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ハートの作品を論じるときには、必ず家族という重いテーマを中心に語られることが多く、そもそも家族というものを語るためにミステリーという枠組みを利用しているのだ、といった論調が主流です。
しかしこの作品を読むと、むしろ白眉はミステリーとしてのシナリオ、プロット、人物設定と配置にあるようにおもいます。むしろ古典的なほどミステリーの面白さを体現しており、そこの部分では数々の文学賞受賞も不思議ではないとおもいます。
逆に、「本当のテーマ」とされている家族の物語だけをわけて考えると、人にとっては鼻につくほど気障に思われる文体とあいまって、凡百の小説といわざるをえないです。
そもそも本当のテーマはどこにあるか、といった考え方自体ナンセンスでモダンではないですが、わすれないほうがいいのは、この小説が非常にすぐれた「ミステリー小説」であって、「家族」というテーマをだれよりも深く、あるいはユニークに論じた画期的な小説ではけっしてない、ということです。
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あらすじを読んでイヤな予感はしていたがやはりその通りだった。暗い。物語全体が暗すぎる。どこかに明るい材料はないものかと期待する序盤だったが、細部にわたって暗いことを認識しただけだった。
個々の問題と向き合うことを拒否している頑なな登場人物たち。家庭という居場所は崩壊し、救われない世界にどっぷり浸かっている。この陰惨な背景が底なし沼のごとく拡がり、その上に悲劇的な事件が乗っかっている。
意外な方向から動き出す事件に、救われない世界も徐々に変化する。いい兆候と悪い兆候。問題と対峙することを余儀なくされた者たちは混乱し焦燥する。この辺りの細やかな描写にジョン・ハートらしさがよく出ている。家族間の微妙な距離、すがりたいけどすがれないジレンマと葛藤に、幾度となく悲哀を感じた。
事件の落ち着く先は途中から予想できる。プロセスに若干のご都合主義はあるものの、ミステリ小説としての基本ルールはクリアしているだろう。
事件を通して失ったものもあるが、手に入れたものの意味は大きい。そこにはそれぞれの“成長”が不可欠だからだ。悲劇的であるのに、なぜか読後感は悪くはない。フィニッシング・ストレートがやばかったかな。前作には及ばないが、海外ミステリファンを唸らせるだけの良作には間違いない。
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最初、なかなか(少年の視点に)入り込めなかったが、その後、ハント刑事の視点とジョニーの視点が交互に入れ替わり始めるあたりからのめり込んだ。確かに傑作だと思う。ただ映画化とかしようとすると身も蓋もなくなるような気がする。
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[ 内容 ]
十三歳の少年ジョニーは、犯罪歴のある近隣の住人たちを日々監視していた。
彼は、一年前に誘拐された双子の妹アリッサの行方を探しているのだ。
美しい少女だった妹は何者かに連れ去られたが、警察はいまだ何の手がかりも発見できずにいた。
ジョニーの父親も、娘が誘拐されてまもなく謎の失踪を遂げていた。
母親は薬物に溺れるようになり、少年の家族は完全に崩壊していた。
ジョニーは学校を頻繁にさぼり、昼夜を問わない危険な調査にのめり込んだ。
ただひたすら、妹の無事と家族の再生を願って―英国推理作家協会賞最優秀スリラー賞受賞作。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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ブックレビューで小橋めぐみが紹介。
単なるミステリーではなく、人生をかたる作品。ジョンハートのミステリーは良い。
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期待が大きかっただけに、そうでもなかったな。
物語の冒頭は映画を見るような語り口でひきこまれたんだけどな。
原作で読みたいとも思わないな。なんだろう。長すぎる。
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真相が解きほぐされるまでの過程での、登場人物それぞれの心の鼓動が感じられておもしろい。『川は静かに流れ』もそんな感じだったので、この作家はそういう作家なのだろう。ただ今回の主人公については少年というせいもあるのか、その無鉄砲さに若干感情移入できなかった。
むしろ脇役の黒人の娘に対する愛にうるっとくるものがあった。
■このミス2011海外5位
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双子の妹が拐われた後、父親が蒸発。母親は悪い男に引っ掛かり薬漬け。双子の兄は夜な夜な妹を探す。崩壊した家族を見守る刑事。双子の兄と刑事の視点こら物語は語られ、進展していく。スピード感には欠けるので星3つだけど、謎解き部分はよくできてるかな。この作家で別作品も読んでみたいとは思った。
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感涙必死。というかこの設定でミステリって…可能なのか??というのが第一印象でしたが、はい、これはミステリでありながら素晴らしい小説です。
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私の評価基準
☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
☆☆ 普通 時間があれば
☆ つまらない もしくは趣味が合わない
2011.5.8読了
うーん、少年物には弱いんだよな。
ま、とにかく面白いです。ミステリーとしてはよくあるパターンですが、小説として骨太で、いいですね。
少し詰め込み過ぎのきらいはありますが、導入部から入り込み易くて、物語の中にすぐと入って行けます。
そして、いちばん重要なのはその小説独特の空気感なんですが、ばっちりあります。それが無いと、映画なんかに負けちゃうもんね。
解説で、池上さんが家族の物語と書かれていましたが、それと少年たちの成長の物語もありましたね。ジョニーとジャックの気持ちを思うと、なんかうるうると
二人の関係が、最後どうなるか、そんなとこも読んで見て。
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ジョニーのお母さん、頼る人がいないと生きていけないタイプなのね。情けない。ハントさん、刑事としてあんた無能すぎる。少女が失踪したというのに、小児性愛者をあたらなかったの? ジョニーもお父さんも、別件とはいえ犯罪者を見つけたんだよ。だいたい事件の最中に、暇さえあればジョニーのお母さんに会いに行くなんて、もっとまじめに仕事をしたら。ヨーカムの指紋の件だって、なんで署長が先に情報をつかんでいるの。あんた責任者じゃなかったの。
どうしてこれの評価が高いのか、わからない。「川は静かに流れ」も良いとは思えなかった。犯人も想像通りで拍子抜けだったし、人間が描けているわけでもなし、家族の悩みだってありきたり。ミステリー風ハーレクインみたい。そうそう、リーヴァイは「グリーンマイル」の死刑囚そっくりだし、カラスがたくさんとまっているシーンは、ヒッチコックの「鳥」そっくり。パクリはいただけませんね。
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なかなか面白かった。他のジョン・ハートの作品も読んでみたいと思った。…後日、失踪家族を読んだら、あちらのほうが面白かったかも。。。
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評判が良さげな海外ミステリだったので、手にとったのだけれど、正直、半分いや3分の2を過ぎるまで、読むのが少し辛かった。最後は引き込まれて、ラストまで一気だつたけど、読み終わるまで一週間近くかかってしまった。最近のアメリカの作家のミステリは、どれも暗いものばかりのような気がする。
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13歳のジョニーの願いは3つ。
母親が薬を止めますように。家族が戻ってきますように。母親を食い物にする男が死にますように。
のっけからジョニーが健気すぎて。
双子の妹が誘拐されて1年。父親は出て行き、母親は薬物に溺れている。
ジョニーはジョニーなりの手段で妹の行方を捜す。彼女が戻れば、すべてが元に戻ると信じて。その思いの強さと反するように彼を取り巻く環境は苛酷さを増していく。
彼を気遣う刑事もいるけれど、ジョニーは心を許すことが出来ない。
少年故の思い込みや無謀さを、こちらはハラハラしながら見ていることしか出ない。これがもう切ない。
本作も家族・父と息子がテーマとなっており、様々な形で表現されている。ミステリでありながら謎解きは物語を進めるための補助エンジンにしか思えない。もちろんミステリとしてもよく出来ているのだけど。
読み終わって、ちょっとトム・ソーヤーを思い出した。あんなに無邪気ではないけれど。
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前半読むのが辛い。止めようかと思った。主人公がかわいそうで。天使のようで正気でない母親って、男性のツボなんでしょうか。