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日記だからひとりの人の話のはずですが
なんだか複数の人にも思える
どんどん読めば
職業や家族関係が見えて来ます
趣味思考なども
源一郎サンのツイッターで
これ、上手すぎるんですけど…
…書評者が困るような仕掛けがしてあって、小川さん、意地悪だ!
と書いてありましたが
これはどういう意味だったのかな
職業があらすじをまとめること
原作よりすばらしいあらすじを書き
筆が進まない老作家のうちにおよばれして
老作家を前に
あらすじを読み聞かせ
本人を感動させた日があったから
源一郎サンに主人公の能力を超えた
書評が書けるのか!との挑戦と
受け取ったのかな
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最初から、「苔」の話にはやられたと思ってしまった。その後最後のページまで、この世界にしっかりとはまり続けた。
人間とは、かくも不思議に可笑しく、また、奇妙で愛すべきものなのか。
拡大されてシャーレの中で息づく苔、百葉箱をつかむ主人公、つけ爪の中のやごの羽化の繊細で妖美な様・・・
それぞれが、ため息と共にリアルに目の前に表出する驚き。
ここへ来てとうとうこの著者が、好きな作家の一人になってしまったようだ。
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「あらすじ」の名人にして、自分の原稿は遅々としてすすまない作家の私。苔むす宿での奇妙な体験、盗作のニュースにこころ騒ぎ、子泣き相撲や小学校の運動会に出かけていって幼子たちの肢体に見入る…。とある女性作家の日記からこぼれ落ちる人間の営みの美しさと哀しさ。平凡な日常の記録だったはずなのに、途中から異世界の扉が開いて…。お待ちかね小川洋子ワールド。
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全篇に渡り、至るところ隅々まで小川洋子が敷き詰められている。それはまさに光の届かぬ森の奥のしんと湿った冷たい場所に人知れず増えつづける苔のようである。著者の紡ぎ出す物語はどうしてこうも、匂いや手触りまでありありと感じさせるのだろう。自在に大きさを変えて小川洋子ワールドに潜りこんだような読書タイムである。ページを閉じても現実に戻るのに一瞬の間が生じる一冊である。
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苔を食べたり、関係のない小学校の運動会を毎年見学に行ったり。
それなのに、自身の原稿は遅々として進まない。
「あらすじ」を作るのはうまいというのに…
日記風の不思議な世界が醸し出される小説でした。
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相変わらずの小川ワールドですが、本作はあまり入り込めなかったなぁ。
しかし盆栽フェスティバルの文言にはぷっと笑ってしまいました。
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読み終えてしばし陶然とする。
売れない作家が原稿を書いたり捨てたりしながら日々の生活を綴った体裁だが、そこは小川洋子、内容はどこをとっても非日常的なフシギを織り交ぜた掌編になっている。
オススメします。
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緻密な描写がときには生々しく、優しい毒のように読み手を夢中にさせる。日記の形式をとりながらひとつの小説になっているところも面白い。
人間を見つめる目、「生」ということを強く感じるし、そこにうみだされる恐怖や悲哀も痛切に心をえぐる。
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苔、あらすじ教室。
不思議な世界。
臆病なあたしは怖くなって、途中でやめたくて、でも先が気になってやめられなくて。
表紙のお皿、すてきだな。
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これは日記だ。小説なのだが、日記だ。原稿が書けずに、日々の暮らしの中で右往左往している作家の日記だ。
いろいろなエピソードが書かれていて、何か共通するものを見つけようと頑張ったが見つけられたのは、同じ人物が書いた日記だということだけ。
様々な「荒らし」にしろ、苔料理専門店にしろ、盆栽フェスティバルにしろ、現代アートツアーにしろ、母親のくだりにしろ、そこから見つけられるのは、困惑とともに日々を過ごす作家の姿だけだ。これは小川洋子さん自身ではないのか?と思えてしまうのは私だけではないと思う。
小川洋子さんの独特の世界観には、うまく浸れるときとそうでないときがある。今回は「そうでないとき」だったかも。
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どうして小川洋子さんの作品て、いけないものを息をひそめて覗いているような感覚に陥るのかしらん?と思っていました。この作品はそれがよりぐっと全面に出てしまってますね。細部まで描き込むと現実と虚像がないまぜになるのでしょうか...
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日記的な感じ。
奇妙な話が多くてどこか別の世界へ迷い込んでしまったような気分に。
苔料理だなんて美味しいのだろうか?
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日常的な日記がいつのまにか非日常の不思議世界へと交錯する小川ワールド。
小川さんにかかると石ころのような出来事が宝石のように輝きだします。これはもう凄いとしかいいようがないですね。
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不思議な小説。途中、?と正直意味が解らなかったのですが、文章に惹き付けられて読了。生と死、そして日常。そんな言葉がうまくまとめられない形で頭の中で漂っています。
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(2010.10.11読了)(2010.10.06借入)
小川さんの新作の小説です。「猫を抱いて象と泳ぐ」が出版されてから一年半になります。まだ読んでない小説も結構積んであるので、このくらいのペースで出してくれるといいかなと思います。
小説家の女性が、日記を書いているという体裁で書かれた小説です。一日の日記の終わりに、(原稿零枚)、(原稿三枚)、(原稿五枚)、等その日に何枚の原稿が書けたかが記してあります。原稿零枚の日が多いので、この作家は、ちゃんと暮らしていけるのだろうかと心配になりますが、余計なお世話かもしれません。
日記に書いてあることは、いかにもありそうなことを書いていていそうで、実は有り得ないことだったりするので、実に上手に、お話の世界に連れて行ってくれます。「薬指の標本」などで、発揮されていた小川さんらしさが、充分に発揮されています。
温泉旅館に行って、散歩に出たら、「苔料理専門店」があったので、ルーペで苔の様子を確認しながら苔料理を食べた話。
近隣の保育園、小学校、幼稚園の運動会を父兄に紛れ込んで見物する話。
公民館で不定期に開講している『あらすじ教室』の講師を務める話。
子泣き相撲を見学する話。
野外アートを観賞するツアーに参加したら、最初6人だった参加者が一人ずつ脱落して、帰る頃には二人だけになってしまった話。(『そして誰もいなくなった』?)
短編集を読んだ感じですが、語り手が同じだし、前の話で出てきた小道具が後で使われたりなので、連作短編集と言ったところでしょうか。
結構楽しめました。小川さんのファン必読です。
●特別な紅茶葉(68頁)
駅前ショッピングモールの中にある専門店で、一番高級な葉を20グラムだけ買うのだ。その店では茶葉に、“天女の羽音” “阿古屋街の涙” “箒星の残り香”などと独自の名前が付けられており、私の求める最高級の缶には“蓑虫の寝汗”と書かれたラベルが貼ってある。
●あらすじ係(82頁)
それまであらゆる賃仕事に携わり、ひたすら恥をかいて自己嫌悪に陥るばかりだったのに比べ、あらすじ係は締め切りさえ守れば、手先が不器用でも計算が苦手でも赤面症でもやっていけた。脳無し呼ばわりされることもなかったし、誰かにお世辞を言ってぺこぺこ頭を下げる必要もなかった。
小説のためのネタ探しをして、アイデアを書きためたけど、うまく長編小説に仕立てることのできなかった断片をうまく利用して、日記と言う体裁にすることによって一冊にすることができた、と言ったところでしょうか。
☆小川洋子の本(既読)
「シュガータイム」小川洋子著、中央公論社、1991.02.25
「妊娠カレンダー」小川洋子著、文春文庫、1994.02.10
「薬指の標本」小川洋子著、新潮社、1994.10.30
「博士の愛した数式」小川洋子著、新潮社、2003.08.30
「偶然の祝福」小川洋子著、角川文庫、2004.01.25
「ブラフマンの埋葬」小川洋子著、講談社、2004.04.15
「まぶた」小川洋子著、新潮文庫、2004.11.01
「世にも美しい数学入門」藤原正彦・小川洋子著、ちくまプリマー新書、2005.04.10
「ミーナの行進」小川洋子著、中央公論新社、2006.04.25
「海」小川洋���著、新潮社、2006.10.30
「物語の役割」小川洋子著、ちくまプリマー新書、2007.02.10
「夜明けの縁をさ迷う人々」小川洋子著、角川書店、2007.08.31
「生きるとは、自分の物語をつくること」河合隼雄・小川洋子著、新潮社、2008.08.30
「猫を抱いて象と泳ぐ」小川洋子著、文芸春秋、2009.01.10
「小川洋子の偏愛短篇箱」小川洋子編著、河出書房新社、2009.03.30
「カラーひよことコーヒー豆」小川洋子著、小学館、2009.12.01
「原稿零枚日記」小川洋子著、集英社、2010.08.10
(2010年10月12日・記)
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これは・・・・・非常に難しい。なんていっていいのかよくわからない・・・・エッセイ・・なわけないよな。
ある原稿が進まない女性作家の日常風景・・・なんですが、現実のことなのかファンタジーな世界のことなのか・・・まるで「もや」がかかったようなそんな世界。
読んでいたらいつしか自分の頭の中にもおなじ「もや」が。これか?!これを楽しむ小説なのか?!と読み終わったからはたと気付いてみたり。違う?w
自分のよく知る日常と「半身だけ」ずらしたそんな感じ。とても不思議・・・・・