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ニーアールファーガソン
金融史
読みやすく面白い
①過去の経験を子細に振り返ってられる未来の予想図よりも、現実を見据えて描いたほうがよほどあてになる、と思われる。人は知っていいないことに対しては、おおむねその性質がこれから どのように変わっていくかを無視しやすい。
②現在の価格や生産物の性質に反映されている見解には、根底において未来予測が正しく投影されている筈だ、と考えがちだ。
③個人の判断力はあてにならないことが、わかっているので、自分より情報を持っていると思われる人の判断に依存してしまう。多数派の行動や平均的な行動に努めて合わせるようにするよううになる。
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1367夜
本書は、このように貨幣が経済を繁栄させたり崩壊させたりする物語を、経済史家がやさしく紹介したものだ。特に財政が倒れて財政危機が群を抜いて深刻なのは日本であり、それが国家の危機に発展するおそれもある。その日本政府がデフレの心配ばかりしているのは、おめでたいといわざるをえない。
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銀行、債券市場、株式市場、不動産、金融工学とサブプライム問題、そして中国の経済発展にみるグローバル金融と、テーマ別に金融の進化の歴史を辿っている。それぞれのテーマは独立しているようで次のテーマともつながっていて、ストーリー構成も上手い。最初の大きな株式市場バブルは南海泡沫事件ではなくフランスのミシシッピ社事件だったというのは知らなかった。終わりの方の進化は必ずしもよい方向に進むとはいえないという言葉は印象的。
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著者のファーガソン氏はハーヴァード・ビジネススクール教授で金融史の教鞭をとっている人物。
本書はそのファーガソン氏の手による金融史の入門書です。
古くはメソポタミア文明から始まり、インカ帝国とスペイン、ヴェネチア、フィレンチェ、ルイ14世時代のフランス、南北戦争当時のアメリカ、第1次世界大戦前の欧米、
リーマン・ショック後の現代アメリカやイギリス等、様々なテーマで書かれた内容が載ってあり、内容の面白さもさる事ながら著者の巧みな解説によりグイグイと引き込まれるように読破。
どの様な内容について書かれているかを抜粋すると、
・ルネッサンス時代のイタリアでは、教会が禁じた利息を受け取るために、様々な名目が考えだされた事
・メディチ家の興亡
・メディチ家により初めて大規模な運営が行われた銀行と共にオランダで設立された世界初の株式会社・オランダ東インド会社(VOC)
・フランス革命を引き起こしたとも言われる王政の財政破綻を招いたジョン・ローと彼が引き起こしたミシシッピ・バブル
・南北戦争と南部政府の戦費調達
・鉄血宰相・ビスマルクと福祉政策
・グローバル化とその反動としての第1次世界大戦
・ロスチャイルドと第1次世界大戦
・第1次世界大戦前夜と現在の類似性
等になります。
特に、以下
・激しい競争により、ヨーロッパで金融システムが急激に発展してきた事。
・そして金融システムの優劣が戦争の勝敗に決定的な影響を与えたこと。
・第1次世界大戦前には、現代のアメリカと中国の様に、イギリスとドイツの間にも経済的に深い関係があった事。
・健康保険などの福祉政策はリベラル思想から始められたものではなく、健康な兵士の確保と言った国力増強という観点から行われた事。
が印象的でした。
金融システムの発展により、金本位制から信用本位制(とでも言うべきでしょうか?)へと移り変わり、マネーがよりその本質に近づいていくと共に、金保有量の上限に制限されない経済発展を起きました。
その一方で、著者は「歴史を知らない事により、同じ間違いを繰り返している」と指摘し(少なくとも金融関係者は)金融史を学ぶ必要があると主張しています。
昔から社会と個人の双方ともお金とは無縁ではいられません。
加えて、本書で解説されている金融システムの優劣が戦争の勝敗にまで影響を与える事実。
この様な事を踏まえると、
「お金の事をあまりクドクドと言うのは恥ずかしい事だ」との意識が主流である現代日本ではありますが、本書で解説されている、従来なかった新しい金融システムや概念の登場によりその後の歴史が大きな影響を受けた様子などを読むと、金融システムも科学技術などと同列に扱うべきではないかと思いました。
"
#日本の第2次世界大戦の敗因として資源が足りなかった、技術力が劣っていた等と言われていますが、もしかしたら根本的敗因は金融システムが未成熟だったからかも?"
いずれにせよ、目からウロコの内容が盛り沢山な本書。
素人には複雑怪奇なシロモノに見える現代の金融システムも、その発展の経緯をたどれば理解しやすくなりますので一読されてみては如何でしょうか?
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マネーの歴史を古代のカネ貸しから紹介する本。
19世紀以降の話はかなりスラスラと面白く読めたのだが
なぜかそれ以前の話(ロスチャイルド家とかジョン・ローなど)が
あまり頭に入ってこなかった。。。
このように部分的には理解していないこともあるが
全体的には体系的に金融の歴史を理解できた。
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モモから経済、金融について知りたくなってきて読んでみた。
金は時代とともに抽象化してゆくのだと思った。
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「お金」という漠然とした価値についてヨーロッパ史やメリルリンチ・リーマンなどの事例を交えながら説明されている。自身はあまり詳しくないが、ヨーロッパ史に精通していれば、歴史の読み物としても興味深い内容であっただろう。やはり歴史を知ることは改めて重要だと感じた。本書だが、金融知識がない私でも株式、保険、不動産、債権について想起させられることが多かった。金融の知識は生きていく上で最重要だと認識すると共に、更なる見地を身に着けたいと感じた。
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掛け替えのない存在。
それは家族でも友人でもなく、ここではカネ。
あなたの財布に入っているそれは、一体何なのか。
本書にはこう書かれている。
「金属がカネなのではない。信用を刻印されたものがカネなのだ。」
現代では、紙幣と硬貨という形をとっているが、
昔はそれが貝であったり、塩であったり、もっと遡るとそれは石だった。
紙幣や硬貨は「カネ」を視える化したものなのかもしれない。
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第1章 一攫千金の夢
第2章 人間と債券の絆
第3章 バブルと戯れて
第4章 リスクの逆襲
第5章 家ほど安全なものはない
第6章 帝国からチャイメリカへ
終章 マネーの系譜と退歩
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ミシシッピ会社事件がかなり詳しく説明されていて面白かった。一番関心のあった1970年代の話は少なくてちと残念。
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マネーというより金融史上のトピックスを扱った本。もっとも、通史的なものではなく、著者が注目する各分野を取り上げているので、体系的な内容ではない。各断片には面白い内容も含まれているが、寄せ集め的な感じもする。タイトルや歴史家でもある著者のことなので、もう少し歴史の流れに沿った壮大な内容を期待していて、その点では少々期待はずれだった。
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サブプライム危機をいち早く予測した、と(後付けで)賞賛される経済学者の一人に数えられる著者だが、本書を読むかぎり、著者の危機予知は「主流派」経済学者の弁明にしか聞こえない。債権、株式、保険、不動産という区分けごとに金融の歴史をたどるという試みは、ありそうでなかったものなのかもしれないが、読み終えた感想としては少なくとも知的な驚きは皆無だ。(現在まで)主流派(であった)経済学者による主流派経済史の正統的講釈以上でも以下でもない。
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金融史の概観。お叱りを覚悟でざっくりいうと、過熱と破綻の繰り返し史。で、過熱のときには、それを肯定するもっともらしい理屈が支配します。
もうちょっと平易にして、高校生くらいが興味を持てる装丁にしても良かったかと。
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マネーに関わる債権、株式、保険、不動産、サブプライムローンまでの歴史に関することも細かく説明されていて良かった。我々は金のために生きているのではなく幸せになるために生きている、それなのに金に振り回されてしまうのは何故だろうか?やはり金との付き合い方をよく知らないからだと思う。ベニスの商人、メディチ家、ロスチャイルド、東インド会社、チューリップバブル、デリバティブ、マイクロファイナンス、グローバリゼーション、LTCM、ドルペッグ制等マネーに関する基礎知識は復習できた。今後はその付き合い方も考えていきたい。
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銀行、債権の歴史。バブルの歴史。フランス経済を破綻させ、フランス革命の引き金を引いたとされるジョン・ローなど、興味深い話が続く。
(主な著作)
憎悪の世紀 なぜ20世紀は世界的殺戮の場となったのか