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電撃文庫のカスチャと舞台を同じくした新作です!
楽しみにしていました。
メインの登場人物は3人の高校生。
2人はトランスジェニック。
1人はジーン・ナチュラル。
この壁を乗り越えながら前へ進む3人。
青春ですなぁ。
後半から物語は壁井先生らしい(私の主観ですが)、どろりとして、じわじわきて、息が詰まるというか、狂気的な、そんなストーリーになっていきます。
そんなところが大好きですv
人物は春野が好きですね。
倫も知佳さんも。
前回のカスチャに出てきたテッちゃんとか出てきて嬉しかったです。
懐かしいみんなにもう一度会いたいので前カスチャも近いうちにもう1回読みたいです。
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“これが吉一であるはずがない。春野だ。進むごとに冬上は確信するとともに、余計に混乱した。
いつから?どこまでが吉一で、どこからが春野だったのだ?昨夜、吉一家を春野が訪れた顛末を侮蔑的に語ってさも愉快そうに高笑いしていたのは?常にテストの上位にいて実家の母親の鼻をさぞや高くしているのは?どう考えても吉一ではないのか。それが吉一ではなく春野だったというのなら、むしろそのほうが恐ろしい。自分のことをあんなふうに徹底的に蔑むことができるなんて。あんなふうに嘲笑することができるなんて。
「着いたよ」
春野が言った。”
分厚い。
文庫のくせして分厚い。でも、すぐに読めた。
始まっていきなり「ヤンロンズ・デリ」とか卑怯だ。何このお店チェーン店だったの?
しかもお好み焼き屋まで出てくるなんて卑怯だ。無駄ににやにやしてしまう。バイト君とか。
母親に返品された春野、父親のコレクションのひとつとして作られた冬上、遺伝子操作されなかったキレーな清田。
キャラの性格は今までの壁井さんの作品とどれも似つかない感じ?
あえていうなら春野のけだるさ、とか。
冬上の思考回路とか、春野の歪んだ精神状態のところとか、壁井さんにしか描きだせないものだと思うよ。
最後はきれいに纏まったんだけど、それでもどこか歪み感があるってのが良い。
今回は、泣かずにすんだ。良かった。
“「春野……てめえはほんっとに人をムカつかせる天才だな」
「いやぁ俺なんてまだまだ。清田のウザさには敵わないね」
「どこでどうなってそこまで性格が歪んだのか、お前の育ちに心っから同情するぜ」
「冬上だけじゃなくて俺にまで同情してくれるなんて、清田クンの心根の優しさには涙がでるなあ。……余計なお世話だ。偽善者」
双方とも絆創膏まみれの顔に引きつり笑いを浮かべつつ瞳にはぎらぎらと殺気をみなぎらせ、机の下では足を踏んだり踏まれたりの攻防戦。春野のほうが脚が長いので清田は不利だ。異様な空気を漂わせる二人の席の近くを他の受講生たちが露骨に避けて通る。最前列の廊下側の端から一つめと二つめはなんだか知らないが暗黙のうちに清田と春野の指定席になっていた。なんでこいつと仲良く隣りあわねばならんのかとむかむかするが、もともと清田はいつもこのへんに座っていたのだから自分から席を変えるのは癪に障る。春野のほうがどっかに行くべきなのだ。”
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待ちに待ったカスチャ二作目。壁井さんの世界観の中ではカスチャが一番好きです。ダーヴィンズ・ヒルって聞くだけでわくわくしてくる。でも想像してたより前作の影はなかったかなあ、お好み焼き屋のバイト君やらヤンロンズ・デリやらには大変にやにやさせていただきましたけど。
あと、前作よりスラムの異質さが強調されてたような。まあそもそも前作はスラムの話でもあったからたくさんスラム内部の様子を描いてたんだろうけど、今回の主人公達は普通に学校に通っている学生だものね。前作の主人公たちとは住んでる世界がずれてる感じでした。
最後まではっきりしたヒロインがいないってのは彼女の小説では珍しいのかな。レイはおそらく全体を通してのヒロインではないのだろうし。
展開も話の内容もすごく好み。清田の「うちの汚点」発言に胸が苦しくなったというかすごく共感したというか、うん、親が変だと大変だよなあ。
壁井さんが作るキャラクターっていうのは本当に皆魅力的で、ずるずると物語に引きずり込まれていってしまう。久しぶりに彼女のSFが読めて幸せでした。シリーズ化してくれないかなあ。
クライマックスがやや駆け足だった気がするので星四つ。でも、すごく好きな小説です。
あと、壁井さんって春って漢字好きだよね、きっと。
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自分が傾倒する壁井ユカコの新作である。個人的に不幸や悲劇、憎しみといったキーワード調の物語展開は非常に苦手なのだが、この作品はそうした内容を持つにも関わらず、あまりそうした印象を受けさせなかった。壁井ユカコの作品は総じて文体や物語内容、全体の構成が高度に洗練されているが、この小説も例に漏れず見事にまとめきられている。キャラクターは各々特長と欠点を備えており、主人公の三人は非常に魅力的である。後半に用意された感情的盛り上がりは流石というほかない。前作「カスタム・チャイルド」に引き続き、壁井ユカコの豊かな物語世界を味わえる作品である。
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少しづつ狂っているのを、更正しているのかと思えば全然そうじゃなくて。
最後の終わりが恐い。ホラーかと思った。
しかしこの感じが壁井さんって感じです。
綾波かいwwとか思ったのは私だけではないはず。
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電撃中心に多作な方なんですね。知らなかったです。
今回のメディアワークス文庫の最初のラインアップに
なるべくしてなった上に、作者曰くライフワークと
言える作品だそうで、その熱と凄みは伝わってきます。
北川歩美の書くサイエンスものに少しだけ
似てる気もしますが、ミステリ色はほとんどなく、
どちらかというと斜め目線でシニカルな青春もの
という印象が強いです。
結構ダークで嫌悪感を抱かせる反面、青臭い年代の
素直な本音で暖かい気持ちにさせたりと、揺さぶらせて
くれます。上手いかも。
ラストもまさにその感情の寒暖を揺さぶる結末で
印象に残ります。結構好き...かも。
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さわりだけ読んで終わらせるとか無理でした。
本屋で読みきるとかまたやってるし。
遺伝子ですべてが決められるとかないと思うけれども、
そう思ってしまう人も今後増えてくるでしょうね。
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これは面白い!!
電車の中で暇潰しに読むための本として買っていたのに
一気読みしてしまった!
最後はハラハラドキドキ。
前作のカスタムチャイルドも、読もう♪
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とにかくよかった。好きだった。ぶ厚いけど。
結構壁井ユカコ作品には狂った人出てくるよね~~~。ヨアヒムさんとか?鳥籠荘は狂人だらけだしな。
でもそういうダークな感じかこれまたたまらん!!
今回は狂ってるのは誰なのか。倫太郎なのか冬上なのか、るうたろうなのか母親なのか。
トランスジェニックが狂ってるようで、非トランスジェニックである母親が狂ってるようで。そこに差はなくて。
でもジーンプアながらにまっすぐ強く生きる清田がいて。
倫太郎も冬上もそのまっすぐさが鬱陶しくも愛おしいのだと思う。
まぁ、「鬱陶しい」を連発したり、「めんどくさい女」とか人のこと言ってるワリに一番倫太郎が「めんどくさくて鬱陶しい」ヤツな気もするね。ハーヴェイさんのように。絶対ああいうタイプはなんだかんだとグルグルしているのでしょう。
そして、母親ってこわ~。だよね。
4年で強烈なインパクトを残した母。12年経っても倫太郎の影に潜む続けてる感じがね!!
比べるからか。千佳は最高に良いのだな。これが。
最終的に救いがないような終わり方してるけど。怖いよ。ホラーだよ。
しかし、おとなしく縛られてる倫太郎じゃない気も・・・。そういう意味ではこの先とかも知りたいような。
しかし、倫は清田を愛してるね!!
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そもそも私は前作の無印から好きだったんだけど、やっぱりこの世界観とか絶妙でざらついてて大好き。
遺伝子をいじれるっていうことで起こりうるトラブルっていうのは、この作品の中の冬上さんしかり春野しかりでいろいろあると思うんだけど、それを遺伝子を書き変えること自体が罪なのではなくて、それをつかう人間によるところが非常におおきいんだなあという当たり前の感想しかもてなかったんだけど。
好感が持てる人(ちかさんとか)は本当に素敵で、まあ対比とか言う意味もあるのだろうけど、バランスがいいなあと思った。
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壁井さんの作品は「鳥籠荘~」から読み始めたので、初出の「カスタム・チャイルド」は未読なのですが、これは面白かった。
「鳥籠荘~」にしても「NO CALL~」にしても普段はアンニュイなのにスイッチが入ると熱血化する壁井さんの主人公達は好きです。
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壁井さんが描く粘着質な人間が好き^^ よくあるSF的設定からここまで薄暗い青春を描けるのはさすがだなあ……。春野と清田の自分にはないものを求める様子、そしてレイのまさかの展開が何とも言えない。前作のキャラもちょこちょこ出てきてにやにやもの。
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なんとなく久しぶりな壁井さん。
いつものごとく歪んでるなーというのが友達との共通見解でした。
発想がすごいよなー
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紹介分だけだと、重力ピエロっぽくって正直読む気がしなかったが読んでるうちに杞憂だったことを知り安心した
清田まぶしすぎる
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遺伝子操作をモチーフに、親子関係のゆがみを描いた作品、だと私は思った。
吉一母なんかはもうずっと前から存在する「子離れできない+子どもに過剰な期待をする」母の典型をさらにグロテスクにしたものだし。
冬上レイの父親的な親も、もうすでにいそう。子どもに変わった名前をつける親なんかも、大別すればこのカテゴリに入るんじゃないかな。
知佳さんは、「周りにいてほしい大人」ですね。近づきすぎず、でもちゃんと見てくれている。それでいて自分自身の悩みや苦しみ、楽しみも持っている。ミサトさんですね。
それぞれの問題の解決方法といい、ラストの収まり具合といい、結局はみんな、自分のもとからいたエリアにしかいられないんだというのが、とても現実的。
おもしろいし好きだけど、弱ってるときには読みたくない。そういう本でした。