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スマートグリッドは、温暖化ガスの排出削減というよりも、近い将来の石油や天然ガスの枯渇(この枯渇とは燃料として経済的な価格で石油を入手できなると言うこと)に備え、エネルギー源の分散化は避けて通れないのだが、代替エネルギーの主役と見なされている自然エネルギーは、自然任せの部分があるが故に本質的に不安定であり、その不安定さに電力網(グリッド)を対応させるための手段がスマートグリッドである。
従って、スマートグリッドとは単に送電網のアップグレードでもなければ、家庭に太陽パネルをつけてオール電気化することだけではなく、中長期的に継続される経済政策であり、持続可能な文明社会を構築する上での新しい社会設計項目の一つである。
本書は、そういった視点でスマートグリッドを扱っており、スマートグリッドの技術的な詳細と言うよりも、スマートグリッドに関する各国での現状と政策をまとめ、なぜ今スマートグリッドなのか、その上で我が国がどうするべきか政策提言を行っている。
ということで、本書は単に技術論でなく、社会的な、あるいは経済的な側面でスマートグリッドについて把握しておきたい方に特におすすめする。
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中々に知識を詰め込んだ本でした。軽やかに読もうとか思ってる人は違う本を読むことをお勧めします。
簡単にまとめると、スマートグリッドとは何か、そのメリットについて導入部分を入れ、次いでスマートグリッドの歴史を事細かに見ていき、制度の制定を並べ、スマートグリッドの個人に対するメリットを書き連ね、エコポイントなどのエンパワーメントに類する知識を前提知識として紹介した上でエネルギー・ウェブ世界への進化を語ります。ここまでが第二章。HEMSやBEMSと言った言葉をよく用います。
第三章ではスマートグリッド革命に向けて日本企業がどのような変化を求められているのか、石油会社やガス会社、電気会社の対応と目指すべき道筋、スマートテクノロジー関連企業の生き抜き方や諸外国に存在するライバル、BYDやファストソーラーなど、日本企業のメリットについて語ります。
その後は5、6章でアメリカのスマートグリッド政策、欧州のスマートグリッド計画について述べ7章で日本の取り組むべき政策について書き綴り終わりです。
読み終わった感想として言えば、レポートを作成する際の参考書やスマートグリッド政策の歴史と変遷についてまで理解するのには非常に有意義なものですが、さくっと読んで浅く広く理解したい人には薦めません。
以上です。
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スマートグリッドに関する本で始めて読んでワクワクした本。
技術的な側面だけでなく、社会システムの構造転換がスマートグリッドによって起こることが様々な事例をもとに書かれている。
単なる事例紹介に留まらず著者自身の構想が提唱されているのも面白い。
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スマートグリッド関連の書籍の中でダントツ素晴らしい内容。
内容:スマグリ導入により、個人がエネルギーの消費者→生産消費者へと変化するユーエネルギーの世界が実現する。
筆者は東大→通産省→海外大学修士→いろいろ
THEエリート。THE日本を背負ってきた人間。文章読んでるとほんっとに頭いいんだなこの人ってのがガンガン伝わってくる。ユーモア的なものはいっさいないけど内容が濃いから読むのに時間はかかった。
これを読んで10年~15年スパンくらいで自分のできること、やりたいことが初めて見えてきました。
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<本日の本>
椋木修三著「ビジネス速読 仕事術」PHPビジネス新書(2010)
* スポーツジムに通って汗を流して体を鍛える人はいますが、脳の汗をかこうとする人はあまりいません。本を早く読むことは脳のスポーツです。日ごろの体力の向上と同じような感覚でトレーニングするといい運動になるかと思います。
* ビジネス速読を行う際の注意点として6つあります。①目的意識を明確にもつ、②用途に応じて読み方を選ぶ、③目的達成のみに集中する、④できることから実践する、⑤できなかった時は他の速読方にい切り替える、⑥割り切って実践を継続する。
* 漢字やかなかなは文中のキーワードになりやすく、それだけを拾い読みすれば即解は十分すぎるほどできます。
* 用語をしっかりと理解している人の説明には、1つの共通点があります。それは「たとえ話がでてくる」ということです。中学生や高校生に質問されたらどう答えるかを考えながら勉強すると良いということかもしれません。自分だけにかぎらず、他社を納得させる話術も向上させることができます。
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スマートグリッドの話を、エネルギー・ウェブ=ユー・エナジー(You Tubeのもじり)として書いて、その後、欧米やアジアのスマートグリッド状況をNEDOの資料から記載して、最後に日本のあるべき姿を描いた本。
正直言って、それほど説得性があるように読み取れなかった。スマートグリッド=太陽光発電のような話になっていて、安定しない太陽光発電をどうやってグリッドに載せるのかとか、海外のスマートグリッドも紹介のみになっていて、なぜ、そこではそのような政策がとられているのかなどはよく分からなかった。スマートグリッドの情報としては整理されている方かもしれないが・・・。
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グリーン革命を読んだ時以来のワクワク感を感じた本。
エネルギーに関して言えば、今は間違いなくバラダイムシフトが起こる時。日本が世界と比べて技術的な優位性を持っている今のうちに国全体としてスマートな社会の創設に舵をとらなければ、時代に取り残される事になる。
誰もがクリーンエネルギーに関心を持つ事がまずは大切か。
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スマートグリッドの意味するところを理解するために最適です。世界中の主要プレイヤーも網羅されているようで、各々の戦略も分かりやすく記述されています。
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会社の勉強会で温暖化ガス排出量取引についてやっている延長線で、この本に関心をもった。それと、嫁からの推薦も大きい。
ひとつの大きな市場が生まれるの瞬間の各方面での模索を述べた本。私にとっては、co2の削減が象徴するものを改めて考えさせられた。
co2は直接的には生存を脅かさないと点で、身近な危機感をかんじることが難しい課題ですが、しかし、重要であることは議論の余地がない(今となってはほぼ誰もが同意できる)。しかも、社会の広範な領域に関わる課題。
こういった直接的生命的危機を伴わない環境問題一般に関して、合意が得られた共通の価値指標として用いられつつあるのだな、と。
環境問題の解決度合いは、co2の削減量で計られ、排出量取引でco2価格が決まることで、関節的に経済的価値が計られる。
つまり、単純な経済価値に、co2削減という経済価値を加えて物事の価値を考えられるようになった、ということ。
未来の世代に対する責任を果たした量を具体的な金銭的価値で把握できるようになったのだと思いました。
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リアルタイムプライシングとかユーエネルギーとかカタカナが好きな人だ。
「パラダイムシフト」「メカトーフの法則」とか「プロシューマー」とか引き合いに出して、革命だと叫ぶが、スマートグリッドのありがたみの実態を実感できない。
エコポイントを提唱したひとらしいので発想力は豊富なんだろうけど、なんとなく、イベントプロデューサーみたいな印象。
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世界中あらゆる地域で、地球温暖化防止、エネルギー安全保障の確保、再生可能エネルギーの導入や、ガソリン車から電気自動車への代替えが必要としてスマートグリッド革命の始まりを告げます。
スマートグリッドから我々が享受できることから日本企業の課題、オバマ政権の政策から米国企業の取り組み、欧州、アジアの動きなどまで、スマートグリッドビジネスに乗り遅れないための啓蒙書ですね。
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需要家の電力使用状況を遠隔地から把握できるようになる。
遠隔からの検針の、需給双方の条項をリアルタイムに把握できる。
消費者の参加が必要。
2012年5月、中国の新興自動車メーカー、BYD(比亜迪)のEV(電気自動車)が交通事故で炎上し、3人が死亡するという痛ましいニュースがあった。
EU加盟国の中ではイタリア、スウェーデン、オランダの3か国が電力系の完全デジタル化を行うことを決定している。
スマートグリッドは中国政府の低炭素政策を支えるものとされている。
温家宝は2011-2015年の5か年計画の主要事業としてスマートグリッドを位置付けている。
米中クリーンエネルギー技術に関する共同イニシアティブを発表(2009年11月、オバマと胡錦濤)
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ちょっと理解しきれないところあったけど、スマートグリッドから、電気自動車、IT、技術革新、エネルギーウェブと、幅広く解説&提言。「エネルギーの民主化」という表現がしっくりきた。そのためには政策や法律を整備する必要があるというスタンスかな?
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「スマートグリッド」に関係する技術のトレンド、各国の取組状況を丁寧に調べている。また、技術者や単なる業界ウォッチャー評論家による新技術カタログにとどまらず、産業経営のはっきりした視点から「スマートグリッド」の可能性について論じており、しっかりした内容だとは思う。p84の「スマートグリッドの進化モデル」は良く分かる。
ただ、著者の基本姿勢である分散型電源礼賛には共感しがたい。インターネットと電力ネットワークは、同じネットワークでも、その拠って立つ物理法則が全く別物であり、著者のような文系学者が意気込んで提言する「アナロジー」なるものは部分的ににしかなりたたない。ネット接続者が増加することで全体効用が増加する「メトカーフの法則」は、電力ネットワークでは物理法則の制約によりかなり小さいところに限界がある。
また、現在技術の分散型電源はコスト、信頼性の面で「非常用備蓄」の粋を出ない。エネルギーを発信、分配する困難は、「情報」よりはるかに大きい。
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旬のものなので、早めに読んだ方がよい。それにしても、早く落ちついてエネルギーの議論ができる世の中にならないものか。