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ゲームセンターで見た少女2人が隅田川で心中を図った。
その日から再び私はカメラを持つようになった。
夜の川を撮っていると川へ飛び込む少女を止めている男と出会った。
彼はあの心中で亡くなった少女の父親で
生前彼女ときちんと接しなかったことを悔いているという。
彼と出会ってから私の写真には彼の孤独と虚無が写りこむようになった。
再び彼に会おうと川を放浪するが彼はここにはいないとホームレスに告げられる。
「隅田川」
マイナー作家だった我王健児の評伝を書くために
私は彼が最期の時を過ごした出版社の保養施設に住み込んだ。
稲妻に打たれて感電死した彼の幽霊が出るという噂だったが
ベランダにからみつく蔦以外には怪しいものはない。
聞き込みを続けていくと、彼は生前保養施設の所有者である会長と
家族ぐるみでの付き合いをしていたと聞く。
そして彼には恋人がいたらしいという話も。
「定家」
美しいカウンターテナーを持つ蝉丸と攻撃的なギターを響かせる逆髪。
恩師である由井捨麿の遺児である彼らと博雅は理想的なトリオだった。
別々の場所へ預けられた2人を見舞い続け、
今は小さなプロダクションではあるが全国ツアーの最中だ。
しかしツアー中に自分が結婚することを告げたときから
3人のバランスは狂い始めた。
「蝉丸」
カバー写真:SABURO HORIBE/SEBUN PHOTO/amanaimages
ブックデザイン:鈴木成一デザイン室
やっぱり中山さんの話はどれも濃いです。報われない恋に苦しむ人々。
登場人物に芸術家が多いのも感情的な恋をするせいなのか。
「サイゴン・タンゴ・カフェ」に比べれば情念のようなどろどろさが控えめです。
「蝉丸」で結婚を給水所に喩えるところがあって
恋愛と結婚は全く別に捕えているのだなあ。
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中山可穂さんの本は初めて読みました。中でも蝉丸の話が一番好きでついついページをめくるのが早くなりあっとゆうまに読み終わりました。
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3つの話が入ってる短編集
中山可穂はやっぱりすごい 圧倒的に素敵 すごすぎる
あんな空気のなかにいたい
20110928追記
隅田川
エロティシズムと水の冷たさと火傷しそうな熱と壊れそうなぎりぎりのバランスの上の愛 泣きたくなるような美しさ
定家
激しい雨と雷の音のなかで やわらかな薄い布にくるまれる 愛は辛くて悲しいのに少しも冷たくない
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同性愛をテーマにした恋愛短編小説が二本と、ある三角関係の顛末。
あまりピンとこなかった。
自分に正直になるかはおいといても、みんな自分の性的指向を自覚しているように思える。自分が何者かわかっている。どうして私はそうじゃないんだ。
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「隅田川」「定家」「蝉丸」の三本からなる悲しい愛のお話。説話や古典小説からとった「弱法師」もそうですが、こちらも古典能楽に題をとったお話。個人的には「隅田川」が一番好きかも。
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最近精力的に読んでいる中山可穂さんの作品。
とにかく一つ一つの作品にズドン、と打たれる。人の心を見事に抉ってくると言うか、読むうちにその重圧に泣きそうになる作品というか、もうとにかく3つの作品すべてが重々しくも美しくて、またこの人にはまっていく自分に気がついた。
ホントにすごい。
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読了後の、
爽快感など、
全くなく、
ねっとりとした泥の中に、
足を突っ込んでしまったような、
嫌な感じに、
しかしそれが、
この小説のパワー故かと思えば、
ただただ、
凄いの一言に、
尽きる。
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すごく良かったです。
こういう恋愛小説がもっと読みたい。
ほかの中山さんの作品とは印象が違いました。
単行本だったからかもしれないですけど。
描写が丁寧で好きです。どのお話も。
特に最後の蝉丸。
蝉丸に幸せになってほしいです。
あれくらい純度の高い感情をもてることが素敵ですね。
100じゃなきゃ嫌だ、と言い切れる彼の潔癖さに惹かれます。
博雅が蝉丸をきちんと見つけられるといいな、祈らずにはいられません。
人を愛することがどういうことなのか改めて感じさせてくれるような本でした。
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懐かしい中山可穂さんの作品。
学生の頃に貪るようにして読んだときのものから数段進化している。
それは男女間の愛、男同士の愛の物語が含まれているせいかもしれない。
隅田川はすっと読めたが、
真ん中の作品は途中少し読み飛ばし、
蝉丸はゆっくり読んだ。
愛とは何か。そして世間体を捨てた博雅の選択に拍手を送りたくなった。
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図書館で借りて読みました。
隅田川で自殺を図った女子高生2人をゲームセンターで見かけた元写真家の卵だった女性が、自殺したうちの1人の父親と出会う話「隅田川」、リゾートマンションのべランダで雷に撃たれて変死を遂げた小説家の伝記を書くために、亡霊が出ると噂のその部屋に住み始めた女性ライターが小説家の最期を生活にふれる「定家」、一家心中を図った作曲家の弟子だった主人公の24歳男性・博雅が、助かった5歳の蝉丸と10歳の姉・逆髪の心の支えとなり、音楽で関わりながら、それぞれの叶わぬ愛を描いた「蝉丸」の3作品。
テーマは重たいけれど、一人の人への強い思いと、その愛を貫くって素晴らしいなと思える話でした。
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真実の愛しか欲しがらずに、頑なに尖り続けて、
誰かの愛を邪魔しないために。そんなふうに
生きていったら、いつか折れてしまうだろう…。
幻想と幽玄のなかに濃密な愛の姿を描き出す
全3編。
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別の本はつまらないな、と捨て置いたけどもこちらの本はなかなか面白かったです。「美しい歌声」というのは、小説で書き表す事が難しいんだなと思いました。私はこの中にある三作品なら定家が好きかな。
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作者中山可穂さんは確かゲイというかレズの恋愛を描いてきた作家だと思っていたが、今回は女と女、男と男、男と女と様々な恋愛模様を描き出そうと短編集に挑戦している。すべてに共感できた訳ではないが、いくつかぐっと来る短編があり面白く読めた。愉しめるという小説ではないが、悪くないかな。
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特に「隅田川」が良かった。存在したとおおっぴらに言えないものを残そうとする(わたし)切迫感、忘れないで弔い続ける人(薔薇の騎士)。
題材はたいていいつも同性愛なのだけど、私は中山可穂の「おおっぴらに言えないもの」への執着の描き方が好き。そこを読みたくて読んでいる気がする。性愛だけではなくて芸術が絡んでいる設定の方が引き込まれる。
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2021年4月15日
この作者はLGBTとの関係が深い。
なんだかそっちに話をもっていく。
悪くないけどそれオンリーって私にはあんまり…
壮絶な愛は辛すぎ。
もっと穏やかでいい。