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クルト・ヴァランダーを主人公にした警察小説シリーズ6作目に
あたる本書の事件の幕開けも牧歌的なイメージ色濃い
スウェーデンには到底似つかわしくない残忍な犯行現場。
父とのローマ2人旅の余韻にゆっくり浸る間もないまま
連続殺人事件解決に挑んでゆく。
このシリーズは主人公のキャラクターの魅力に惹かれ、読後事件の
内容は忘れても、家族との会話、同僚や上司、友人刑事たちとの
エピソードが不思議と記憶に残る。
今回も事件解決に忙しい最中、わざわざ遠距離恋愛中の恋人
バイパに電話してもめたり、そうかと思うと2人で暮らすための
新居や飼犬を探してまわるマメでカワイイ中年男の一面も
垣間見れる。またしても次作の翻訳が待ち遠しいのである。
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これでもかと言わんばかりに増えていく謎、伏線。掴めそうで掴めない事件像がなんとももどかしい。主人公ヴァランダーの言葉を借りれば『いくつかバラバラの糸口が見えるが、一つとしてはっきりとした手がかりはない。まったくお手上げだ』という状態で上巻は終わる。これだけ広げた謎をどんな風にたたむのか下巻に期待。
このシリーズは初体験で、加えて冒頭から次次に場面が変わるので始めこそとっつきにくかったものの、キャラクターを把握してしまうと、むしろとても読みやすいミステリだった。
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北欧の小さな町が舞台のお話。登場人物の名前が「ホルゲ」とか「ニーベリ」とかで異国感満点。センテンスが短く(警察官らしい感じ)読みやすい。店主が旅行中の花屋への不法侵入。鳥の詩を書く元自動車販売業者は残忍な方法で殺される。一見無関係の事件が繋がっていく・・・。これから読む下巻が楽しみ。
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上巻後半から、最後まで一気読み。怒涛の展開。
スウェーデン語の地名に戸惑う。
わざとかもしれないが、日本語訳が硬くて、違和感を感じる。
特に会話文。
主人公ヴァランダーのキャラクターが、自分のなかではいまいち浮かび上がってきていない。
困るのは、前作を読んでいないのに、犯人について語ること。一言二言なんだけど、読む前にわかっちゃうじゃん!!順番に読まなきゃだめなのかー。
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スウェーデンの警察物。
クルト・ヴァランダーが主人公のシリーズ、6作目。
スウェーデン南端のイースタという町はそれほど大きくはないのだが、交通の要衝に当たっているために犯罪は少なくない。
クルトは、父とローマ旅行に行って帰ってきた所。
父は気むずかしく、痴呆が時折出てもいたのであまり上手くいっていなかったが、旅行先では楽しく過ごすことが出来た。
父は長年ほとんど同じ絵を描き続けてきた画家で、イタリアに行くのは生涯の夢だったらしい。
その旅行に同行できた幸せを感じる。
帰国後、妙な事件が相次ぐ。
元自動車販売会社経営の老人エリクソンが行方不明になり、様子を見に行ったヴァランダーは、敷地内の壕に落ちて串刺しになっているのを発見。
周到に用意された犯罪の残酷さに、一斉捜査にかかったメンバーは青ざめる。
花屋の老人ルーンフェルトが海外旅行に行くはずが行っていないという事件も。
一見、孤独がちで無害な彼らには、裏の顔が…
犯人の側からの描写も入るので、大体犯人像はわかっているが、詳細はむろんわからない。
連続殺人のきっかけは、思いがけない。アルジェリアで外国人女性が襲われた事件にあった…
前半は、恐るべき犯人が警察の前に立ちはだかるという印象。
連続殺人でもサイコパスというわけではない、知性と狂気を併せ持つ犯人。意志が強く計画的で、ある意味、軍人のよう?
後半、犯人に迫っていく様子がスリリングに描かれます。
父の死、その前後の家族の気持ちややりとりも。
娘のリンダは独り立ちしていて、なかなか連絡もくれない。クルトは恋人のバイバと結婚を考えているが、両親の離婚を見ていた娘には結婚に向いていない人間と批判される。
バイバになかなか連絡ができず、結婚したい気持ちになっているにしては、仕事優先過ぎ?おいおい、どっちなのよっていう。
感情的で、のめり込みタイプな名物刑事なのよね。
警官仲間とは上手くいっている様子。
シリーズ1作目で妻に出て行かれたものの、諦めきれないでいたみっともなさよりは少しは進歩しているのかな?
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ヴァランダー・シリーズです。今回は、アフリカで過去に起きた事件と、スウェーデンでの連続殺人事件との関連を探るという内容になっています。いつもながら、ドキドキさせられる展開で面白かったです。
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三年ぶりの新作。
プロローグで明かされる“五番目の女”。なるほどそういう話なのかと了解するも、コトはそう単純ではないことを早々に思い知らされる。
捜査に忙殺されるヴァランダー。父を亡くした喪失感、手掛かりゼロの焦燥感、その合間に将来のプランを空想しては、新たな被害者の出現に絶望を感じてひたすら沈み込む。このヒロイックとは縁遠い主人公に、シリーズ特有の頑固さや堅実さがよく表れていると思う。脇を固める捜査官たちも等身大で人間臭い。プロフェッショナルのいない小さなチームだが、役割分担に長け実に手際が良い。「少数でこれだけ機能している捜査陣とは一緒に働いたことがない」とは、応援に来た捜査員の台詞。
突破口はおろか手掛かりさえ掴めない難関な事件は、バラバラの点が線につながるのか予測も出来ない。ゼロの地点から、集まった少ない手掛かりに対し、角度を変え想像力を働かせ事件の骨格を見出そうとする。そこに偶然の証拠や証人は存在しない。寝る時間を削って歩き聞き、信念と執念を持って追いつめたチームワークの勝利である。そして冒頭のタイトルの意味に帰結する。これこそまさに警察小説の真髄。
読後は余韻が後を引き、じわじわと感情の奥底に沁みこんでくる。いいミステリとはそういうもの。特にこのシリーズは考えさせられることが多い。国や地域の抱える問題が常にストーリーとリンクしているので、北欧ミステリはただの謎解きでは終わらない。エンタメ性に傾斜することもなく、真摯で奥が深く、そして仄暗い。捜査の終焉にある種の脱力を感じながら、一方でどことなく身を引き締めてくれる、私にとっては唯一無二のシリーズなのである。
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スウェーデンの警察小説といえば、これ。ヘニング・マンケルのクルト・ヴァランダー刑事シリーズ、3年ぶりに第六作が登場です。父とのローマ旅行を終え、仕事に戻ったヴァランダーを待っていたのは、無人だった花屋の侵入事件と一人暮らしの老人の失踪事件。やがて老人は惨殺されていたことが分かる。さらに、旅行中ということだった花屋の主人も・・・。二つの事件に接点はあるのか。ヴァランダーたちの捜査は思うように進まない。続きは下巻で。
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刑事ヴァランダー第6シリーズ。今回は父との楽しいイタリア旅行から帰ったところへ、事件が発生。花屋の失踪、槍で刺されるという残虐な殺人事件とは関係があるのか?という話です。
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前回に引き続き、連続殺人物なので、
似ている感はいなめない。
でも、まあミステリーっぽい作品であることも
前作同様なので、許せる範囲か。
ただ、傭兵とかテロリストとかを持ち出したのが、
面白い展開に結びついていないというか、
功を奏していない気がする。
(下巻に続く)
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ヴァランダーシリーズの6冊目。
残酷な串刺し殺人事件と監禁の末、衰弱した後の殺人事件。この二つの事件のわずかな共通点から同一犯との推測を固めるヴァランダー。個々として謎がつながらなくなってゆく。
これまで確執を深めていた父親の突然の死を迎えながらも事件解決のため文字通り東奔西走。
娘リンダとの心が通じ合いそうなシーンで「上」のエンド。スエーデンという国の持つ寂しさ、厳しさに気づかされる。
風景はあんなにも凛として美しいのに。
「下」は明日にならなくては届かない。一緒に買えなかったのが残念でしょうがない。
最後の行
『これからどうやって生きていったらいいんだ?』
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スウェーデン版怨み屋本舗の気配が…何かヴァランダーもののスウェーデンっていつも天気が悪いようなイメージがある。
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6作目。
作品としてのまとまりがあり、登場人物たちになじみもあって入り込みやすい。
シリーズ物はこーでなくちゃ。
タイトルや承前が内容とどうからむのかなかなかわからなかったり、
読者の心をつかむ術が巧み。
犯罪内容と謎解きが古めかしいのは仕方ない。
あとがきを読んで本シリーズは10作で終わっていることを知った。
あとちょっとか。。。
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ヴァランダーシリーズ第六弾。
あらすじ
父親とのローマ旅行から帰ってきたヴァランダー。帰宅してすぐに、まず花屋に家宅侵入。何事もなし。続いて、地元の有名人でもと社長の老人が残忍な方法で殺害される。さらに花屋の店主も旅行には行っておらず、その後死体で発見される。二人の殺害方法に共通するものを感じ、ヴァランダーたちは捜査を進める。元社長の金庫には、アフリカの国で、傭兵として雇われた男の日記があった。そんな時。ヴァランダーの父親が病気で亡くなった。
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ヴァランダーシリーズ、6作め。
この作品も、単なる刑事物ではない。物語の、残虐性だけでなく、そこには、弱者を、悼む必然性が、生む複雑で、混沌とした復讐が、あって哀しみがある。ヴァランダーや、周辺の人々の、関わりが楽しみのシリーズ