紙の本
「光媒の花 」何かを守るために人は嘘をつく
2010/12/16 20:21
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:soramove - この投稿者のレビュー一覧を見る
「評判がいいので初めてこの作家の本を読んだ、
ネットで注文し届いた本は
装丁が繊細でいて重厚な感じで
作者のこだわりや想いが込めれているようで
期待して読み始めた。」
本は内容が重要に決まってるけれど、
装丁は第一印象としては重要、
予備知識も無しに読み始めると
簡潔な文体ながら、
ちょっと戻って読み返すと
案外深いことが書いてあり
サラッと読めてしまうが注意が必要だ。
6つのそれぞれタイトルが付いた短編は
独立しつつ、どこかでリンクする連作となっている、
劇的な展開は無く、
淡々とした日常に潜む危うさが伝わり、
単純に「怖いな」と思った。
ミステリー作家と書かれた
作者のこれまでの作品は全く知らないが
この作品を読んだ印象としては
非常に緻密で書き込み過ぎない文体は
冷静で静謐な感じがした。
だからかな、溢れ出すような
熱い熱を感じるような作品も
次は読みたいなと思った.
「何かを守るための嘘は許されるのか」
その答えは読者がそれぞれ考えることだ、
普段はそんなギリギリの選択を迫られることはない、
でもひとたびそんな場面に出くわしたら
自分は守るべきものをしっかり守れるだろうか。
大きな感動とかそんなものはないが
しみじみ「作家性」を感じる、
最近はよく日本人の作家の本を読んでいるが
なんか期待できるというか、
そんなことを感じた。
★100点満点で75点★
http://yaplog.jp/sora2001/
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連作短編集。個々の作品の登場人物が他の作品にサラっと出ているので、1つ読み終わると、また前後に戻って他の作品を読み直したくなる
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前の物語の脇役が次の物語の主役になって・・・というつながりを持った短編集。
生活していく中で、家族や友人だけでは無く、他人が言ったり、やったりしたことでも、自分に思わぬ気づきをもたらしているということ、また、それに気づけるかどうかは、自分次第なんだということを改めて感じた。
それにしても、「球体の蛇」もしかり、この人の描く少年や青年は、ついつい見守りたくなるような、危ういような独特の雰囲気を持っていて引き付けられる。
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登場人物が次々にリンクしていく連作短編集。それぞれの主人公のささやかな生活の中での苦しみや悲しみ、その果ての救い。相変わらず繊細な心の動きの描写が絶妙。最高でした!!。
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印章店を細々と営み、認知症の母と二人、静かな生活を送る中年男性。ようやく介護にも慣れたある日、幼い子供のように無邪気に絵を描いて遊んでいた母が、「決して知るはずのないもの」を描いていることに気付く……。三十年前、父が自殺したあの日、母は何を見たのだろうか?(隠れ鬼)/共働きの両親が帰ってくるまでの間、内緒で河原に出かけ、虫捕りをするのが楽しみの小学生の兄妹は、ある恐怖からホームレス殺害に手を染めてしまう。(虫送り)/20年前、淡い思いを通い合わせた同級生の少女は、悲しい嘘をつき続けていた。彼女を覆う非情な現実、救えなかった無力な自分に絶望し、「世界を閉じ込めて」生きるホームレスの男。(冬の蝶)など、6章からなる群像劇。大切な何かを必死に守るためにつく悲しい嘘、絶望の果てに見える光を優しく描き出す、感動作。
《2010年3月29日 読了》
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6つの短編でありながら、一つの世界を作り出してる。
その世界は帯に…
装丁に表現されている。
どことなく仄暗く湿度を持ちながら、暖かさがある・・・
不思議な読後感だった。
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◎第23回(2010年)山本周五郎賞受賞作品。
◎第143回(平成22年度上半期)直木賞候補作品。
2010年4月15日(木)読了。
2010−34。
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この人は、どこまで進化するのだろう。
この人はどこまで心の闇を気付かせてくれるんだろう。
1年に2話のペースで発表された6つの短篇。
だんだんと道尾さんの腕が上がっているからか、意図的になのか、
どんどん引き込まれて読むスピードがあがる。
道尾さんの作品はなにかひとつ投げかけることがあって好き。
もしかしたら自分もそうなってしまうのではないかと思う
心のひだ、あやうさ、脆さを感じさせる。
本作はそれが、ぎゅっとつまって、
そして多様なかたちでみせられる。
光があるから影がある。
そのものが光でないかぎり、必ず影は生まれる。
自分が想うなら、自分が望むなら
変わることもできる。
変わらずにいることもできる。
そう感じた。
光に満ちた景色も、
暗くて哀しい風景も、
すべてがこの世界だ。
と裏表紙の帯文にある。
どんな状況の中にいても、明日はやってきて、世界は回る。
私たちは生きなければならない。
傷つきながらも、
苦しみながらも、
悲しみながらも、
笑いながらも、
愛されながらも。
たくさんの気付きをありがとう。
この作品に出逢えたことに感謝。
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道尾秀介がすごい。
どんでん返しのトリックが魅力的でおっかけ始めた作家さんだけど、最近はあまりミステリー色は出さない。文芸書としての完成度が高い。
人の心を映し出すのがとても上手。
この本は連作短編集。それぞれの物語のつながりがあって、他の章の登場人物のその後が後からほのめかされる構成も素敵。
最終的にはどの話にも救いが用意してあるのも嬉しい。
本を読みながら自分の内面と向き合えた様な気がする。それも読書の醍醐味だと思う。
とにかく、道尾秀介がすごい。
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十字架を背負って生きている登場人物たちが、少しずつ繋がっていることで、勇気をもらったり安心したり何かに気づいたりできることが素晴らしい。
そんな少しずつの繋がりは光によって媒介されており、タイトルの『光媒の花』というフレーズを頭の中で繰り返すたびに、希望の光のようなあたたかみを感じる。
なんだかとっても素敵な人たちに出会えたような気持ちになった。
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「この全六章を
書けただけでも、
僕は作家になって
よかったと思いました。」
ってことだったので期待大!
連作短編集好きなんですよね〜。
おもしろかったです。
哀しくもあったかい感じが道尾さんっぽくて。
中でも『風媒花』がよかったな。
ただ、個人的には登場人物がもうちょっと
ガッツリと絡み合う連作短編のほうが好みかも。
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短編集でありながら、登場人物がつながっている。
私が大好きな、「あっと驚くラスト」は見られず。
『ラットマン』や『片眼の猿』のような作品をお願いしたい。
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最初は、なんか内容があらぬ方向へ
いきかけましたが、最後にはうまく
まとまってました。後半の話はなか
なか良かったです。
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せつない系です。緊張感あるストーリー展開。通勤電車で読んでて喉が乾きました。6編の連作ですがその連鎖の仕方が気持ちイイ。
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連作短編集。さまざまな事件を交えながら、それぞれに罪を背負った人々を描いた叙情的な物語。しんみりと切ない印象です。それぞれの物語の繋がり方もとても印象的。
お気に入りは「冬の蝶」と「春の蝶」。「冬の蝶」がなんともやりきれない物語だっただけに、「春の蝶」ではほっとさせられました。「春の蝶」の謎のやさしさもよかったです。