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南の子供が夜いくところ みんなのレビュー

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みんなのレビュー124件

みんなの評価3.8

評価内訳

121 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

南の島の時空を超えた不思議を感じる

2012/03/04 17:13

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 恒川光太郎さんの描く世界は時空を超えて広がっていきます。
どこからか境目かわからない異郷もの・・・今回は、海にへだてられた南の島々の物語。
トロンバス島という島にいきなり連れてこられた少年、タカシから物語は始まりますが、
連作短編の形をとって、時も、場所も、人々も移り変わっていく。
そして、最後にまた、タカシの元へと物語は渡り鳥のように渡って行きます。
今まで読んだものが、基本的には日本だったのが、今回は世界に広がったので、ちょっと異色の異郷世界かもしれません。

 南の島というと南国、パラダイス、常夏・・・というイメージがあり、文章から立ち上る
温度はとても高く、出てくる人々も常夏の島で過ごすのですが、
海というへだたりを外された時、「楽園」に侵入者が現れる。
友好的な場合もありますが、時には征服者ともなりかねない、あやういバランスを持っています。

 タカシの物語だけで、終わらすこともできたのでしょうが、タカシを連れてきた謎の女性、
ユナさんの物語になり、島から出ようとする人々が出てきたり、海賊の時代の物語も
あります。
 
 不思議な万華鏡をのぞいているようですが、読んでいて不思議と落ち着いた気分に
だんだんなってくるのです。
不思議な南の島では、どんな不思議があってもおかしくない。
異郷からはもう出られないんだよ、という緊迫感はありません。
あくまでも、一見平和でのどかな島の人々にじわじわと起きる恐怖、または不思議、または事件。

 どの短篇も最後の一行の素晴らしさ、キレのよさと、哀切感、余韻をさっと残すその手際が
鮮やか。
『まどろみのティユルさん』という短篇が気に入っているのですが、荒々しい海賊だったティユルさんの
贖罪ともいうべき顛末。ラストの一行がとても印象的で、まるで読んでいてその風景がぱっと
目の前に広がるようです。
その贖罪の瞬間の文章、『光が体に蓄えられていく。体の中に入った光が爆発を起こし、
目の前が白と緑の輝きで埋め尽くされていく。』

 そして最後の『夜の果樹園』へと話はつながるのですが、異形の者の造形にかけては
恒川さんのアイディアとその少々、ユーモラスでありながら、不気味というより、不思議世界は
独特の持ち味を持っています。

 私は南の島へは行ったことがなく、テレビなどで目にするだけの青い空に青い海。
素朴な暮らし、色鮮やかな熱帯植物・・・そんなものが映像を見ているように、読んでいて目の前に現れる
そんな一種の楽園ともとれる南の島で、まどろみながら、時は過ぎて行く。
読んでいて、退屈なのではなく、頁からたちのぼる「熱帯気候」についまどろんでしまう、
そんな体験をした物語です。

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紙の本

新感覚のファンタジー&ホラー

2010/12/28 22:41

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ジーナフウガ - この投稿者のレビュー一覧を見る

子供の頃、世界はとても不安定で、夜は果てしなく深く怖いものだった。
頼りに出来る大人と言えば、まずは親で、自分の人生など、親の機嫌一つでどうとでも転がされる、

それくらいにぼんやりとしたものだった。もっと有り体に告白すれば、自分は何時まで、
この大人の保護下に置いてもらえるのか?何らかの心変わりで置き去りにされやしないか?

常に頭の中はそんな風な最悪のシナリオを描くのだった。恒川さんの作品を読むと、
子供時代の怯えから来る脂汗の感触が蘇る。それ以上に、子供でも、

良い保護者に巡りあえれば充分に力強くやっていけることが分かってくる。
今回の作品には、借金苦で無理心中を考えている身勝手な親から、間一髪、

生き延びた息子のタカシと、不思議な力を発揮する『自称百二十歳』のユナさんとが連作短編で登場してくる。
南の果ての島『トロンバス島』』に連れてこられたものの、誘拐されたのではないか?

などと子供らしく迷っているタカシ。満月の夜に、悪夢に迷い込んでしまう。そんな時南の島の子供は、
悪い夢をとる力があるとされるおばさんの家に連れて行かれる。

夢の中をたゆたう様子に幸せが溢れている【南の子供が夜いくところ】
美しく優しい物語に心が洗われた様な気がする。ユナさんの生まれれた神話の息づく島。

平和だったはずの島に生じた悲劇。百二十歳の長寿をユナさんが持つに至ったきっかけには
考えさせられる物があります。【紫焔樹の島】百二十年を、独りで越えてきたであろうユナさんの孤独、

歳月が彼女に与えたであろうもの…。次の話【十字路のピンクの廟】も、
島の子供が、ご先祖様のお墓参りの夜に体験したであろう神秘的な出来事が発端となっている話。

問題になっているピンクの廟に掛けられている呪いの解き方、心持ちが温かくて良いなと思った。
故郷の島の危機を救うべくして、独り、大海原の遥か彼方に住むと言う伝説がある、

『大海蛇の一族』に会う為の航海に乗り出したシシマデウさんの冒険譚は、
何時しか現在のトロンバス島に暮らす、タカシやユナさんと結び付いて…。

太古の昔から現代まで。男の旅立ちに理由などないのだなぁ、そう思わせるラストが胸に響きました。
【雲の眠る海】恒川さんの紡ぎ出す物語の視線の先には、人間が、普段隠している

欺瞞や欲望を鋭く切り裂くナイフのような怖さが隠されている【蛸漁師】長い眠りから目覚めた男、
上半身は土の上、その下はすっぽり地面に埋まっている。彼の過去に何があったというのか?

【まどろみのティユルさん】タカシに会いにきた父親が、島の魔法が掛かった地域に迷い込んで、
悪戦苦闘する様子。【夜の果樹園】もし自分が、自分の意思とは関係なく、

人間以外の生き物になってしまったとしたら…。恒川流ホラーの真骨頂が味わえる佳作です。
最後まで一貫して、魔法に彩られた作品集になっています。

新感覚のファンタジー・ホラーを是非、ご賞味下さいませ!!

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2010/04/09 21:04

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2010/03/09 12:43

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2010/04/04 16:36

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2010/04/11 12:27

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