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なかなかない「渾身」という言葉がふさわしい名著。
会計というと地味(なぜか「自見」と変換された)なイメージであるが、国家規模をも表現する最大にして最高のツールなのだ。
従い、国家や企業戦略において会計というルールがどれだけ重要であるかということは、昨今のこのIFRS覇権争いをみても、間接的に伝わるだろう。
え?日本は独自路線を取ることにしたんじゃないのって?
どうして自見って変換されちゃうかって?
いえいえ、この本を読めば、日本がIFRS覇権争いに死に物狂いで取り組み今の地位を確保した並々ならぬ努力が分かります。
そう、国家と企業の未来を見通せるごく一部の識者によって、そういう努力が積み上げられていったこと、この本を読んで学ぶことはその努力をムダにしないということ。
それに尽きる。
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ここ数十年の会計の潮流を,会計基準問題と不可分である政治や金融の流れとともにわかりやすく解説しています。登場人物のバックグラウンドまで踏み込んで記述されているので,一種の物語としてもおもしろい(もちろん書かれていることは事実に基づいている)。
会計関係の人だけでなく,金融関係の人には幅広く読んでもらいたいと思いました。
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タイトルが刺激的だったので思わず購入。で結果は久々に当たり本!
まじめにビジネスやってる側からすると、法律でも無い会計ルールを、どっかの黒幕がちょこっと操作するだけで、みかけの業績が上がったり下がったりするとか、下手すりゃ会社が消滅するとか、ほんとバカバカしくなりますが、だからこそ「戦争」という言葉がぴったりなくらい、いろんな役者が死闘を繰り広げてるんだなと。
しかしこんな知的な戦争なら自分も従軍したいなと思った次第!負け戦でも一兵卒として突撃しますぞー。
そういえばこの前、震災対応を優先するためにIFRS強制適用を先送りするとか新聞記事が出てたけど、実際のところ、どういう意思が働いて先送りになったのか?とかいらぬ妄想するのは楽しいものですな。
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2002年に出版された「国際会計基準戦争」に加筆・修正された一冊であり、近年、日本で見られた粉飾決算や信用を無くした監査会社の合併、さらには影響力を増している中国の国際会計に対する取り組みなど、前作よりも現況を反映させた深い内容となっている。
目次
序章 IFRS時代の到来と日本の「敗北」
第1章 時価会計が金融危機の犯人か?
第2章 国際会計基準「戦記」その1 開戦から国際化受け入れまで
第3章 国際会計基準「戦記」その2 エンロン事件から終戦まで
第4章 会計監査が信じられない
第5章 中国が国際会計基準を握る日
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会計基準にまつわる話である。
その昔は、日本は自国の会計基準で会計報告を株主などに行ってきた。
しかし、金融のグローバル化により国際的に資金が行きかう様になる。
そうなるの、日本企業のあり様を表す決算報告が欧米人から見て、
「フェア」じゃやないと言われた。
当時(1990年代半ば)、バブル崩壊で含み損を多く持つ財閥系企業が狙われた。
欧米人の「フェア」と「時価」である。
今となっては当たり前の考え方。しかし当時の日本はその概念についていけず、
当時策定されつつあった国際会計基準に対して意見をいえるルートすらなかった。
結果、時価会計の波が寄せられ、「会計ビックバンを」を迎える。
日本企業は、激減緩和和措置とは大きな影響をうけた。
閉ざされた10年と言われる日本の負の歴史がノンフィクションとして描かれている。
失われた10年後の続編が本書である。
国際会計基準はIFRSと名を改めて、エンロン事件で米国が引き、欧州の会計基準がスタンダードとなっている。