投稿元:
レビューを見る
日本に残ったお父やんが、妻の弟であるオジさんの窮地を救う為に、朝鮮戦争中の半島に単身で潜入する物語。
確かに、勇気も行動力もあり、男の中の男といった感じのお父やんなのだけど、いまいち好きになれず、はまれなかった。
第二次大戦後の在日の人々の様子や、朝鮮戦争の成り行きなどは知らなかった事も多く、興味深かった。
投稿元:
レビューを見る
朝鮮戦争のさなか、苦境に立たされている妻の両親と弟を救うため、単身で日本から韓国に渡った「お父やん」。腕力と機転と金で次から次へと襲う苦難を乗り越える姿はかっこいい、たのもしい!けれど、後日談=現在の暮らし、がぼやけた印象になってしまっている。一ヶ月間の決死の救出劇は確かに劇的だったが、その後の何十年の家族たちの怒涛の人生も描いてほしかった。どうにも物足りない。
投稿元:
レビューを見る
良いお父さんでしたし、冒険物語としては面白いけど、あまり…。
善い人がたくさん出てきます。
でも所どころ引っかかりがあって、ハマれなかったです。
過去物語の人物と、その過程があって、現在として出てくる人物の印象が違うなと思いました。
そのせいか、エピローグが取って付けたような感じがして読後感が微妙でした。
投稿元:
レビューを見る
文句なしの五つ星、今年に読んだ本の中では、一番に面白かった。ストーリーの展開が早く、一気に六百頁を読了。主人公が家族との再会を目指して必死に朝鮮半島を駆け回り、目的を果たす展開に、リアリティーがあった。ついでに朝鮮戦争に詳しくなった。著者の父親と叔父の実話とのこと。これからしばらくは、伊集院静にはまろう。
投稿元:
レビューを見る
朝鮮戦争あたりを中心に展開する物語。在日朝鮮人の哀しみが、淡々とした語りの中に浮かび上がる。宗次郎が悟郎を助けるため単身韓国に渡り奮闘するのには、本当に頭が下がる思いだった。
投稿元:
レビューを見る
『生きることの苦しみと誇り、家族について考える。』
週刊ポスト男前コラムの集大成
ベストセラー『大人の流儀』でご存知、
伊集院静氏の自伝的小説
大満足の一冊でした。
生きることの難しさや苦しみを考えながら
同時に、生きてこれたこと
そしてこれからも生きていけることを
心からありがたく感じる
読中はそんな感情に満たされていました。
生きていくことは苦しくそして何より誇らしいことだと思えます。
特別で最高の一冊です。
投稿元:
レビューを見る
伊集院氏は、韓国系日本人2世として山口県に生まれた。
本書に舞台も山口の田舎街。
本書と彼の生い立ちは否応でも重なる。
小説の中の”ボク”とは伊集院氏自身であり、”お父やん”とは彼の父親だ。
”お父やん”は凄い。
こんな男、本当にいるの?ってくらい凄い。
在日韓国人として、言葉もままならない日本に単身で渡ってきて一角の事業家として成功し、のみならず朝鮮戦争の最中に戦地に取り残さ苦境にある妻の家族を救出するために、朝鮮半島に乗り込んでいくのだ。
”ボク"の母親=高山要子もまた在日韓国人だった。両親とともに日本で暮らしていたが、終戦後一家は嫁にいった要子だけを残し、半島に帰国する。夫、高山宗次郎(ボクのお父やん)が日本に残ることを選んだからだった。
その後朝鮮戦争が始まり、要子の弟 吾郎は戦況に巻き込まれて立場を危うくし、過酷な潜伏生活を強いられていた。
それを知った要子は、泣き崩れ、夫に弟の救出を懇願する。
ひとつ間違えれば命はない。けれども宗次郎は「何とかしてみよう。お前の親はわしの親だ。お前の弟はわしの弟だからな」そういって半島へ向かう。。。
驚くべきことにこの物語は実話だという。"ボク"がこの話を聞いたのはお父やん(=宗次郎)の番頭さんであるシミゲンさん(=清水権三)だが、おそらくこのシミゲンさんも実在の人物なのだろう。
改造船で海を渡り、半島をさまよう”お父やん”の逃避行はそこいらの冒険小説など目ではないくらいの迫力とリアリティがある。
"お父やん"はこの時、35歳。
仕事で成功し生活は豊かで、妻のお腹には4人目の子供がいた。全く今の時代、どこにこんな状況で危険の最中に飛び込んでいける男がいるのだろうか。
伊集院静はこういう父親の血をひいているのだと妙に納得する。
男の生き方、人生とは何なのか、著者はそう問いかける。
今の"個"の時代、これはガツンとくる。
http://spenth.blog111.fc2.com/blog-entry-110.htmlより
投稿元:
レビューを見る
はじめ、このお父やんはろくでなしかと思いきや、実はかなりの超人でした。肉体的にも精神的にも強く、家族のために生きる人という感じ。しかし、冒頭部にあるように娘や息子たちはそのことを知らず、父に対して反抗的になってしまう。もしも父親の歴史を知っていたなら、家を出ることについていろいろと考えたはずだと思う。しかし、そのことが悪いというわけではないし、むしろ自然なことだよなぁとも思う。自分の父親や母親、祖父母は一番身近な存在とはいえ、結局は老いたあとのことしか実際には知りえない。世代が変わる、ということはそういう一面があるということを改めて思わされました。
投稿元:
レビューを見る
お父やんの力強い生き方に、心の底から湧き出るような勇気をもらった。自分も、こんな風に、周りの人に優しくできる人間になりたいと思った。
投稿元:
レビューを見る
ページを繰る手が止まらない、本を閉じるのが惜しい、早く続きが読みたい。久しぶりにこんなふうに思う本に出会えた。戦争はいつの時代も、どこででも悲惨だ。ましてや異国の地で祖国の戦争を心配するのは如何ばかりか。そんな祖国に身内を助けに1人で乗り込んでいったお父やん。タフで男気があって一本気なお父やん。そんなお父やんと、みんなのある意味「戦記」だ。この作品を書くために僕は作家になった。と帯にある。作者の思い入れが伝わる。
投稿元:
レビューを見る
家族を救うために単身戦場をひた走る男。作者の父親をモデルにしたこの小説は、半島事情がきな臭い今、ぜひ読んでおきたい小説のひとつです。
作者の伊集院静さんが自分の父親のことを描くのはこれから近いうちに紹介する『海峡』三部作以来なのですが、書いた本人が
『これは面白い。だけど本人が面白いといったものはあんまり面白くない。』
というようなことをおっしゃっておりましたが。この小説。ものすごい分厚いです。最初にこれを見たときには正直読めるんかな、とさえ思いましたが。そんなことは一切気にならずに、一気に読み終えてしまいました。
物語は戦争末期から高度経済成長の直前あたりで。伊集院さんの父親がモデルである高山宗次郎が朝鮮戦争で真っ二つになった半島を部隊に妻の要子のたっての頼みで彼女の弟とその家族を救いに戦場にただ一人向かっていくものです。こういってしまうとそれまでなのですが。宗次郎たちが日本にやってきた経緯や妻の要子との出会い。事業の拡大の箇所を見ると、一人男ののたどった人生が見えてなるほどな、とうならせました。
中盤から後半は宗次郎が戦場となった朝鮮半島での描写になるのですが。これがまた悲惨でしてね。同じ民族が殺しあうというのはむごいことだと思わずにはいられませんでした。結末は読んでいただくとして、今、また半島で火種がくすぶり始めておりますので、彼らの今後の行く末を見守っていくためにも、この本はひとつの道しるべになってくれるのではないのでしょうか?
投稿元:
レビューを見る
作者の父親がモデル(お父やん)。日本が終戦を迎え、朝鮮の人達は祖国に戻るか日本に残るか選択が分かれた。作者家族(お父やん)は日本に残る事を選択したが、母親の父母と弟は朝鮮へ帰って行き、朝鮮では祖国を分断する戦争へ・・・。
その朝鮮へ、義父母&義弟を助けに単身乗り込んだ父。
作者は父親の事を『乱暴で粗暴なだけ』と思っていたが、激動の時代に家族のため、命をかけて戦った父親の姿を知り、父親への思いが変わって行く。
家族のために、自分のすべてを捨てる覚悟が出来るか・・・。そんな事を考えさせられた。
また、親の思いや親の本当の姿は、子供には伝わらないものなのかも。子供自身が成長し理解していくのだろう。自分自身も、少しずつ、親の事が理解できてきたような気がする。
投稿元:
レビューを見る
朝鮮戦争前後の時代、在日の人達の大変な苦労や苦悩の日々が描かれていて、今までにない新鮮さがあった。宗次郎が家族の為に力強く生きていく姿が感動的。ページをめくる手が止められなかった。
投稿元:
レビューを見る
感動の大作だった。素晴らしいな、ページの多さを感じさせない、スピード感があって、一気に読み終えてしまった。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに感動、感激した。
昨日、北朝鮮が韓国の島に砲撃し死者が4人もでる
騒ぎが起きているのでなお更この本の凄さがわかる。 朝鮮戦争時からの南北の憎みあいは残虐な一般人の殺戮から今もって続いているのだろう。
この動乱の時に自分の仕事をなげうってカミさんの
弟や両親を救いに行くなんて、ただの家族愛だけではないだろう。
強い精神力、強靭な体力、状況を見極める判断力、そして切り札になる財力。
家族の待つ三田尻港に着くシーンには涙が止まらなかった。