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孤独な非行少年が白人夫婦の養子となり、アメフトのスーパースターへとなるまでの成長を描いたドキュメンタリー映画。
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実話。サンドラ・フロック主演で映画化され、サンドラは自身初のアカデミー賞ノミネート。アメリカ人はこういった話しが大好きだな。
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アメフトの事を良く理解出来た。
でも、アメリカの事は、この本では理解出来ないと思う。もう少し突っ込んだ内容に出来たのでは?というのが、読後の感想。
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NFL選手マイケル・オアーがいかにして貧困から大学へ進学してNFLにドラフト1巡目で指名されたのか。体格と運動能力を見出され、白人に養子となり、勉強に励み大学への単位を修得する。
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映画「しあわせの隠れ場所」の原作。
人間ドラマ部分が忠実に映画化されているのがわかる。
NFL好きならそれ以外のアメフト歴史の部分もとても面白く読める。
オフェンスラインを見るのが通、というのは真実。
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★手練のノンフィクション★まともに学校にも行ったことがない黒人の少年が、白人の大富豪になぜか支援され、その体格と運動能力を生かしてアメリカンフットボールのスター候補になる。現在NFLボルチモア・レイブンズに所属するマイケル・オアーの大学1年生までを追ったノンフィクション。題材だけで文句なく面白いのだが、その上に構成が絶妙だ。
まずはアメフトにおけるオフェンスライン、特にLTの重要性がどう変わってきたかを説明。44ページになりようやく主人公が登場する。主人公の成長の過程を追いながら、時にアメフトの歴史を挟み、大学によるオアー争奪戦の様子を記す。そしてようやく最後になり、ずっと気にかかっていた成育歴を淡々と記す。金融とスポーツで卓越したノンフィクションを連発する著者ならではの手練のうまさだろう。
物語の面白さ以外に、3つの点で知識が深まった。ひとつはNFLの歴史。普段もNFLの試合をテレビでは見ているが、スーパーボール直前に読んだこともあり理解が進んだ。ショートパスを多用するウエストコーストオフェンスなどNFLの歴史とラインの重要性を改めて整理できた。大学を経ないとNFLに入れない仕組みは不思議でならない。
次に選手の能力の高さ。イメージとしては身長2メートル、体重130キロの大男が、50メートルを6秒で走るくらいか。そんなのが集まっているNFLはある意味異常だ。確かに、スーパーボールで勝ったグリーンベイ・パッカーズのNTラジがNFC決勝でシカゴ・ベアーズの3番手QBヘイニーのパスをインターセプトしたときのライン上での動きなど、150キロが信じられないほど速く動いていた。
最後に黒人を取り巻く環境。運動能力の高さで成功する人はほかにもごまんといるらしい。オアーの例が珍しいのは白人家族の支援があった点だという。それでも運動能力がある黒人の貧困層でも、勉強をやめてしまったり素行が荒れていたり友人にそそのかされたりと道をそれてしまうケースがかなり多いという。そんな潜在能力のある人まで表に出てきたらどうなるのだろう。
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色々な偶然で貧乏なアメリカの黒人が裕福な白人家族で一緒に生活をするようになり、ついにはNFL選手になったマイケル・オアー選手の実話。映画にもなっているらしい。
オアーを中心とした物語部分と、NFLでランプレー中心からパス中心になる過程で、QBの価値が上がり、ブラインドを守るフロントラインが重要な位置として重視されるまでの歴史説明の2つの話が交互にでてくるので、納得できる部分が多かった。
アメリカの経済格差や、人種差別など光と影があり、
それに対して住民がどう接し、行動しているのかと言う事にも
触れている。
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NFLファンの間で話題になったが、「マネーボール」のマイケルルイスと聞いて読んでみた。マネーボールほど目からウロコではないが、アメリカの大学スポーツのスケールのデカさにも触れられて流石という感じ。ただ、アメフト知らんとあまり面白くないかも
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読了しました。
「ローレンス・テイラー」「パスオフェンス」「オフェンスライン」などのワードに反応する方は、必読の良著です。
著者は「マネーボール」や「世紀の空売り」のマイケル・ルイス、社会の最下層にいた黒人少年がフットボールでのし上がる話をメインに、サイドストーリーも80年代以降のフットボール近現代史について、当事者にしか知り得ない話を、膨大なインタビューをもとに丹念に描いてます。
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映画「幸せの隠れ場所」の原作だが、立ち位置はかなり違うと感じた。ヒューマンドラマ中心の映画ではほとんど端折られていたアメフトの戦略・戦術の進化について詳しく解説されている。なぜマイケル・オアーのポジション、レフトタックルが花形ポジションであるQBをも凌ぐ重要性を持ち、必然的に高給を貰えるポジションになったか...云々。それにしても、ドラマチックで人の興味を惹きつけるオアーの生い立ちや境遇と、少々複雑で万人向けではないアメフトのゲームの進化という題材を上手く組み合わせるマイケル・ルイスの書き方は上手い。
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ボールを受けたQB(クォーターバック)がRB(ランニングバック)に渡すフェイクを入れドロップバック、ターゲットとなるレシーバーを探しパスを投げる。その間およそ3秒弱。QBにサックをしようとOLB(アウトサイドラインバッカー)が襲いかかる。ボールを持つ時間が長くなるほどサックが成功しやすくなり良くても距離のロス、悪ければファンブルでターンオーバーという試合を決めるプレーになり、さらには脳しんとうで退場したり、骨折のために選手生命が奪われるケースもある。
右半身で構えるQB(右利き)の右から来るOLBはまだ見えるから対処ができる。(それでも先日の第48回スーパーボウルでは2Q反撃を始めたブロンコスのQBペイトン・マニングのパスの直前に目の前から突っ込んだディフェンスがペイトンの腕に触り、浮いたボールをインターセプトしたLBのマルコム・スミスがタッチダウンを決めMVPになっている)厄介なのは死角となるブラインドサイド。見えない所から突っ込んでくる速くて獰猛なラインバッカーからQBを守るのはLT(レフトタックル)だ。NFLの攻撃システムとQBは一体となっておりQBの負傷はチームの1年を決めてしまう。最も給料の高いQBを守るためLTはほぼ2番目に給料の高いポジションになり、このポジションに求められるのはただ重くて力が強いだけでなく、敏捷性や相手のQBへの攻撃を読む力も必要だ。
今ではウエストコースト・オフェンスと呼ばれるようになったQBからの短いタイミングパスを主体にした攻撃を組み立てたのがビル・ウォルシュ。昔はしみったれパスと呼ばれたショートパスは現在では成功率がランのファンブルを上回るほどになり、4000ヤードパサーが次々生まれて来ている。ランからパスへと時代は変わっていった。
これに対抗するためにビル・パーセルズのNYジャイアンツは新人ラインバッカーのローレンス・テイラーをQBへの飛び道具として使った。ブラインドサイドからブリッツするテイラーを軽量のRBや鈍重なLTはブロックできずQBはサックの餌食になる。テイラーに対抗できる速くて強いLTが必要になるがウォルシュはラインマンを重視していなかった。LTがいい働きをすればするほどゲームの中では目だたなくなる。LTに注目が集まりだしたのはサラリーキャップやフリーエージェントが導入された後の話だ。金をかけてQBをとっても壊されては意味がない。こうしてフットボールの長い手が速くて強いLTを探し始めるようになり、そしてマイケル・オアーが発見された。
ただで食べられる昼食欲しさに公立高校に通っていたマイケル・オアーがブレイアクレスト・クリスチャン・スクールに通うことになったのはいくつかの幸運が重なっている。とは言えブライアクレストの昼食は有料なのでマイケルにはそれが幸運だったとわかっていたわけではない。アルコール依存症の母親に父親が違う10人以上の兄弟。食事も服装も配給でまかない。10才から15才まで友人の家を転々として日がなバスケの練習をする少年だったが、高校2年に進学する見込みは無く、退学すれば死ぬか、刑務所に入るかそれとも麻薬の売人か、その運命寸前の所で転がり込んでいた家の友人がブライアクレストを受けるために面接に言った際��ついでについていかされただけだった。ブライアクレストは裕福な白人とごく少数の裕福な黒人が通い、貧しい黒人はこれまで通っていなかった。
マイケルは学校のフットボールコーチにバスケの選手として紹介されたが成績からはとても入学の見込みはなかった。マイケルは小学生の頃から欠席が多く厄介払いのために進級させられていたにすぎない。「入学する資格がない」と言わずに家庭学習プログラムで良い成績をとったら転入を認めると言った校長のシンプソンだったがこれは彼のミスで、マイケルも彼なりに頑張ったがとても成績は足りず、しかも公立高校への登録時期も過ぎてしまっていた。仕方なしにシンプソンは成績が上がるまでスポーツも何もさせないことを条件にマイケルを受け入れた。
高校に入学したマイケルは全く適応できない。通常なら子供の頃を通じて覚えるはずの様々なルールや言葉を聞いたことが無く、彼には何も理解できなかったのだ。体の大きな小学生がいきなり高校に入れられた様なものだ。例えばマイケルは海を知らなかった。後にマイケルの里親になるショーン・テューイがマイケルを知ったのもこのころ。ショーンはブレイアクレストに通う貧しい黒人学生と若い頃貧しかった自分を重ね合わせ彼らに援助をしており、マイケルのことも同じ高校に通う娘のコリンズから聞いていた。そしてショーンが妻のリー・アンと車で走っていると寒い中、雪の中をバスから短パンで降りる巨漢の少年を見つけた。マイケルは暖をとるために体育館に向かう所だった。そしてマイケルがまともに住む家も無く転々としていることがわかるとテューイ夫妻は彼を自分の家に引き取ることに決めた。
身長196センチ、体重154Kg。横綱白鵬とほぼ同じサイズのマイケルは自分のポジションをガードだと思い、また抜きドリブルをし、エンドゾーンから3ポイントシュートを決める。将来はNBAプレーヤーになれると思っていたようだった。フットボールをやらせればタックル用のダミーを抱えて全力でダッシュし、円盤投げでは見ただけでスナップの使い方を身につけ、テネシー州西部の記録を更新した。勉強が苦手なマイケルだったが、画像を見て覚える能力は高い。しかしマイケルが本格的にフットボールに触れだしたのは高校3年次になってからだった。
大学向けに高校生フットボールプレーヤを紹介するレポートを書くトム・レミングがマイケルのビデオを見て彼の事を調べようとしたが誰も彼を知らなかった。レミングは高校時代のマイケル・ヴィックを発見しておりヴィックは全米では無名ながら地元では才能が知られていた。しかしマイケルのことは地元の人間でも知らない状態だった。それでもビデオを見てレミングはマイケルに会いに来た。マイケルは脚力や膂力は飛び抜けていたがプレーを理解しておらずレミングのインタビューにもまともに答えないうえ、オールアメリカンの選抜すら断わってしまう(それが何を意味するか知らなかったのだが)。マイケルは自分の話したいこと以外話をしようとせず聞かれたことにも相手が納得する答えを選ぶ様な所がある。それでもレミングのレポートは全米中で読まれ大学スカウトが次々訪れた。
ある試合で相手のディフェンスが悪口を言った際に怒ったマイケル���RBが走る逆サイドで100キロはあるディフェンダーを半分持ち上げ(つかんではいないのでOK)15ヤードほど前進した後左に曲がってサイドラインはおろかベンチを突っ切り、トラックを突っ切り、芝生の先の金網まで運んだのだ。ほぼ60ヤードをほんの数秒で。金網の先には敵チームのバスがある。「バスに乗せてやるつもりでした」「悪口は聞き飽きたので、あいつに帰ってもらおうと思ったんです」
ブレイアクレストのコーチヒュー・フリーズはフットボール自由主義者でパワープレーよりトリックプレーやパスプレーを好み、能力に劣るブレイアクエレストが強豪校に勝つにはその方法しかないと考えていた。ヒューから見ればマイケルはプレーを理解できずその力を十分に発揮していないプレーヤーだったがある試合に負けた時、元NFLのラインマンでアシスタントコーチのティム・ロングが昨日見た映画「ティン・カップ」の話を始める。その主人公は後半7アイアン1本でパープレーで回ったと。「そいつはすごいな、でも一体何の話をしているんだ?」とヒュー。「うちのチームは1つのプレーだけで勝てるってことです」ブライアクレストの7番アイアンはマイケルが目の前のディフェンダーをなぎ倒し、あいた穴をRBが駆け抜けることだ。パワーが全てのフットボール原理主義者の戦法だったが、7番アイアン1本でブレイアクレストはテネシー州を制覇した。
決勝でのとどめはヒューがどうしてもやりたかったトリックプレーで、ラインマンが棒立ちのままスナップしQBと右半分の選手は右に向かって走る。その時既にボールを受け取ったFB(フルバック)は裏をかいてレフトガードとLTをカバーにして左に走るというプレーだった。本来でフェンダーをカバーする役目のマイケルはただぼーっと立ってプレーを見ていた。そのためFBは押し出されタッチダウンは次のプレーになってしまう。「何を考えていたんだ?」「(ブロックすればよかったことは)わかっています。」「でも、あまりにも見事なプレーだったんで、最後まで見ていたかったんです。」
優れた身体能力を持ちながらNFLに入れなかった選手はいくらでもいる。NCAAが事実上NFLへの養成帰還となっており高校卒業3年後でなければNFLでプレーできないため、いくら能力があっても大学に進学する学力がなければNFLへの道は閉ざされている。マイケルの場合もテューイ家に世話になってなければ大学以前に高校ですらプレーできていない。リー・アンはマイケルに家庭教師をつけ、どうやればマイケルが学習することができるかを克服していった。映画「幸せの隠れ場所」ではむしろリー・アンが主人公のように描かれているらしい。幸せの隠れ場所はテューイ家でもありLTというポジションでもあったのでこれは上手い邦題だろう。この本ではフットボールの歴史とマイケルをテューイ家や周囲がどう受け入れていったかが2つのテーマになって進んでいく。
それではその後のマイケルはというと、ミシシッピー大学から2009年にボルチモア・レイブンズにドラフト1巡目全体23位で指名され12月には新人月間MVPに選ばれた。ポジションは左右それぞれをこなしているが2012年の第47回スーパーボウルには右タックルとして出場しスーパーリングを手に入れた。スティーブ・ジョブスが亡くなった際にはツイッターで「ジョブスって誰?」と炎上させるあたりは子供の頃のエピソードの続きはまだまだありそうだ。