紙の本
雨降るお休みの日にたまには考えてみたいこと
2011/04/02 17:05
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:rindajones - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の大半を読んだ翌日、隣の雑貨屋兼クリーニング屋さんへ宅配便をお願いに行った。今回の震災の日に「(日経平均)株価暴落してたもんね」という私の反応に驚いたお店の店主(オバサン)はやはり株をやっていた。というのも、宅配便の送り状を書いている最中その店主から
株は底やろうかね?
と尋ねられた。
「株価暴落してたもんね」「落ちたのぉ~?」という会話しかしていないのに、店主は私との会話を覚えていたようだ。
銀行から勧められて、訳も分からず株を買った(買わされた)事情を聞かされると、「株の底値は誰にも分かりません」とは、彼女にはあまりにも冷酷過ぎる回答だと思い、「それが個別株なら、その株の銘柄や業種によりますね。どんな株ですか?」と尋ねてみたが、分からないとのこと。更に悪いことにそれが外国企業株らしいとのこと。「外国企業株の購入事態は悪いことではないが、その企業やその国の事情を知らないとダメでしょう」とは、これまた説教っぽくなるので言えなかった...。
「そんな買い方はダメですよ」とはやはり答えられず、色々と買った経緯などを尋ねると、何と震災前からその株価は下落中、その銀行員に売却をお願いしても「今は底ですから大丈夫」という回答で、売却できずにいたようだ。株価や損失を見るのも嫌な日々が続いていたようです。
私は「売却して気分が晴れる/軽くなる場合もありますよ」と答えると、「そうよね、そうよね」と店主は嬉しそうな笑顔になりました。ついでに「株価なんて 1/100 にもなりますからね」と言うと、「よし、売ろう!」と勢いづく店主。これはちょっと余計なアドバイスだったかも...。
勢いついでに尋ねた、「生命保険入ってますか?これも株並みかそれ以上にリスクがありますからね」というと、店主の笑顔は再び曇りました。どうやら、最近満期になった保険を切り替えたところ、年齢のために高額になった支払いに悩んでいたようです。
色々と事情を聞いた後の私の回答は
「その月々の数万円はオバサンが生きている間に楽しいことに使った方が良い、娘さんと海外旅行に行くとかね、娘さんが生命保険を当てにしているなら別ですが...、これまで何十年も(保険料を)払い続けているから払うのが当たり前になっているかもしれませんが、お子さんが独立したりで状況は変わっていますから、それに合わせるべきですよ」
というものだったが、店主は「そうそう、払うのがクセになってる。そういう風に考えたことがなかった。おかげで気分が軽くなったわ。ところで、そんなこと知ってるあなたは何屋さん、弁護士さんか何か?」
あはは(笑)、単なるコンピュータエンジニアです。ちょっとここ1年、その辺の分野に興味があって本を読んで、少しばかり資産運用しているだけです。
という、長ったらしい実話を前置きにしてしまって恐縮ですが、店主に話したことの大半は本書に書かれていること。店主との会話の冒頭から、本書を思い出したので、著者の視点と私の解釈を交えてアドバイスしてみただけです。控えめに見ても、店主は色々納得して頂いたようで、少しはお役に立てたように思う。
橘玲の本はここ数ヶ月で何冊か読んで、彼の考えや知識に大いに感銘し、更に自分の知的好奇心をくすぐられるようで非常に楽しい。本書は彼の著書の初期?になるようですが、現在の著書からその主張は変わっていない。彼の主張のエッセンスが良くまとまっている本だと思う。
短い章でありながら、章ごとのつながりも良くて非常に読みやすい。速読はしない(苦手な)私でも、一気に読めました。
生命保険で愛情を証明できますか?
人生最後の数日で医療保険は破綻する
人はなぜ「お受験」に夢中になるのか
などなど、刺激的(中には身につまされる方もいるかも...)ではあるが素朴なテーマをタイトルにした章は、どれも素直に納得できる。ここまで考えるか?という難解な解釈では全くないと思う。
人生を金勘定で語るだけでいいの?
という著者に対する質問にも真摯に応えられている。著者は決して何も強制はしていなく、リバタリアンを評価する者らしく「個人の自由」を限りなく尊重しています。
私が読んだのは改題される前の「雨の降る日曜は幸福について考えよう」でした。僕はこちらのタイトル方が好きですが、一般には抽象的で分かりにくかったのでしょうか...。
「幸福」は個々人で違うでしょう、当たり前です。お金で買える「幸福のカタチ」も少なからずあるとは思います。そんなことを、雨の降る休みの日に考えるのも、たまには良いと思いますよ。「晴れた日」はそんなこと考えるよりも、外で遊びたいですからね。
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経済的独立を成し遂げたいですが、社会人として目の前のもろもろのことにかまけていて、とても手が回らない・・・。
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クール。
押し付けがましくない。
軽そうに見えて案外重たい。
世の中、生き方、お金について考えるヒントをくれる。
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自分と家族のささやかな幸せを実現することは、
そんなに難しいことではない。必要なのは、努力・工夫・知識であるとのこと。気づきが多い本。薄くて読みやすい。
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メモ
(1)国民年金は投資としてとてもすばらしい!
(2)リバタリアニズムの立場からすれば、世の中おかしいことだらけ!
(3)制度を批判しても、それを担う個人を批判しない、なぜなら匿名の人間が実社会の人間を批判するのは公平でないからだ。
私も、橘さんの潔さを見習いたいと思うよ。
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メインとなる考え方は依存しない生き方。
環境に振りまわされない生き方をしないことには自由に生きることは出来ない。
自分の考え方に近い内容なのでそんなに新しい発見は無かったです。
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何だか読んだことがある話だな、と思ったら「雨の降る日曜は幸福について考えよう」の文庫化リニューアルだったようで。
いわゆる儲け本、だと思うと肩透かしをくらう、ネガティブな話満載の幸福論。
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2004年に出版された「雨の降る日曜は幸福について考えよう」を書名を変えて文庫化したもの。2009年出版にあたり、情報は更新されている。
3ページ程度の短い文章で、明快に、世の中の経済的落とし穴を語っていく形式。人生を乗り切るための経済的アドバイスは、時に苦い薬のようだけれど、読んでおくといいかも。
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マネーロンダリングの著者による、世の中をちょっとシニカルに、かつ冷静に語った本。言っていることは一つ一つ非常に説得力があって興味深い。人々の集団とはかくも愚かになるのか・・・そんな気がしてくる。
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橘玲が綴る40の物語。
厳しい現実を淡々と、クールに、気持ちいいくらいビシビシ突きつけてくれます。
マイホームご購入、生命保険加入を検討中の方にご一読頂きたい。
どちらも考えてないけど、年金がもらえるのか心配な方も是非。
名言だと思った部分を一部抜粋。
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・生命保険というのは、身も蓋もない言い方をするならば、宝くじの一種である。保険料は宝くじ代金の分割払いであり、自分が死ぬと保険金という名の当せん金が支払われる。
さらに、一般の宝くじと同様に、生命保険の場合もほとんどの人が損をする。おまけに経費率が高いので、ギャンブルとしては救いがたいほど魅力がない。だが、抽選に外れたということは自分がまだ生きているということだから、文句を言う客はいない。
・保険とは損をすることに意味のある宝くじなのだ。
・全財産百万円に加えて四百万円を銀行から借り、五百万円を一つの銘柄に投じる人がいる。資産運用理論からすれば彼のやっていることは狂気の沙汰だ。不思議なことにこの国は彼のような危険な投資家であふれている。
五千万円のマイホームを購入するのに、ほとんどの人は一千万円の自己資金しか用意しない。残りの四千万円は住宅ローンで借りるからだ。誰もが当たり前と思っているが、やっていることは不動産を投資対象とするハイリスクな信用取引と変わらない。
・米国では目の前に理想の病院があっても、ほとんどの人がその恩恵を被れない。最高の治療を受けるためには金が必要なのだ。
・だが、私たちにも、十分な治療を受けるために必要なものがある。それは時間だ。・・・・・・・日本では暇な人ほど質の高い医療を受けられる。金で患者を差別するのは不平等である。では、時間による差別は何と呼ぶのだろう。
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この本はあくまで橘エッセンスを集めたものだと思うので、『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』とかもっと厚めの本で勉強しないとちゃんとは理解できないかな。復習せねば。。。
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・サラリーマンの人生は定期預金に似ている
・人生にはリセットボタンはない。旅はいつかは終わり、戻るべき家はない。
・人生の選択肢を幾つ持っているか?
・未知の海への航海は、安全だけれども単調な一本道を歩むより、ずっと魅力的ではないだろうか?
・生命保険はギャンブルとしては救いがたいほど魅力がないが、抽選に外れたということは自分がまだ生きているということなので、文句を言う客はいない。
・豊かな社会では、生命保険の必要性は低下していく。
・持ち家と賃貸ではリスクの所在が異なる。不動産を所有することで、そのリスク及び成果を一身に負うこと。
・持ち家から賃貸に戻ることは困難だが、その逆はいつでもできる。人生をマイホームに従属させない。
・老後は誰もが投資家になる。金融市場についての知識が必要になる。
・借金はタイムマシン
・プライバシーは一旦失えば二度と取り戻すことはできない貴重かつ希少な資産。
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世間ではなんとなく常識だと思われている家や保険。
違う角度からの様で、真ん中から本質をついている話。
この考えを、行動で貫くのが難しいほど、
世間の常識というやつは引きずり込んでくる。
周りの意見に左右されず
自分でしっかり決断し続けることが大切。
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国家にも企業にも依存せずに自分と家族の生活を守ることのできる経済的基盤をもつことを「経済的独立」とし、「経済的独立」をより早く確立することが人生のゴールとした場合の観点から、日本の社会制度や多くの人が経験するであろう保険やマイホーム購入といった金融イベントの仕組みを分析する。
『臆病者のための株入門』と重複する部分もあったが、こちらは法や社会制度も対象として捉えていてためになる。
『自由に生きるために一定量の貨幣が必要なら、与えられた資源を有効活用し、最短距離で目標に到達することで人生はより豊かになるはずだ。経済合理的に行動すべき理由がここにある。ーー』P142より
Introduction 運転免許試験場のポスター
PARTⅠ The Rules of Happiness 幸福の法則
人生設計 Life Planning
生命保険 Insurance
年金 Pension
医療 Medical Care
教育 Education
不動産 Real Estate
資産運用 Investment
市場経済 The Rules of the Market
FAQ
PARTⅡ Welfare in Japan : What is Right? 正しさの問題
年金制度を廃止しよう
国家に国民を保護する義務はない
貧しい者がより貧しい者を搾取する生活保護
介護保険は必ず破綻する
自殺志願者に安楽死を
公務員は障害者に席を譲れ
財政再建は麻薬合法化で
所得税は憲法違反である
ニューヨークのホームレス
福祉のない豊かな社会
参考文献
あとがき
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著者独特の立ち位置は前書きのポスターの話によく現れている。
みんなと同じようにはいられない。みんなが当たり前のように受け入れているようには世界を、自分は当たり前には受け入れられない。みんなのように天真爛漫には生きられない。
そんな立ち位置からのシニカルなお金の話、社会の話、人生の話。
解説は二元論の弊害がよくわかる実例。世界は二つに分けられる。二元論と、それ以外だ。いくら世界を二つに分けたところで、的外れな二つの概念を持ってたら何の意味もない。重さの話をしてるときに、白か黒かなんて色の概念を持ってきてもどーしよーもないように。
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印象的だったのは、
グロテスクな市場経済の作用が、凝り固まった社会の制度を変える方法だということ。