投稿元:
レビューを見る
たまーに、ビジネスの文脈で「変化できるものが生き残る」的な話をされるんですが、これがダーウィンの言葉かというと微妙だそうで(経営学者メギンソンの解釈)、確かに本著を読んでもそういう表現は書いてありませんでした。
ビジネスでそう言われる時って、「だから我々が日々やっているコト/意識を変えよう」なんですが、本著を読んでいると、「世代交代の中で形質等が変化していき、自然淘汰が進む」というコトなのかなと。
ダーウィンも、引き合いに出されて困っているかもしれません(笑
というコトで、きちんと触れる機会のなかった本著、あらためて向き合ってみました。
本著、筑波大学の生物学教授の手による新訳で、今では否定されている事柄や、著者自身が増刷の際に修正した事柄までしっかり注記されており、160年前の本を読むことへのモヤモヤ感を解消してくれるだけでなく、これだけ前の本なのに、現在でも一定の正確さが認められ続けていることへの驚きを感じます。
(とはいえ原著の出版は江戸末期なので、そこまで昔ではない?のかも)
本著を読んでいて特に感じたのは、ダーウィンの学問に対する誠実な姿勢です。
まだ解明できていないコトを正直に書きながら(あるいは、こんな疑問がある、と課題を提示しながら)、方向性を提示し、これは全体としての科学の発展に繋がったんだと思います。
当時の世の中のトーンをあまり理解できていませんが、キリスト教的な創造説が一般常識となっていて「うっかり神の偉業を否定すると異端審問で殺されてしまいかねない(?)」中だからこそ、著者はこれだけ突き詰めた論考を発表して、結果としてこれが科学的な手法として広く広まったのかしら…なんてコトも思いました。
(リベラルアーツの上位に存在した神学を、その座から引きずり降ろすための試み?だったんでしょうか…)
あと、最近読んだ現代日本の著作2つともリンクする点を見つけて、何だか嬉しくなりました。
栽培種における形質の変化では、『奇跡のレストラン アル・ケッチァーノ』の在来種の野菜を栽培するくだりを想起しました。1世代でも意外と変異があるというのを、既にダーウィンが書いていたとは…。
https://booklog.jp/users/skylark0311/archives/1/4167903237
また、農家が作物の収量を上げるには異なる種類の作物を輪作するが、「自然は、同時輪作とでも呼べることを実行している」のいうくだりからは、『奇跡のリンゴ』の自然農法を想起しました。
https://booklog.jp/users/skylark0311/archives/1/4344416457
最近読んで、「へーっ」となったコトが、まさか本著に書いてあったとは…。
本著における営みの延長線上として、人類はDNA検査というマイルストーンに辿り着いていて、進化生物学や遺伝学といった分野は今後も花開いていきそう。
凄いのは、1859年に出版された本著からそのラフスケッチのようなものを感じ取ることができるということです。
「一般読者向け」の本だそうなのですが、個人的には新訳ながら慣れない単語が多くてスイスイ読めるとまではいかず、分量的にも結構大変だなぁと思いました。とは言え、下巻もぜひ挑戦しておこ��と思います!
投稿元:
レビューを見る
この本は、誰もが知っているダーウィンの「種の起源」ですが、実際に読んでみると、とてもよく研究された本で、めちゃくちゃすごい本だと思いました。
世の中が「この世は神が作ったという」創造説を信じている中で、生物進化論を科学的に証明した本書は、まさに時代を大きく変えた歴史的な本だとと思いました。
ぜひぜひ読んでみて下さい!
投稿元:
レビューを見る
自然界のあらゆるものは神の計画に従って役割を分担。種は永遠不変。動植物の分類。リンネ
※スウェーデン
生き残る種は、変化に最も適応した種。最も強いから、最も知的であるから生き残るのではない。▼有利な個々の変異を保存し、不利な変異を滅する。これが自然淘汰である。ダーウィン『種の起源』
投稿元:
レビューを見る
農業高校を卒業したくせに今まであまり生物関連の本を読んでこなかった。そんな自分に喝を入れるため『種の起源』に挑戦したが、結果は最高の読書体験でした。
地球環境に適応し、柔軟に種を分岐させてきたすべての生物の地道な足跡を、強い愛情と探究心を持ってダーウィンは追求する。
ミミズと土についての著作も読みたい。
予想外な点
・創造説に対しての気配り
・読みやすい
・優生思想や競争心を煽ることは書いてない。