投稿元:
レビューを見る
6月のとある一日における、ダロウェイ夫人を初めとした登場人物たちの意識の流れを描いた小説。
改段もなしに別の人物の意識に次々とすり変わっていくので、あまり真面目に読み込もうとすると大変だけど、さらさらと読み流していけば、様々な人々の様々な意識の流れの交差点が見えてきて面白い。
生と死、若さと老い、美と醜、性、金銭・・・誰もがそれぞれの頭の中でそうしたものに囚われて生き続けるわけだ。
投稿元:
レビューを見る
意識の主体を次々と変えながら視界と心情を語っていくという独特の文体。蝶が舞うように、次々と視点が変わっていくのが斬新で面白い。
全体として薄暗い閉塞感を感じる。作者が上流階級であることも意識させられるけれど、必ずしもその立場にとらわれていないのは救いだ。
個人的には、セプティマスとピーターに同情する。
投稿元:
レビューを見る
とても好き。
どうやったら、この内容で、こんな文が書けるのかわからない。
事件といえるような事件はおこっていないと思う(ピーターが帰ってくることや、サリーがパーティにやってくることは事件にはいらないと思った)。それでも読ませる力があるし、心を動かされる。それがすごい。本当にすごい。
これを読んだ後に、「めぐりあう時間たち」(映画)を見ると、また二つの作品が相互に影響しあって、より楽しむことができる、と思う。
投稿元:
レビューを見る
人々と意識、思考が交錯して複雑なものが流れているように思えもするんだけど、本の中に流れているリズムや意識にとってもリアリティを感じる。
人の中に潜ったらこんな感じかなって。
本を読み終えた時、もう一度読み返した時何を感じるか想像してしまうのは嬉しいことだ。
生き物みたいな作品というものは存在するね。
そういうものに出会えた時はとても興奮する。
多面的とも少々違う。
有形でありながら、可変。という感じか。
投稿元:
レビューを見る
以前に「灯台へ」を読んでいたのでウルフの独特な文体については、一応免疫ができていると思う。その分、まだ入りやすかったのかなとは思うが、意識の流れで視点がどんどん変わっていく文体に、とりとめのないストーリー、かなり読みにくい小説である。
このふわふわした文体、主人公である「クラリッサ」ダロウェイ夫人の、その日のパーティの成功だけを考えているような地に足のつかなさに、うまくマッチしているような気がする。
「アンジェラの灰」「コールドマウンテン」「ダロウェイ夫人」と続いた土屋政雄さんの翻訳もの。これで小休止。
投稿元:
レビューを見る
シームレスで視点となる人物が切り替わり、想像力を刺激する豊かな表現。小川のせせらぎのように流れる文章で「わあ、キレイ」と、手を入れてみるとその冷たさに驚く物語。そう感じるのは、登場人物の誰もが、心の歯車の油が切れかかっているような人たちだからかもしれません。老いが生む寂しさや疎外感を嫌々受け入れつつもなんとか虚栄心を満たそうとしたり、過去に縛られて悪ぶったり、叶いそうにもない理想を求めたり、今にも崩れそうな危うい足元でぎりぎり持ちこたえている人たち。人類絶滅も地球滅亡もないけれど、終末感漂う小説でした。
投稿元:
レビューを見る
「意識の流れ」という手法と内容との関係についてを主に、
作者であるウルフ自身の証言が載せられているのが良かった。
これについては、必ずしも手法が先になってできたものではないということ、
自殺する準主役は、後付けで生まれたキャラクターであることなど。
非常に面白かった。
投稿元:
レビューを見る
細部が、人物が、その織り合わされ方がいちいち面白い。
この書き方は、自分がどこにでも跡を残し拡散して存在しているというクラリッサの人生観の反映でもあるような。
何度も読み返せば読み返すほどに得るものがありそう。セプティマスや精神医学関連の話にとりわけ興味が引かれた。
投稿元:
レビューを見る
はじめてのバージニア・ウルフ。なぜだか、彼女の作品は哲学的で難しいものと錯覚していた。かえって、女性からの視点、ある意味少女趣味的要素すら感じさせる作品。
投稿元:
レビューを見る
存在するっておかしなこと。
昔読んだ時は、クラリッサ=セプティマスなのがよくわからなかった。読み返してみて、本当に、ものすごいシンクロっぷりに驚いた。どうして前読んだ時、気づかなかったんだろう。
投稿元:
レビューを見る
ヴァージニアウルフは『灯台へ』と本作しか読んでいないけれど、最も魅了される作家のひとり。
意識の流れを繊細に描写した文体は、登場人物への深い共感を可能にし、内容は一見すると平凡だが作品は不思議な明るさに包まれている。
投稿元:
レビューを見る
「灯台へ」のような劇的な展開がないのでやや退屈。また(方法論上仕方がないのだろうけれど)書き手の視点が目まぐるしく変わるので、注意していないとわからなくなりがち。当時の英国の世相がリアルに感じられる。
投稿元:
レビューを見る
アメリカの映画やドラマを見ていると、本好きの女性が必ずといっていいほど好きな作家にヴァージニア・ウルフを挙げるようなので、読んでみなければとずっと思っていて、やっと読んだんだけど。。。
うーん、バカなわたしにはまったくといっていいほど、ピンとこなかった。「ダロウェイ夫人」はタイトルは昔から知ってはいたけれども、こんな話だったのか。。。上流階級のダロウェイ夫人の一日のうつろいゆく思い、みたいな感じで、ストーリーらしいストーリーがない。とりとめのない思いがとりとめなく描かれていて、あまり強い感情はない。一瞬、強く思ってもすぐほかのことに移っていく感じで。
しかも、ダロウェイ夫人だけじゃなくて、登場人物すべて、すごい脇役みたいな人たちもすべての思いが、つながるように書かれているので、正直、え、今だれの話?と何度も見失っていた。。。。
確かに、文章は詩的で美しいとは思ったけれども。
あと、ときどき、人々の人生への思いとか、50歳をすぎた人々の老いることへの感情とか、いろいろ、はっとする文章はあった気がするけれど、それも一瞬で流れていって、あまり残らなくて。。。一度でさらっと流して読むのではなく、一文一文じっくりと読んでいくべき本なんだろうなー。そういうのがわたしは苦手だけど。
あと、ヴァージニア・ウルフって、フェミニストで、孤高の強い女性、ってイメージなんだけど、この小説、解説含めて読んでも、あんまりそういうイメージがわかなかったなあ。。。
訳者あとがきがおもしろかった。フランク・マコート「アンジェラの祈り」が読みたくなった。(ダロウェイ夫人の靴が何色だか知ったことか!とキレる生徒が出てくるとか)。あと、ヴァとバの表記についてとか。
映画「めぐりあう時間たち」は見てみようと思う。原作も読みたい。
投稿元:
レビューを見る
【G1000/8冊目】淡々と流れる時間とシームレスに切り替わる舞台。説明のために時間が巻き戻されることはなく、ただひたすら前に向かって進んでいく。時間をかけて読んでしまったのが失敗だったのか、話の内容が頭に入ってこない。だが、時間の流れが自然ではなく、鐘で時間が告げられる描写は却って不自然さを感じ、時間の流れを現すのにはわざとらしさを感じる。難解という言葉で片付けたくはないが、メモでも取りながら読まなければ人の流れが全く掴めないのだと思う。
投稿元:
レビューを見る
大学で受講したイギリス小説の授業を思い出した。Stream of Consciousnessだっけ(スペルも怪しい・・)「めぐり合う時間たち」(だっけ?)も観たなあ。「灯台へ」とか他の作品も読んでみたい。