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講談社現代新書『性的なことば』が刊行されました。
2004年12月に刊行した『性の用語集』の続編で、今回は、「関西性慾研究会」の11人のメンバーが53の「性的なことば」について、その起源と変遷を考証しました。
性にかかわる言葉の「記号史」であると同時に、言葉にこだわった「性」の文化史です。
私は、「SM」「女王様」「性転換」「四十八手」「モロッコ」「数の子天井・みみず千匹」「人工女性・文化女性」「シーメール」「純綿・純女」の9本と「まえがき-金の茶釜について-」を執筆しました。
気楽に読める学術エッセーです。ぜひ、お手に取っていただきたいと思います。
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国語辞典ではわからない起源と変遷!
性的なことば
井上章一・斎藤光・澁谷知美・三橋順子 編
講談社現代新書(2034)446頁 998円(税込)
2010年1月20日刊行
ひそひそ語り合ったあの言葉、
折り目正しい世界では
けっして光のあたらないこの言葉……
そこにもう一つの
豊かな日本文化が浮かび上がる!
思わず誰かに話したくなる
面白ネタ満載の「読む」用語集
【執筆者】
赤枝香奈子、石田仁、井上章一、川井ゆう、斎藤光、澁谷知美、永井良和、古川誠、
松田さおり、光石亜由美、三橋順子
【内容】
まえがき-「金の茶釜」について-(三橋順子)
1 誰でも知ってるあの言葉
「愛人」「不倫」「まんこ・やりまん・あげまん」「おとな・アダルト」「SM」「女王様」「女性」「性転換」「デート」「売春・ウリ」「クロウト/シロウト、プロ/アマ」「ゲイシャ」「水商売」「ストリップ」「生足」「ヌード」「パンツ」「発禁・18禁」
2 意外に知らないあの言葉
「四十八手」「チラリズム」「ちちくる」「ペッティング」「しとど」「ED」「個室」「トルコ」「モロッコ」「ポン引き」「同伴」「すまた」「すっぽんぽん」「薔薇」「百合」「イエローキャブ」「○○夫人」「ハマグリ」
3 誰か知ってる? この言葉
「わかめ酒」「花電車」「数の子天井・みみず千匹」「近畿グレートリング」「合ハイ」「日高パーティー」「夕ぐれ族」「夜鷹・鷹狩り・狩りこみ」「P屋・Pダンス」「花柳病」「白袴隊」「ハッテン場」「タチ/ネコ、攻/受」「人工女性・文化女性」「シーメール」「純綿・純女」「ノーズロ」
金玉についてのささやかな考察と、あとがき(井上章一)
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世の中のチョメチョメなことばをその意味・語源・由来について解説している。チョメチョメなことばがチョメチョメであるが故にその語源について深く考えたりしないが、やはりそこにはチョメチョメな理由があるのであり、そのチョメチョメさをこの本で楽しんでほしい。
チョメチョメに関する深い蘊蓄が得られる一冊である。
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井上さんは国際日本文化センターの教員である。わたしも一時期そこの共同研究員をさせてもらっていた関係でときどき出入りしていたが、わたしたちの研究会の横でときに「性欲研究会」なるものが開かれているのを目にしたことがある。面白い会を開いているものだと思っていたら、2004年に『性の用語集』が同じ講談社新書として出た。本書はそれにつづくもので、そこに集うメンバーの共同研究の成果である。井上さん自身のことばを借りれば「こんな研究をみとめている日文研が世の指弾をうけぬよう」とあるように、このような研究はなかなか堂々とできるものではない。しかし、取り上げられているのはどれも興味のあることばばかりである。前著の前書きによれば、これは国語辞典がまともに扱わない性に関することばがどのような意味の変遷をとげてきたかを追いかけた本である。この中には漢語も多い。前著でいえば、「童貞」は男だけのものでなかったし、(同メンバーの渋谷知美氏による『童貞の研究』文春新書という本もある)「処女」も(周知なように)バージンの意味ではなかったし、「痴漢」ももとは「愚かな男」にすぎなかった。本書で言えば、「愛人」「不倫」「性転換」にしてもそうである。これらがもともとどういう意味でどのような過程を経て今の意味になったか、この研究会に集うメンバーたちの蘊蓄が披露される。あとはここで紹介するのもはばかられるようなことばばかりなので、実際に本書を手に取ってご覧いただきたい。
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第2部が特に面白かった。
パンチラとか薔薇族の話しとか・・・
あとは「へー」というトリビアが身に付きました。
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回送先:府中市立武蔵台図書館
2004年に出版された『性の用語集』の続編に当たるが、内容は前回よりも大幅に追加されており、性的な言葉に対してのイメージをつかむことが可能になっている。
惜しむらくは、個人の趣味ではないのかと思われてしまう言葉まで発展的に用いていることにある。もちろん、セクソロジーに対しての導入部分としての効果はある。しかし、一方では個人的なこととして飽きられてしまう側面も指摘せざるを得ない。
また、歴史的な言葉が少なく、せいぜい戦後期の「性に対しての言葉」が中心になっているのも惜しまれる。
とはいえ、何も知らずというところよりかはマシ。イメージの空間を描くことに意味があるのだとしたら、本書はその役割を果たしているといっても差し支えない。
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[ 内容 ]
ひそひそ語り合ったあの言葉、折り目正しい世界ではけっして光のあたらないこの言葉…そこにもう一つの豊かな日本文化が浮かび上がる!
思わず誰かに話したくなる面白ネタ満載の「読む」用語集。
[ 目次 ]
第1部 誰でも知ってるあの言葉(愛人;不倫;まんこ、やりまん、あげまん ほか)
第2部 意外に知らないあの言葉(四十八手;チラリズム;ちちくる ほか)
第3部 誰か知ってる?この言葉(わかめ酒;花電車;数の子天井・みみず千匹 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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ネットイヤーの時代、
流行語は広まるのも早いが、消えるのも早い?
○○年前はおおらかだったよなぁ。
時代とともに言葉の意味が変わっている。
世代の違い=意味の違い。
モロッコ(なつかし)
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まじめに、よくここまで編集されたと思いますw。敬意を表したいと思います。11人の分担執筆、4人の編者(井上章一、斎藤光、渋谷知美、三橋順子)、2010.1発行です。三橋さんのまえがきで、いきなり国語の問題、次の短文で変なところを指摘せよと。「花電車に乗って、すまた峡温泉に遊びに行き、数の子天井を肴に、わかめ酒を飲んだ」 3部構成です。「誰もが知ってるあの言葉」「意外に知らないあの言葉」「誰か知ってる?この言葉」。東大や京大を出た方々のまとめた辞書に載っていない言葉集、軽く流し読みするのも一興かも~(笑)
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「LGBTを読みとく」で進められていたので読んでみる。あまり品があるとは言えない”性的な”ことば53個それぞれについて、その起源や変遷をエッセイ的に解説。わりとよく聞く言葉から、何を意味するのかぜんぜんわからない言葉まで、幅広く紹介されている(「性の用語集」の続編とのことなので、そちらのほうがより主要な言葉を紹介しているかもしれない)。
単に下世話な用語集というわけではなく、きちんと文献を渉猟し用例を収集したうえで、この方面を専門に研究しているアカデミズムの人たちがきっちり解説している。例えば、「すっぽんぽん」という言葉。全裸の意味としての用例は、1981年の「吉里吉里人」までしか遡れないそうでわずか36年前。つまり、ぼくの親世代は成人してからようやくすっぽんぽんという言葉を知った可能性が高いわけで、想像以上に新しい言葉なんだとか。もっと昔からありそうな言葉なのに、いざ調べてみるとそ思いもよらない結果がでてくるあたり、とても面白い。
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性的で口にすることも躊躇われるような日本語の数々が元々は普通の日本語だったものがどうしてそういう独特の意味合いで語られるようになったのか、その由来を雑誌などから探ったという興味深い本である。かなりのものが戦後に生まれたもののようであり、戦後の風俗史を考え直すきっかけともなる。「愛人、不倫」などは本来の意味から変わって正式な夫婦関係以外の男女関係で用いられる言葉に変わってしまったという例。「アダルト、SM 、女王様、デート、くろうと、ストリップ、ヌード」なども本来の意味から変わってしまった! 「パンツ、ちちくる、トルコ、モロッコ、百合族、薔薇族、イエローキャブ」などは何故そんな意味合いになったかの謎を追う。一方、「すっぽんぽん、ノーズロ」などは明るい響きで今では、普通に使われる言葉に逆に転換していった例で面白い。「合ハイ、夕ぐれ族」などの懐かしい言葉もこのタイトルの中で書かれるのだ!
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真面目に性に関する俗語の語源を考察した本。ネコ、タチ、花電車、トルコにスマタにわかめ酒。少し厚めの本で、聞いた事がある言葉の成り立ちや周辺エピソードも解説されつつ、全く聞いた事がない言葉を発見する。金の茶釜と言われても、何のことやら。果たして、新たにそれを学ぶ価値はありや無しや。そして大胆に自分の性体験から自らのそれの具合を語る女性講師に赤面。
例によって、公衆の場で読むのが憚れる、のだが、私は飛行機内でCAさんに読書中すいませんと話しかけられる始末。読んでいたのは太字のタイトル「数の子天井・みみず千匹」。恐らく、分からないだろうとヒヤヒヤしながらやり過ごす。