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正義に関する、幸福の最大化・自由の尊重・美徳の涵養という
三つのアプローチの強みと弱みを探り、正義とは何かについて考えていく。
正義に対する考え方は三つある。
第一の考え方は、いわゆる功利主義で、正義は功利性や
福祉を最大限にすること(最大多数の最大幸福)。
第二の考え方は、自由市場で行う現実の選択であれ(リバリタリアンの見解)、
平等な原始状態で行うはずの仮説的選択であれ(リベラル平等主義者の見解)、
正義は選択の自由の尊重を意味すると捉えること。
第三の考え方は、正義には美徳を涵養することと、共通善について
判断することが含まれるというもので、著者は第三の考え方を支持している。
なぜなら、「公正な社会はただ効用を最大化したり、
選択の自由を保障したりするだけでは達成できず、
達成するためには善良な生活について我々が共に判断することが
必要になるから」というのが著者の見解である。
どんな方向に議論が進むかわからない講義を取り仕切る著者の力量。
多元的な視点から冷静に議論を進めていく学生の知性。
アメリカの教育の奥深さを感じた。
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さんでる教授に出会ったら、とにかく自分の意見を捲くし立てる。
言われたいんだ
「面白い意見だ。君の名前は?」
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面白かった。
正義とは?道徳とは?
なかなか難しい話ですね。
最後にいくにつれて頭がこんがらがってくるから、またゆっくり整理しながら読みたいものです。
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考えさせられた。正義、とあるが、政治哲学についての面白い教科書。自分の考えをまとめながら、何回か読み直した方が良い。
邦訳は良かったように思う。
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平易な言葉で書かれており、予想していたよりずっと読みやすい。ただ、哲学の本と言うより、哲学の考え方の手ほどきといった感じ。入門書と併せて読むといいのかも。
目次をざっと見て、最終話から読み始める腐った私。だって同性婚についてだったんだもの。
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「正義」「公正」を自分はどう捕らえるのか。「社会」と「個人」の両側面からの距離感をどうとるのか。歴代の哲学者の論理は極端すぎるので、自分は無意識にどう振舞っているのか、どこにプロットしたいのかを見つめなおす良書でした。「美徳」がないと生きる価値がないと思うが、そのとおり生活できてるかというと・・・生きるって難しい^^;
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これを読み終わってからというもの、いろんな判断の場面で、正義とか道徳とか善とか、考えるようになった。なんだが自分が成長したような気がする。
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進みつ戻りつ、ようやっと読了。
最後まで読んだ甲斐はあったと思う。
NHKで放映された講義を見逃したのを後悔。
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難しかった。
正義に対する3つの考え方:
- 正義は功利性や福利を最大にすること(最大多数の最大幸福)
- 正義は選択の自由自由の尊重を意味する
- 正義には美徳を涵養することと共通善について判断することが含まれる
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誰もが悩むだろう究極の選択を問いかけることで、何を正義とすべきかを読者に考えさせる本。
そこで、筆者(ハーバード大学で一番人気のある講義をしている教授)の考えを哲学の土台の上で論じることで、筆者なりの答えを伝えてくれる。
筆者が出した例の一部:
①あなたは、ブレーキの効かない電車の運転手で、前方の線路上に5人の作業員がいるのを見つける。このままいくと、彼らをひいてしまう。しかし、彼らの手前に待避線があり、そこへ曲がればそれを避けることができるが、待避線上にいる1人の作業員をひいてしまう。
あなたならどうするか。
②あなたは、ブレーキの効かない電車が5人の作業員をひきそうになっているのを、近くで見ている。今、隣にいる太った男を突き落とせば、電車は止まり、5人は死なずにすむ。
あなたならどうするか。
③フロリダ州がハリケーンによって大きな被害を受けたとき、フロリダ州ではモーテルが40ドルから160ドルへと跳ね上がり、水が2ドルから10ドルになった。この不当な価格によって、フロリダ以外の場所からフロリダへ多くの物資や人が集まり、復興を早めることができる。
ではこの価格は正しいだろうか。
④時限爆弾がしかけられた場所を知っている可能性がある人を拷問し、場所を特定する。その爆弾が爆発した場合、数千人に影響が及ぶとすれば、たとえ場所を知らない可能性があったとしても、情報を得ようとすることは必要だ。
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まず、最初に話されることは、世の中にある幸福を最大化すると、世の中は幸せになるのかという問い。
この話は、人の価値が金額に置き換えられていて興味深い。
アメリカの高速道路の制限時速を10マイル(16キロ)引き上げることで、節約された時間による経済的効果と、それによって増えた死者数を考えると、一人の命は154万ドルらしい。
ただ、この世の中の幸福を最大化するという考えは、すべての幸福を量ることができないという理由で行き詰まる。
カントによると、本当に自由な状態は、こうあるべきだという強い信念に基づいて行動するときだけらしい。
おいしいアイスクリームを食べたいから食べている時は、食べたいという欲望に支配されていて自由じゃないらしい。
カントやロールズの話は興味深かったが、途中で何の話をしているのかよくわからなくなった。
あと、おもしろかったのは、
人間は物語の中に生きているため、私は今どうするべきか。の答は、
私はどの物語の中に自分の役を見つけられるかという問いと同じである。
そのため、過去の自国が犯した罪から逃げることは、自分の物語から逃げることになる。
国を誇りと思うということは、自国の歴史の責任を負うことである。という話。
他には、
現在、道徳的・宗教的価値観について議論を交わすことを避けようとする傾向にある。
そのため、公共の言論の貧困化をまねいている。
つまり、事実を伝えることしかしないため、議論ができず、新しく起こった出来事を次々にただ伝えるだけに���ってしまうということ。
とか。
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他の人のレビュー
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2010/05/post-9b19.html
http://d.hatena.ne.jp/huyukiitoichi/20100605/1275671247
http://sankei.jp.msn.com/culture/books/100711/bks1007110750005-n1.htm
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2010/05/30-2010/06/11読了
難しくて一回だけ読んだだけでは理解しきれてないけど、カントの哲学が読めて面白かった。私はそんな崇高な理性は持てない気がする、笑
政治哲学について、中立的な立場でいることや、全員が同じ見解に立つことは難しいということはなんとなく理解できた気がする。
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年始のNHKの再放送を見たのを機に再読。
これまで、「道徳」ということばには偽善的で押し付けがましいという偏見を持っていた。
しかし、サンデルの授業は、ソクラテス的な対話を通じて論理を導きだしており、納得感があった。
さらに私は絶対の「正義」「善」なんてものはなく、政治や法では中立であるべきと考えていた。しかし、現実の諸問題の中には、中立というスタンスをとることができない問題もあるということを知った。
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NHKハーバード白熱教室を途中から欠かさず見ています。何が正しいかは曖昧なことが多いですが、社会や職場の雰囲気でそれが決まってしまうことに危機感を覚え、勉強したいと思っています。
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久し振りに、深く考えることの楽しさを実感した。
この本で扱われている様々な「正義」にまつわる事例には絶対的な正解は存在せず個々の社会的立場や思想的信条によって異なる考え方が可能であることから、活発な議論が発生する。そしてその議論から更に考察を深めていくことができる、そのような場が得られることがハーバードでの講義の人気の理由なのであろう。
学生時代、哲学書や思想書を読み漁っていた頃のことを懐かしく思い出した。
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アメリカのエリートはどのように考えているのかがわかる。
NHKの人気番組、ハーバード白熱教室の書籍版。
最近の沖縄の基地移転問題でアメリカとの関係が注目された。アメリカからは鳩山首相(当時)はルーピーと呼ばれたり、鳩山首相の側近がアメリカから門前払いを食らった、オバマ大統領とほとんど会談してもらえなかったという惨めな話が紙面に踊った。
未だに日本では、日本は敗戦国であり占領国であるアメリカには頭が上がらないと考えている人が多い。だから沖縄の基地はその名残であり、変えることはできないと思っている。鳩山首相や民主党の幹部は「対等な日米関係」を掲げたことからもそれはわかる。
ところでアメリカは日本を見下し、強い立場から色々押しつけているのだろうか?ときどきレイプ事件を起こすような末端の兵士がどう考えているのかはわからない。しかしこの本の流れを読み、ハーバード大学の学生のようなエリートが何が正しいことかを常に意識していることを知ると、軍の司令部やアメリカ政府は多くの日本人が考えているよりずっと基地について真摯に考えていたのではないかと想像できる。むしろ日本側が対等を意識しすぎて、意固地になってNoを叫び続けて失敗したとすら思える。
この本で語られる「正義」には「あたりまえ」は一切ない。なぜこれが正しいのか、なぜこうするべきなのか、色々な考え方を紹介しつつ、それでいいのかと常に自問し続ける姿勢が見られる。
アメリカのリーダー層がどのように考えるかを知ることで、アメリカとの付き合い方が変わってくると思う。多くの人、特に政治に携わる人は読んでおいて欲しい本である。