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登場人物の言にもあるとおり命令する人間とされる人間が厳然と区別されている時代が舞台で、おれほんとに現代に生まれて良かったと実感しつつも、去った時代にはもはや取り戻せない美しさがあるのだなと思ったり。規律とか分相応とか人に仕える誇りとか。
気詰まりな古い時代に生きるのは勘弁ですが、じゃあ個人として生きざるをえない現代で我々はどこに誇りを見いだすかねって自問自答。
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貴族・お屋敷・メイド・ミステリーとても好きな設定でした。98歳のグレイスがリヴァトン館でメイドとして働いていた頃を振り返るのだが・・・タイタニック!?と思ってしまった。
全体的に説明しすぎ、盛り込み過ぎな気がします。
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書店でふと目について、
「エマ」の作者、森薫さんの推薦文もあったので、
次の機会に手に入れようと思っていたのは、去年の秋ごろ?
購入したものの、しばらく積本になってました(苦笑
洋書多読の調子が戻らないので、和書に手を出してみたんですが…
思い起こせば、私…日本語読むのも遅かった(爆
そんな私でも、グイッと掴まれて引っ張られちゃうようなストーリーでした☆
1924年、イギリスの由緒あるリヴァトン館で起こった事件。
詩壇の新星と謳われていた詩人がパーティーの最中に自殺し、
それを二人の姉妹が目撃していた。
当時、リヴァトン館にメイドとして仕えていたグレイス。
彼女は、館のこと、姉妹のこと、事件のこと、
全てに対して口をつぐんできた。
しかし、あの事件を映画化するために訪れた映像作家との出会いが
きっかけとなり、グレイスは当時の真相を語り始める。
…ストーリーはこんな感じでしょうか?
なんていうか…
舞台がイギリスのせいか、それとも時代背景からか、
常に霧がかってる感じがしました。
常に灰色って感じ(苦笑
600ページほどあり、確かに長いんですが、
長かっただけ価値のある本って言ったら良いのかな?
ただ長いだけじゃなく、長くて良かったと思わせてくれる本でしたw
もう、始終心を掴まれて離されず、読んでない時も霧が周りに漂ってるみたいで、
読み終わった今は、解放と共に掴まれてた余韻が残ってる感じ…です。
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あなたは秘密の扱いの達人だとわたしは信じています。
「あの悲劇の真相も。
死を目前にした老女が語り始めた真実とは……。」
という、紹介文に惹かれて読み始めたのだけれども、
いかんせん長い!
主人公がメイド(侍女)で、物語の核がお嬢様なので、
彼女への羨望や忠誠などはとても良く伝わってくるのだけれど
事件を期待して読むには長すぎた。
ミステリーというか、お嬢様の人生を傍らで見守り続けた
主人公の回想って感じ。
肝心の事件の顛末も、個人的には呆気なかったのが残念。
でも最後まで読みきれたのは、やっぱり貴族の華やいだ雰囲気から
登場人物それぞれの感傷が、細かに描かれていたからだと思う。
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第一次世界大戦〜第二次世界大戦後までを主に軸にした、ある館を巡る物語。ミステリー要素あり。時代の移り変わり、美しいドレス、どれをとっても素敵。過去と現在が混ざり合う形も良い。でももう少しひっくり返して欲しかったかも……。
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件名から現代風のゴシックロマンス・ミステリを想像。イメージは大幅には狂わず、老女の一代記と隠し続けた秘密が解き明かされ最後のページに集約していく。エピソードに目新しさはないが、全体に流れる、秘められた狂おしい想いに惹きつけられ読み進める一作。
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『悲劇の真相』は読み終わってみれば、「そんなこと?」みたいな感じはするけれど、でもこの時代だからこそなんだろうな、と思うとひどく切ない。
凋落直前の英国貴族や、その屋敷で働く人々、あるいは新興成金のようなアメリカ人一家が生き生きと描かれ、ノスタルジックというか、とても雰囲気のある小説だと思う。
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没落する貴族の館でメイドとして働いた女性の、謎に彩られた回想記。
これはミステリーじゃないよ、ミステリーとしての人生なんだよ、というところで読んでよかった一冊。
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98歳になった女性グレイスが、過去にあった事件の映画化について、意見を求められる。
10代で貴族の館のメイドとなり、お嬢様の侍女となって、現場にいたのだ…
母一人子一人の貧しい育ちだったが、意外にも後に勉強する機会を得て学者にまでなったらしいグレイス。
最愛の息子マーカスが今は行方知れずになっていて、彼に残すためにテープを吹き込む。
あの悲劇の真相を…
第一次大戦の頃、アシュベリー卿の館。
田舎で仲良く暮らす卿の孫ハートフォード兄妹たちデイヴィッド、ハンナ、エメリン。
メイドになったばかりのグレイスは同じ年頃の彼らに憧れて、ひそやかなゲームを見守っていた。
若い人たちが出征していき…戦争の犠牲者が多く出たことを偲ばせます。
厳格な執事や腕自慢の女性コックや先輩メイドの指導を受けながら成長するグレイス。
従僕のアルフレッドとほのかに好意を通わせるが、彼は出征し、帰ってきたときには、別人のようになっていた。
戦後、ハートフォード家では兄の大佐が死んで当主となった次男フレデリックが、工場の経営に苦しむ。
その娘達は成長していた。感受性の強い長女のハンナは結婚したくないという少女だったが、当時、貴族の娘の生きる道は他に考えられなかった。
やがて、アメリカ人の銀行家の息子テディ・ラクストンに嫁ぐことに。
若者の少ない時代、比較対象もほとんどなかったとグレイスは思う。
ハンナとだんだん親しくなっていたグレイスは、ハンナの希望で侍女となって、婚家に同行する。下っ端のメイドよりはだいぶ出世したということでもあった。
ハンナの所へ、兄の戦友ロビー・ハンターが、最期のときに頼まれた品を手渡しに来て、何気ないつきあいが始まる。
ロビーは詩人だったが、シェルショック(戦争後遺症)に悩んでもいた。
妹のエメリンはロンドンに出て、次第に奔放な娘に。
エメリンの不始末をかばうハンナ。
エメリンをパーティにエスコートするのを口実に会いに来るロビーと、ハンナはとうとう恋に落ちる。
そして、1924年。
ハンナの夫が選挙の地盤を継ぐためにリヴァトン館を再興しようとし、盛大なパーティを催すが‥?
ゴシック風なロマンスとミステリの融合。
いったいどうなったのか?ぐいぐい読まされます。
メイドの目を通しての世界というのも面白いですね。
身近に接していて親身な気持ちなのだが、越えがたい違いもある。
老境になって振り返る意味や、映画化という状況も、捻りが加わっています。
痛切な物語ですが、着実な筆致で読ませ、救いもあります。
著者はオーストラリアの新人作家でこれが2006年のデビュー作。
ベストセラーになり、アマゾンのベストブック・オブ2008にも選ばれたそう。
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今朝やっと読了。
いろいろと思い浮かんだ・・・ゴスフォードパークとか、いや、う〜ん、私にはタイタニックな感じかな。(3/16)
介護施設で暮らす、98歳の老女グレイス。
彼女には、生涯誰にも話すまいと誓った真実の物語がある。
墓の中にまでひっそり持ち込むつもりでいたその秘密とは。
老女グレイスの元へ、彼女がかつて奉公していた大貴族の家族の物語を映像化するので、
セットなどみて意見をきかせて欲しい、と連絡がくる。
心の奥に、ずっとしまいこんでいた過去の物語。
気持ちはするすると1924年に舞い戻る。
その過程が、映画「タイタニック」の老女ローズの思い出からの場面転換に似通ってた。(途中、ロンドンの街角で新年の祝いに、庶民に混じって貴族のお嬢様が踊ったりする場面があり、ますますタイタニックだ!と感動したりして・・・)
大貴族の家族と、奉公人たち。
華やかな晩餐と、戦争の暗い影。
新しい時代への足音が聞えても、古臭く変わらぬ女性の地位。
ミステリーではないけど、いろんなことが伏線になっていて、おもしろかった。
速記ね・・・。
それは思い浮かばなかったなぁ。
601頁、結構な頁数だったけど、ダレることなく最後まで緊張感を保てて、大変に楽しめた♪(3/25)
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「つぐない」+「ゴスフォード・パーク」みたいでした。“THe Forgotten Garden”の翻訳に期待してみよう。
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好き、ノスタルジックでよかった。のだけど、先に二作目を読んでしまったので期待いっぱいなぶん余計なのかもしれないけれど、翻訳の粗さ、力んで直訳してるようなセンテンスもある冒頭部分から徐々に訳すことに慣れていったんだな、という過程が目についてしまってとても残念だった。創元での改訳版を望む。翻訳はむずかしい。物語を別の言語で一から語りなおすのだから。
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2作目の方を先に読んだので、ちと期待はずれというか、もし次作も同じようだったら、この好みのタイプの設定もきっと飽きる。こっちを先に読んでたらよかった。
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メイドの視線から見た、イギリスの由緒ある屋敷の
人間関係あれこれ。
「古き良き」という言葉のぴったりの、
色々なつぼを押さえたヒューマンドラマです。
些か型にはまりすぎ。
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リヴァトン館で起こった事件を年老いた元侍女が回想する。
事件の真相は想定内。
しかしこの物語はミステリではなく、時代の因習に囚われてそこから抜け出そうとした1人の女性の人生を描くものなのでさほど気にはならなかった。
600ページの長い話の冒頭から少しずつ不安を折り重ねていく。描かれている貴族の華やかな暮らしとは対照的なその重さと暗さ。
それが最後の1章を鮮やかに浮かび上がらせている。
もっと言ってしまえばそこまでの590ページを越す物語は、それがなくても小説としては成り立つ最後の2ページのためだけにあったと。
いや、すごい構成だった。