水圧と闇に押し潰される夢、舌を噛みきり止めどなく流れ出る血液を飲み干す夢。
本書を読み進める度に、幾度も夢を見た。そのどれもが暗く苦しく、逃げ出したくなる夢だった。
それほどに、この小説からは大きな衝撃を受けていた。
母親の顔も見ることが出来ずにコインロッカーに捨てられたキクとハシ、二人の人生はどれほどの苦しみを伴ったのだろう。
作中で男がハシに対して、お前は産まれた時以外は温い場所で甘やかされて生きてきた、と言うが果たしてそれはどうか。一番重要な基盤となるものが欠如してしまったものに対して、それ以降の幸福はどのような影響を与えるのだろう。答えと言えるべきラストに繋がっているのだと思う。
巨大な鰐を飼うアネモネは、キクとともにテロを企てる。東京を美しい灰の街に変えるというその計画。
エネルギーが溢れていると感じた。
これほどまでに力強い、読者を揺り動かすような小説は初めて読んだ。
物語に入り込んでしまえば、頁を捲る手は止まらなくなるのに、一度休憩を挟むとなかなか表紙を開けない。それでも読んでしまう。
十六歳の今、この小説を読んで感じ受け取ったものは、数十年後に読むときと比べてかなり少ないだろうし浅はかなものだと思う、でもだからこそ今読んでみて良かったと思った。
大切にしたい本になった。
投稿元:
レビューを見る
凄い速さで走り過ぎて行くような話。読んでいるときは苦しい。でも、読み終わった時に消化不良を起こさない。
投稿元:
レビューを見る
村上龍で1冊だったら、やっぱりこれかな。
それまでこんな世界に触れたことがなかったので
衝撃が大きかったです。
投稿元:
レビューを見る
「時には、僕を忠実に愛している者の頭を叩き割ることが必要だ。何のために?自分の欲求と出会うためにだ。」
投稿元:
レビューを見る
本好きな友達から勧められた1冊。
小説にしては長編で、
入り込むまでに時間がかかったけれど
中盤からはスピード感あるストーリー性で
一気に読むことができました!
人間らしい影の部分とか
ちゃんとあらわされてたのが印象的です!
投稿元:
レビューを見る
一気読みしてしまいました。いやー面白かった。
厳密に言うと、おもしろかったのかわからない、気持ち悪いし怖いし、不安になる小説。だけど、先の読めなさと二人の主人公を交互に登場させる手法は飽きる暇を与えない。
奇想天外でありながらも、根っこの部分は人間の原点、自分の存在意義や親とのつながりというリアルな苦悩を扱っているから、感情移入できるのだろう。
しかし上手い。ガゼル、山根、文鳥の鼓動、オートバイ…というつながりというかサイクルというか、あの辺が好きだった。
投稿元:
レビューを見る
ワニを飼う女の子っていうスタイルは岡崎京子が元祖だと思ってたけど、たぶん、こっちの方が先だよね。これに影響を受けたのかね、岡崎京子は。なんてことも思ったわけだけど、それは蛇足で、ハシとキク、アネモネのトライアングルが醸し出す協奏曲であり狂想曲の素晴らしさ。切迫感だなぁ、やっぱり村上龍の作品のキーワードは。すごい疾走感で、読んでる側の中にあるいろんなものを食い散らかして、いろんなものを崩していく。目を背けたいものを「ほら、これこれ、ここにあるよ」と目の前にかざすような小説。(10/2/21)
投稿元:
レビューを見る
読むのがつらい。みな汚れ苦しむ暗黒の世界の描写は気持ち悪くて感覚を逆なでしてくる。でも不思議とやめられない。あの癖のあるオリーブの実を、全然好きじゃないのにやっぱり食べてしまうそんな感じ。
彼らの奏でる不協和音の鳴り響くその世界に、否応なしに引きずりこまれてゆく。
2010/07
投稿元:
レビューを見る
ハシとキクの再会までがすんごい。
心臓をわしづかまれたような圧迫感。
圧倒的パワー。
人間の孤独に潜んでいる暗さ、辛さ、せつなさ、痛みをまざまざと見せ付けられた気がした。
自分が持つ語彙以上のものをうけとってしまって、表現できないのがもどかしい!
20歳になる瞬間に読んだ本だな。
投稿元:
レビューを見る
解説・金原ひとみで即買い。
見たくない見えないふりしてきたものを突きつけられるしんどさ。
もうとりあえず色々えぐられる。でも読み終わった後の消化不良がない。
投稿元:
レビューを見る
約10年ぶりに読み返した。
新装版になって一冊にまとまって、
太ましくなって読みづらくなった気がする。
非常に良かった、良かったが。
なんか尻窄み。
これだけエネルギーのある小説は無いわと思う反面
なんか物足りない。
リアリティのない生々しい夢を観ているような
モヤッてる。
キクが復活するシーンの爽快感と
気道に海水が流れこんでくる絶望感が最高。
投稿元:
レビューを見る
いやー長い。
元々上下巻分かれていたらしいので当然といえば当然か。
読むきっかけは漫画「東京怪童」他より。
読了まで凄い時間かかった、その上半端なく陰鬱で暗澹たる言葉の数々。
にも関わらず☆5つなのはその世界観、想像力、表現技術の素晴らしさのため。
終盤までは☆3つがいいとこかなという感想だったにも関わらず、
クライマックスから最後数頁、そして読了後、
言葉にできない圧倒的な感情に覆われ、読んでよかった、読み切ってよかったなと。
正直この小説が人生に絶対必要かといえばそうじゃないと思うけれど。
でも読み始めたら読み切るべき。
日本語を愛する人なら尚更。
*
自分なりに自分なりのコインロッカーから這い出てやろう、
方法は破壊だけでないだろうし、自分に合うダチュラを見つけてやる。
…とそんなことを思ってみたり。
投稿元:
レビューを見る
異様な雰囲気がやみつきになりました。コインロッカーで生まれた2人の少年、それぞれの追及するものが物語の鍵になっていて、自らを破壊していく痛々しさが印象的でした。
また厚めなので、読み終えたとき達成感が大きかったです。
もう一度読みたい作品です。
投稿元:
レビューを見る
この世界は、こんなに醜い、こんなに狂っている、こんなに不条理。そして、こんなに美しく、こんなに生命力に満ちている。
コインロッカーで産声をあげた二人。内に狂おしいほどの生命力を宿している二人。私はただ、この二人のパワーに呑みこまれるしかなかった。
投稿元:
レビューを見る
コインロッカーで生まれた2人の孤児のお話。
跳んでいくキクと歌うハシ。
対比する生き方をする兄弟の行く末とは。
きっとなー、中学生くらいのときに読んだら好きになったんだろうなぁ。
破壊衝動や世界に反抗心を抱いてる人にはいいんじゃないでしょうか。
個人的には文章の長さといいエログロ描写が合わなかったかなと。
でも最後まで読みたくなる、そんな不思議な力を持った作品でした。