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酒を飲むのは一人か、多くとも二人と決めている
大勢で飲むと騒がなくてはならなくのが煩い
自分が自分にしゃべっているのでなければ、誰かもうひとりと煮込むように会話をしたい
鶏の骨が溶けるように論理が酒でとろとろになり、翌日には忘れてしまうような会話の煮込みを肴にして飲むのである
だから女とは飲まない
女と会話する必要はない
女は口説いて抱くものだから
小口のコトバです カッコいい
これが本書で一番効いた台詞でしょうか?
こんな奴だから、泉に惹かれたのかもしれない
ま〜私ならこんな人を放さないでしょうね
本作、かなり難しい
最後の泉がどうしてもわからない
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ひとりの女性の生い立ちを、取材をまとめるという形式でつづった物語。ある意味どんでん返しとも取れる仕掛けがあったりしてうならされはするのですが、ただ、このエンディングはどうかなぁ…。「リアル」とは言え「シンデレラ」なんだから、読者が望むエンディングはひとつしかないと思うのです。
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どんどん引き込まれ、一気にラストまで読んでしまった。
童話のシンデレラが幸せだったのかは分からないけれど、泉が本当に幸せだったのだとすれば『自分の周りにいる自分じゃない人にいいことがあったら、自分もうれしくなれるようにしてください』と願い、それが叶ったから?
3つの願いの最後にそう願わずにいられなかった彼女のそれまでの人生と、これから先にも自らにはうれしくなるような事が訪れないと思っていた彼女を思うと何ともいえない気持ちになる。
ラストで泉が、何を思って馬車の蚊取り線香立てと供に消えてしまったのか…
泉を想って泣いてくれる人がいてよかったと思ってしまった私には、泉の事は理解しきれないかもしれない。
そういう意味では難解な1冊。
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姫野節炸裂!って感じの作品です。
親に顧みられない幼少時代・心の善にしたがって生きること・ひがまない心・恋愛を放棄した人生。
って書くとすんごく侘しいのですが、ほのぼのしてて、人生の輝きがちゃんとある主人公:泉さん。
「幸せ」になるためには親の愛、恋人からの愛、お金、美しさ、心の美しさ…その他いくつかのピースが必要でそれを必死に集めているような気がするけれど、泉さんはもう超越している。
周囲はそれをさみしいとか、悲しいととらえるかもしれないけど、本人はちゃんと幸せ。
こんな風でもいいんじゃないかと思います。
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とある出版社で大人向きのムック本を出すため、童話の読み直しをしている企画中に、シンデレラの話に違和感を抱いた女性。
シンデレラは、ヒロインが印象的でない。継母や意地悪な義姉たちと同じ価値観でやり返しているだけだと。
編集者の知っている実在したシンデレラのような女性のことを書いたらどうかという話になる。
シンデレラのようなといっても継母に育てられたわけではないが…
倉島泉(せん)という娘は、1950年、伯父が始めた諏訪の料理屋「たからや」で働く両親の長女に生まれたが、どことなく地味。
妹の深芳(みよし)が可愛らしくて、しかも身体が弱かったために、両親の関心はひたすら妹に向かう。
お姉ちゃんだから妹を守ってやってと言われて育つ。
泉を跡取りと言ってくれた伯父は急死。
泉は明らかな待遇の差に慣れていて不平も言わなかったが、家を出て下宿しての高校生活は伸びやかだった。
縁談も、下宿していた地元の名士・片桐家の大奥様に気に入られて息子・潤一の嫁にという話だったのだが。どういう間の悪さか、妹の深芳がそれとは知らずに恋仲になっていた。
思いがけない成り行きに妹たちの恋は燃え上がり、駆け落ちに。
そして、泉の方は妹の縁談相手・横内亨と結婚することに。
見合いとはいっても亨は妹の方が好きだったので、泉とは結局上手くいかない。
旅館となった「たからや」に働きに来た他の女性と関係が出来て、離婚の話になっても泉はあっさりしたもの。
彼女を若女将として立ててやり、自分は離れを建てて住み、畑を耕してハーブを育て、名物のわらじを編む。
いいアイデアを次々に出しながら、見た目は掃除婦と間違われるような暮らし。
化粧気もないが顔立ちは端正で、雰囲気も溌剌としていて、見る目がある人には魅力的だった。
従業員の小口耕介には好感を抱かれるのだが。
遠慮深い性格は終生変わらず…
確かにシンデレラの義母たちとは真逆の価値観?
人間像としては面白いです。だがこれが幸せなのか…
じつは謎のある生涯だったんですね。
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ものすごく迷惑な挿画でした。電車の中で読みづらいったらありゃしない。中身はすごく面白くて、性愛の描写など無きに等しいのに、この絵。結局、いやだなあと思いつつ、面白さに負け、電車内で開いて読んじゃいましたが。
泉という名の主人公、病弱で周囲に受ける容姿の妹に親の愛を奪われて育つけれど、自分がスポイルされているとは思いません。だって自分も妹を愛しているから。婚約者を奪われ、夫を寝取られても恨まず、財産にも執着しない。これがリアル・シンデレラのありようですかね?
確かに、他の人が欲するものを欲しがらない人って一種の脅威です。主人公より、主人公を不気味がる脇役の気持ちの方がよくわかる気がしちゃう。アイスクリームが大好きな人は、他の人がアイスクリー痛いとムを断る理由を「ダイエット中か、おなかの具合が悪いんだろう」と考え、相手がアイスクリームを嫌いだとは考えないというけど、恋も財産もいらないという女性の存在を信じられない人がいても、邪推とばかり言い切れないでしょう。
泉は周囲の人の幸せを喜べる人でした。だから自分の取り分の多寡なんか考える必要がなかったんです。容易に幸せになれる、余人の幸せに脅かされない人。
できれば泉を主人公にした一人称小説が読みたいです。そして彼女が周囲の人の苦しみをどう受け止めていたか知りたいと思います。
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“せめて物語のヒロインには清く美しくいてほしい”
と話し手である“著者”が言う通り、清く美しい“物語”。
“幸せとは何か?”と問われる作品、
と言ってしまうと、陳腐になってしまうのだけど。
自分の心の狭さ、貧しさに胸が苦しくなるくらい、
聖母マリアのように、清らかな泉(せん)は、
もちろん言うまでもなく美しい。
だけれども、欲深いことも悪いことではない、とも思わされる。
皆の幸せが私の幸せ、も素敵だ。
私の幸せも皆の幸せ、であるならば、それも素敵。
それでもやっぱり、泉のお願いの三つ目は…
涙がでる。
それは物語に感激してもあるけれど、
自分自身の心の狭さに悲しくて、涙がでる。
泉の生き方は、自分が幸せになってはいけない、
人が幸せを自分の幸せと思い込まなければいけない、
と思ってしまっているのではないか、とも感じてしまう。
安心して幸せになっていいんだよ、あなた自身が。
と言ってあげたくなる、
倉島泉をぎゅっと抱きしめたくなるような作品。
泉と小口が飲み屋で飲むシーンは、すき。
明らかに違和感があるのに
静寂で落ちついているデルヴォーの画は
しっくりくる。
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倉島泉という女性の在り方を彼女に係わった人々の口から語らせる。そして、あり得ないような魂の清らかさに感動する。周りの人々の喜びを自分の喜びと感じれますように!とは、本当に何と言う美しさだろう。
最後に現代のシンデレラ倉島泉は蚊取り線香の馬車を残して、どこへ行ってしまったのだろう。
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<自分の周りにいる自分じゃない人にいいことがあったら、自分もうれしくなるようにしてください>人間の美しさは外見では無く、中身なのだと考えさせられる作品。今年の夏はハーレーで諏訪大社まで行きたいな。
っで、泉ちゃんは何処に行っちゃったの!?
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倉島泉という女性の物語。彼女の周りの価値観や物事に左右されないで自然に幸せを感じられる心が羨ましい!幸せって比べるもんじゃないんだよね…幸せとか豊かさって何なんだろうと考えさせてくれる素敵な作品でした♪こーいう本に出会えるから読書は止められない!
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図書館にて。
久しぶりのこの人の小説だったが、あまり好きではなかった。
題名の意味が「お姫様だけれど心がいやしい人」の対極を意味するようだけれど、泉の容姿を必要以上に悪く描き過ぎている気がする。
確かにこの人の人生は清く潔い、ある意味幸福な人生だったのかもしれないが、周りを取り巻く人たちの汚い部分が浮き出てくるような感じで、こちらまでさげすまれているような淋しい気持になった。
彼女自身はそんなことを気にするような人ではなかったけれど。
彼女を本当にわかってくれる人が、もうちょっとだけでも近くにいるような人生だったら…
でも、そういう人生を歩めるということは逆にどこか嘘をついたり人を裏切ったりというような汚い部分が必要ということなのか。
考えさせられた。
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かぐや姫のラストですかねぇ?最後がイマイチ納得できないよなぁ。読後にかなり色々悩めることができたので、評価は高めで☆3つ。
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この本に感動する人はきっと不幸な人なんだろうなと思う。幸いな事に?自分は感動しなかった。50代以上の人生の垢にまみれ、が、一応人生を振り返る余裕持っており、自分の人生にある種の負い目を感じる誠実さを持つ人が感動するんだろう。かといって、浮世離れした多少の宗教臭さに違和感を示すのも、哀れな人だと思う。物語は最後の最後まで、どうしようもない連中のどうでもいい人間模様が永遠と続き、人間のクズさを再認識する。総じて古臭く、説教臭い。で、主人公の存在感は薄い。が、ラストの主人公の「テン」の告白では若干の盛り上がりがある。ここは小林秀雄の「信ずる事と知る事」を髣髴とさせる。ここすんなりクリアできるか?何も感じないまたは否定モードになるか?で読者の人生も問われるんだと思う。
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私の頭の中で泉ちゃんの人物像がいまいち描けませんでした。
足りないピースを埋めたい為に、読み進めましたが、結局ピースははめられず、欠けた部分が多い倉島泉のまま終わってしまったと言った読後感でした。
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<シンデレラ>なにげなく耳にしていた言葉をじっくり考える機会をもらったような気がするお話でした。
>幸せっていうのは・・・幸せっていうか美しいっていうか,善きことっていうか・・・そういうのって泉ちゃんみたいな人生だと思うんだよな・・
そんな1950年生まれの倉島泉さんの物語です。