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原発の展開がなんとも。
というのも、最終局面でストーリーは、
原発で停電→発電機動かず→炉心の冷却が出来ず→海水注入、
というまさに、今の福島。
これがどういう事かと言うと、今福島で起こっているのは原発の最悪のシナリオである事。
簡単に炉心溶融とか言ってるけど、それは原発ではあってはならないことで、
世界最高峰の日本の原発で上記のような事故が世界の原発事情に与える影響は僕らが思っているより大きい。
小説としては、終わり方が気に入らないけど、面白い上に、現状を理解する助けになったということで、気になった方はぜひ読むことをお勧めします。
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北京オリンピック開催と同時に、世界最大規模の原子力発電所の稼働を目指す中国政府の役人。その安定稼働に向けて尽力する日本人技術者。それを取り巻く切迫した環境の描写が面白かったです。
オリンピック開催と同時に稼働を開始するも事態は最悪の展開に。メルトダウンンを防ぐべく冷却水を入れようとするも、非常用電源が働かない。ついに海水を注入し廃炉への道をたどる。
小説の中には最終的にどうなったかの記載は無いのですが、福島原発で起こっている事態と重なる部分が多く、その事態が原子力発電所で起こる事象の中では最悪の事態であるということが良く判ります。
今の日本の状況を詳しく理解するために、是非読んでみることをお勧めします。
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めも
・諦めからは何も生まれない。希望とは、自分達が努力し、奪い取るものだ。
・やればできるのではなく、やらなければできない。
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良書だが、これでは未完。
ちょっと前に「オリンピックの身代金」を読んでいただけに、日中それぞれの対比が興味深かった。しかし、原発を舞台にしたクライマックスに進むにつれ、やはりそこに引き込まれた。福島第一でもこんな状況があったんだろうかと感極まる場面も。また、本当なら分かるはずのない専門的な用語や描写が、今や全てリアルにわかってしまう。そういう意味で、3.11以降、本書のラストは小説としても全く未完としか言えなくなってしまった。
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友達とこの本の話をしていたら、何と庁舎の売店で運命の発見!
友達がその場で買ったので、後から借りて読みました。
上下まとめてレビューします。
題名、「ベイジン」というより「ダイレン」じゃないのか…?
ちょうど福島のことがあったばかりだったので、
背筋が寒くなるくらいのリアル感でした。
そして、このレビューを書く(7月末)少し前には、新幹線の事故もあって、小説とダブりました。
その上、大連では現実にも原子力発電を建設中なんですね(紅沿河原子力発電所)。
革新的な技術は、使い方を誤ればものすごい凶器になること、
小さな小さなミスが思いがけない結果につながることの怖さ。
危険の大きさを認識している者と、していない者との落差に愕然としました。
これから!ってときにラストを迎えたのは少し残念。
残された部分は、想像力で補うには大きすぎます・・・
終わりの方で、ラジオの持ち込みを許可したことを悔やむ田嶋に対して、
朱鈴がかけた言葉が印象的。
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神の火、ときいて何を想像しますか?
原発は、人間の手には負えない代物なのかもしれない。
だからこそ、完璧に設計をして、運用して、点検して、
最悪を想定して、「絶対安全」という概念を捨てなければならない。
この本を通じて、そんなあたりまえのことが頭によぎった。
原発に関わる人へ、「こんなことやっているよ」と鼻で笑われそうだけど、
一度読んでもらいたいとおもう。
こんな時期、時代だからこそ、余計にそう思う。
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2011/08/22-2011/08/27
北京オリンピック開会を前に国家の威信をかけて建造した世界最大の原発「紅陽核電」。しかしその崇高な希望とは裏腹に、言葉足らずを承知で端的に中国人の国民性を捉えれば、「強い個人主義、自分の得にならないことはやらない。得になることは汚れてもやる」ことにあるだろう。
残念ながら日本人とは相入れない「価値観」がある。
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希望や誇り、そういう青臭い、胡散臭い言葉が、芯に響いてくる。
私も仕事に対して、もっと真摯にならねばと思いました。
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2011/9/9読了。
環境とエネルギーを専攻し、その中で原発についても触れる環境に身をおいている私にとって、非常に勉強になる1冊であった。
原子力に追い風が吹いていた2000年代後半に、バブルとも呼べるほどに世界中を包み込んだ熱気に対して危惧を抱いていた冷静さと、どれ程の取材を行ったのか想像もできないほどの原発に対する正確な知識と認識には、恐れ入ったの一言。執筆時点、日本で原発が内包する真の危険性を認識していた人がどれだけいただろうか、そう考えるだけで著者の優れた先見性が理解できる。
もちろん、小説としての出来も素晴らしい。テーマを絞り込まず、あれもこれもと欲張ったものは大抵の場合陳腐に仕上がってしまうものである。しかしこの本は、中国,人種,原発と近年の大きなトピックが詰め込まれているにもかかわらず、全体のまとまりは全くといっていいほど損なわれていない。
また、登場人物それぞれがトピックに関連のあるバックグラウンドを持ち、彼ら彼女らのストーリーがリンクし集約していくことで生まれる、終盤の緊迫感とスピード感に手に汗握ること間違いなしである。
今作では全くと言っていいほどエピローグが描かれていないのだが、そこには、答えは与えられるものではなく自分で考えて出すもの、というメッセージが含まれているのだろう。また結末に限らず、本の至る所から溢れだす著者の強い想いを感じたのは、私だけではないはず。
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原子力の専門家として北京五輪に合わせて紅陽核電を巡る、技術顧問・田嶋と中国側(郭をはじめとする)の物語。最後に海水注入という手段を講じるのは福島第一と同じ状況であり非常にリアル。メモ。諦めからは何も生まれない。希望とは、自分たちが努力し、奪い取るものだ。
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やっぱりダイレンの話。映画監督の話を減らしてでも、中国共産党幹部と日本人原発技師の交流をもっと書いて欲しかった。
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原発の内容が図も無く理解できてしまう。昨年の事故が反芻している感じを覚えた。なんか、物語の内容が実際に起きたってことかな。権力者の考え方はどこも同じ。
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緻密な取材を元にしながらも中国人と日本人の友情についても書いている。中国進出を目指す、日本企業の人間も参考に読むべき。
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日本人の技術者が設計した中国の原発が爆発するというSFでした。福島の事故の前に書かれていたようですが、電源を失うなど福島の事故に似ていて面白かった。終わり方が尻切れで、え?終わり?という感じではありました。
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この人の書いた本のドラマは、(事件をベースにしているからということもあるけれど)実際に起こるからなんだか恐ろしい。「ベイジン」を「フクシマ」に読み替えて読んでしまった。
この本の結末は、終わりが始まりのパターン。フクシマも終わりが始まりで、その終わりが現在見えていない。この本にも終わりはないのではないかと思ってしまった。
折しも先日、中国で原発従事者が不足する事態になりそうという新聞記事を読んだ。原発建設ラッシュで技術者が大量に必要なのに、相当の知識を持った人材の育成が間に合っていないとのことだ。原発は人間の手におえない巨大な力だと今回の震災で思い知らされた。それを支える人間の小さな手さえもない状況で、この先どうするのだろうか。
原発は一度作ったら終わりのないゲームに突入してしまう。「ベイジン」が実話にならないように祈るばかりだ。