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紙の本

沖縄から憲法の理性を問う

2010/11/03 11:23

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:24wacky - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書の帯にはこう書かれている。「いま沖縄の怒りが臨界にあるなかで、〈憲法から沖縄を〉〈沖縄から憲法を〉問い直す作業を通じて、沖縄がかかえている諸問題の実像に迫る」。沖縄に住む者として、いささか徒労感を覚えるコピーである。なぜかといえば〈憲法〉と〈沖縄〉ほど、〈理想〉と〈現実〉の矛盾を感じざるを得ない問題設定であることが、生肌を裂く感覚としてあるからだ。

それはいみじくも井端正幸が書く第1章「総論」に現れている。井畑は冒頭でのそもそも論として、近代市民革命の理論的支柱といわれるジョン・ロックの思想――人間は国家・社会が形成される以前の「自然状態」において、自由・平等であり、この自然権をよりよく保全するために、個人はその権利を政府に信託し、その契約によって市民社会と国家を形成するーーを紹介している。そこには理性への全幅の信頼がある。

しかしその後半になると、日本には2つの法体系が存在すると指摘する。日本国憲法の他に、日米安全保障条約という法体系が。それを頂点として、その下に日米地位協定や民事特別法、刑事特別法など多数の特別法が存在する。問題は、後者が前者を侵食し続けているという歴史的事実であり、その被害を圧倒的に被り続けているのが沖縄であることはいうまでもない。

続く第2章「沖縄と基地(1)」で沖縄の弁護士新垣勉は、日米地位協定がそもそも「法の支配」を拒絶する基本的構造を有していると指摘している。新垣によれば「日米地位協定は1960年代の法思想である『絶対主権免除法理』(外国=派遣国の軍隊には日本=接受国の司法権・行政権は及ばないとの法思想)に基づいて作成されている」という。この時代遅れの法理はその後、人権思想の発展に伴い衰退し、時代の潮流は制限主権免除主義(派遣国の主権は接受国により一定の制限を受ける)に移行した。

さて、ここで〈沖縄から憲法を〉問い直すとき、はたしてロックの理論に依拠して答えは出るだろうかという大きな疑問が湧く。ロックの理論はあくまで理性に基づいた法体系を前提としている。その理性通りにいかないのが日米安保条約下に置かれた沖縄の現状ではないのか。他方では、いわばロックの抵抗権を根拠として、沖縄は栄光の抵抗運動を現在まで繰り広げてきたのも見逃すべきではないが。抵抗権はロックの理論に依拠しているがゆえに、非理性の侵略に打ち勝つことが途方も無く難しい。

新垣のいうとおり、確かに時代は制限主権免除主義であり、日本(沖縄)もそうなれば不平等は改善されるだろう。しかしながら、そこに派遣国と接受国の関係が残ることを看過すべきではない。そのことが意味するのは、国家というのは暴力装置であるということと、国家は他の国家に対して存在するという本質だ。

その本質をみるために、契約とは権利の相互譲渡であるというホッブスの契約論(『リヴァイアサン』)をみるべきではないか。それは、一言でいえば、暴力によって強制された契約である。通常、そんなものは契約だとみなされないと思われがちだが、ホッブスによればそれも契約だ。ホッブスはいう。いかなる国家であろうと、その根底には「恐怖に強要された契約」があると。

まずはホッブスの怜悧な契約論から国家の本質をみること。沖縄の不平等が多少でも軽減されることは喫緊で正当に要求すべきであるが、私の関心は国家自体の揚棄にある。


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2014/06/29 17:46

投稿元:ブクログ

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