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サトクリフと言えばローマン・ブリテン四部作(既読の「第九軍団のワシ」「銀の枝」「ともしびをかかげて」「辺境のオオカミ」)が出世作なわけですが、そこからは時代がぐ~んと下った11世紀のイングランドとノルマンディを舞台にした歴史ロマンです。 ものすご~く大雑把に言ってしまえば第一次十字軍なんかがあった時代、「荘園」と「騎士」の時代の物語です。
「騎士の時代」と言われるとどうしても「アーサー王」とか「シャルルマーニュ伝説」みたいなちょっとロマンチックな様子を連想しがちな日本人(それともそれって KiKi だけ? 笑)に、リアルな「騎士の生活」を感じさせてくれる物語だと思います。 領主以外は大広間の暖炉の傍で雑魚寝しているとか、その暖炉の煙突ではしょっちゅう煙が逆流するとか、オシャレ感のかけらもない生活がいきいきと描かれています。
物語としては孤児のランダルの成長物語なんだけど、KiKi はこの物語を読みながらそんな若者の成長物語・・・・というよりは、先日読了したばかりの「「里」という思想」にあった「時間的普遍性」(いつの時代も通用する普遍性)の本質・・・・みたいなものを感じていました。 と、同時に物語に流れる人生観には私たち日本人がかつては持っていた「人生とはすなわち無である」という思想に通じるものも感じました。 そういう意味では「場所的普遍性(どこでも通用する)と時間的普遍性(いつの時代も通用する)の合わせ技」的なものを感じていた・・・・とでも言いましょうか。
(全文はブログにて)
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サトクリフ初期の代表作の一つ。
中世イギリス、第一次十字軍の時代。
孤児のランダルは、アランデルの城の犬飼いにかろうじて養って貰っている育ち。
犬と同じような扱いを受けていました。
犬飼いが寝込んだときに、犬がいうことをきくのはランダルだけだったのですが。
亡くなった母はサクソン人、父はブリトン人でした。
城主ヒュー・ゴークの帰還を屋根の上から覗いていたのを見つかり、むち打ちにされそうな所を居合わせた楽人エルルアンの機転で助けられます。
エルルアンの計らいで、初めて連れて行かれた土地ディーンに、なぜか帰ってきたような気がしたランダル。
ディーンの荘園の領主である騎士エベラードに渡され、孫の従者になるよう、一緒に育つのです。
孫ベービスは一つ年上なだけで、他に友達もいない。
最初は警戒し合いますが、すぐに心通うかけがえのない存在になっていくのでした。
立場は違っても…
ベービスは母を早く亡くして、母代わりの女性アンクレットに育てられました。
浅黒く賢い女性で、ブリトン人よりも古い民の伝統を守り、村の人にとっては貴重な薬剤師のような存在。
キリスト教が広まるに従って、異端の魔女という疑いをもたれるようにもなります。
ノルマン人の征服王朝の時代。
領主エベラードもノルマン人ですが、30年来すっかり土地に馴染み、村人にも同じイギリス人と思われていました。
先の王がウィリアム征服王。
王には3人の息子があり、次男がお気に入りだったので、イングランドを次男ウィリアム(赤顔王)に、大陸の領地ノルマンディを長男に、そして三男ヘンリーにはわずかな金額しか与えなかった。
3人は機会あるごとに張り合い、王位を争うことになります。
ランダルやディーンの村人達も、何かと巻き込まれることに。
ランダルがお城でひそかに見聞きしたことも、事件に繋がっていくのでした。
ディーンの領地を守るために、単身、危険な相手に立ち向かったランダル。
それはまた、敵を作ってしまうことにもなったのですが。
命がけでかばい合う人々。
時代背景の中での少年の成長を描いて、胸が痛くなるような感動があります。
いつも傍にいる大きな犬たち。
あざやかな季節の移り変わり。
ハシバミの黄金色の若芽を先駆けに春に目覚める森。
男の子は騎士の小姓になり、従者になって勤め上げ、寝ずの祈りをして、騎士として叙任されるのを待つ。
状況をありあり伝えてくる着実な描写に、シンプルな荘重さがあります。
児童文学の名作ではありますが~十分、大人にも読める内容。
むしろ歴史的な部分など、小学生にはやや難しいかも。
この内容で漢字が少ないのがちょっと辛いけど。
のめり込んで読み上げました。
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大好きな作品のひとつ。サトクリフ作品ではこれが一番好き。
ノルコンちょいあと位の時代設定なんだけど、その雰囲気がすごく伝わってくる。
主人公ランダルの成長とか色々見所がたくさん。
とにかく皆に読んでもらいたい作品。
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11世紀のイギリスを舞台に、孤児ランダルの波乱に満ちた半生を描いた作品。
イギリス好きをもって任ずる私ですが、この辺の歴史がとんとわかりません。
支配層はノルマン人。
被支配層はサクソン人。
王位は安定しておらず、王位をめぐる小競り合いが絶えない。
そして主人公のランダルはサクソン人、ノルマン人より昔からこの島に住んでいたブリトン人。
孤児のランダルはアランデルの城の片隅で、城主の犬の世話をしながら過ごしている。
ひょんなことから城主の怒りに触れ、むち打ちの刑に処されるところを、たまたまそばにいた楽人のエルルアンに救われる。
人の親切に初めて触れたランダルはエルルアンのそばにずっといたかったが、騎士ダグイヨンの館に引き取られる。
ダグイヨンの孫、ベービスには同じ年頃のともだちがいなかったから。
児童文学なので、この辺の友情の育みかたとか、愛情・尊敬・恐怖などの感情がストレートに表現されていてわかりやすいはずなのに、社会情勢が難しくって何度も何度も読み返す。
史実に即したフィクションで、単純なハッピーエンドではないけれど、読みごたえは十分。
ただ、タイトルほど「運命の騎士」を感じはしなかったな。
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面白く読んだけど、いかにも児童書、という感じの内容。
主人公は、今後、正しく生きていかないといけないくて、
さぞキツかろうな、と余計なことまで考えた。
(前任者が評判いいと、後任者は比べられて大変だからなぁ)
「お話」なので、実際には、心配不要な訳だけど、つい主人公の行く末が気になってしまうくらい、読んでいて気持ちが入る作品でした。
(主人公にモデルがいたら「ランダルの生涯」とか、ネットでググッてたと思う)
そもそも狂犬病にかからず、よく生きてこられたなと思う。
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アーサー王と円卓の騎士などで有名なローズマリ=サトクリフの書いた物語です。大分前に読んだので記憶頼みで申し訳ないです。
運命のというタイトルからロマンチックなお話を想像される方もいるかもしれませんが、さにあらず。少年が生きていく上での時代ゆえの過酷さ、信頼できかつ尊敬できる庇護者との出会い、そして...というところを、真に騎士が戦い続けていた時代のリアルな描写と共に描いています。ラストは涙が止まりませんでした(いい大人になってから読みましたが)。
でも、それをも受け入れて生きて行くのが人生なのかもしれない。
しかし、運命の騎士という日本語のタイトルですが、原題はKnight's Feeなんですよね。
なるほど何に力点を置くかだなあとから調べて感じました。
少年の成長物語にイギリス(イングランドか)のできる過程が大きな流れとしてあるといった感じでしょうか。土地に根付き生きる人びとの様子も、その衝突も、歴史の授業では大抵ノルマンコンクエストの単語くらいしか記憶に残らないので、新鮮でした。
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1100年前後のイギリスが舞台のサトクリフの作品。サクソン人とブリテン人の混血児にして孤児のランダルはひょんなことから老騎士の小姓(ペイジ)になり、騎士の孫にして従者(スクワイア)のベービスと友情を育みながら成長する。
あいも変わらずサトクリフは登場人物に試練を与えるが、(当たり前だが)成長を促すものである。そこには登場人物の少年たちへの深い愛が溢れている。
ノルマンとサクソンの並立と融合ー生活にしても宗教にしてもーも大きなファクターとして描かれているが、この意識は未だにイギリス人の中に存在するのだろう。ドラゴンウォリアーズ、もしくはブラッドソードの世界のレジェンドにもキリスト教とそれ以前の宗教を合わせて描写されている。
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ローズマリ・サトクリフ『運命の騎士』(猪熊葉子訳,岩波少年文庫2021年5月第4刷)の感想。
ノルマンコンクエストから数十年後のイングランド、孤児で犬飼いのランダルはふとしたきっかけから数奇な運命をたどる。
少年の成長とブリテンの歴史を絡めた物語はサトクリフのいつもの手法で描かれ快い。勇気や友情の他、負の感情に捕らわれるランダルの心理もしっかりと伝わってくるので一層親しみを覚える。象徴的な赤い琥珀の存在も強い印象を残す。
端端の描写から時代背景、風土、人人の暮らしなどが伝わってくるのも巧み。私は犬や馬と暮らした事が無いが、その辺りも読者の記憶を喚起させるように描かれているのだろうと思う。
原題は"Kight's Fee" 直訳すれば騎士の封地というところだろうか。故郷とは何かというのがテーマの一つになっていると思う。
読み終えて振り返ると離れがたい故郷のような、そんな素敵な読後感を与えてくれる作品だった。
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11世紀末から12世紀はじめにかけてのイギリスを舞台に、犬飼の少年・ランダルが騎士になるまでを描児童文学作品。
同作者の『炎の戦士クーフリン』を読んだことがあるけれど、もはや神話の時代ではないからか、本作の方が文体に優しさを感じる。それでもやはり硬派で美しい文章だから、読んでいて心地良い。
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故郷も家族もいない孤児のランダルと心優しいベービスを中心に描かれるお話です。イギリスを舞台としておりこの時代におけるイギリスの文化、慣習そして歴史を学ぶことができます。