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とにかく素晴らしい。
中村文則の作品はどれも好きだけれど、今のところ今作がベスト。
これから何度も読み返すことになるだろう。
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いやぁ,主人公の語り口調が読んでて暗く沈鬱なのでなんどか気がめいりました。この人の本は皆こんな感じなのだろうか・・・。
少年期の体験に大きく影響を受けて,その後の生活にも大きく影を落としていく・・という話が主人公と友人との関係を中心に主人公のせい遍歴をたどる形で語られていくのですが,いやぁ,まぁ,主人公は精神治療の経験もあるという設定だからか,主人公の思考回路はぐるぐるぐるぐる巡ります。それを読まされているうちにこちらの気分もぐるぐる目が回ってきます。
ストーリーそのものは,背徳的といえばそうも言えるかもしれませんが,まぁそれほどまではなく,幼児体験を引きずった青年の話ということですね。
深刻な語り口調がすきだという人にはいいのかもしれませんが,ロシア文学のような重たさは,わたしは余り好きではありませんでした。。。。
推理小説的要素もあるけど,ここでは一般小説としています。
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最後に会ってから七年。ある事件がきっかけで疎遠になっていた幼馴染みの冴木。彼から「お前に会っておきたい」と唐突に連絡が入った。しかしその直後、私の部屋で一人の女が死んでいるのが発見される。疑われる私。部屋から検出される指紋。それは「指名手配中の容疑者」である。冴木のものだと告げられ―。
これぞ中村文則!って感じの作品だった。すごく鬱々とした部分もあり、粘り気のある文章と描写がすごく好みです。
中村さんの本を読んでいると、途中で喉がムカムカしてくる…。それでも好き、なのか…だから好き、なのか。
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重くて暗くてしんどい。鳥肌を立てながら
切羽詰まるような気持ちいっぱいで、
でも読まずにはいられない不思議な吸引力があった。
語り口調のせいなのだろうか。
ラストは意外な結末。
主人公と彼の親友の過去のことだけに引っ張られて、
ただのパーツとしてしか認識していなかったので、
単純に驚いた。
これはもっと他の作品を一通り読んでから、再読したい。
子宮を持つ女としては、
どうしても読んでると気分が悪くなる描写があるのだが。
それでも根幹に流れるテーマは、一言では言い表せない
深くずんとのしかかる重さを持って響いた。
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小学生のとき偶然見てしまった浮浪者のレイプ事件。少年二人の人生はそれから暗い闇を背負う。
人間の因果は、一つ道を誤ると酷すぎる試練を与える。二人とも結局は立ち直ることなく、悲しい結末を迎える。
初めて読んだ中村文則作品だが、心に深く重く楔を打ち込まれた。
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2011年最後に読んだ作品
今まで読んだ著者の作品の中ではめずらしく、ラストが仄かに明るかったのが印象に残った。
でもやっぱり、話の途中はしんどくて、胸が重たくなりましたが・・・。
本当に好きな作家だし、1作1作、人生をかけて書いているというのがすごく伝わってくるし、今後も読み続けよう、人にも薦めてみよう。
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幼少期の家庭環境や経験から性癖が歪んでいく二人の苦悩。
が、最後は事件の謎を紐解いていくミステリーみたいな展開。
読んでてすげー疲れるし、
あとがきで中村さんが「書きたかった」っていうのは、「吐き出したかった」んだろうな、何かを。
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http://john615hkt.blog.fc2.com/blog-entry-43.html
先日木曜日11時15分からテレビ朝日系列で放送されているアメトーークの「読書芸人」でピースの又吉さんが好きな作家と言っていた中村文則さんの一冊。この本は読書芸人が放送される1週間前に購入したのですが、本屋で読んだことのない作家の本を買おうということで、裏表紙のあらすじを読みながら面白そうなやつをチョイス。偶然ってあるものだと思った。
新潮新人賞、野間文芸新人賞、大江健三郎賞に加えて芥川賞まで受賞している作家を知らなかったとは恥ずかしい。しかし直木賞や芥川賞を受賞してもそれ以降ぱったりという人もいるから作家という職業は厳しいのだろう。一般的に作家としてすぐ名前にあがる人以外にもたくさん素晴らしい作家はいる。もっと本を読まねば…。
最後に会ってから七年。ある事件がきっかけで疎遠になっていた幼馴染みの冴木。彼から「お前に会っておきたい」と唐突に連絡が入った。しかしその直後、私の部屋で一人の女が死んでいるのが発見される。疑われる私。部屋から検出される諮問それは「指名手配中の容疑者」である、冴木のものだと告げられ―――。
裏表紙より引用
なかなか深い一冊だと感じた。裏表紙を読むかぎり冴木が殺したのか、それとも別の犯人なのかが焦点となる推理小説を思わせるが違う。“私”の部屋で見つかった女の真犯人なんかがこの本のテーマではない。
テーマは「性」だと私は考える。“ある事件”を私と冴木は経験するが、その事件が若い二人に与えた性的な恐怖は想像を絶する。その事件をきっかけに、一人は異常な性癖に目覚める、もう一人は異常な性癖を認めたくないために性欲を抑え込む。性的な葛藤で自己を追いこんでいる様子がとてもリアルだった。
読んでいて楽しい小説ではないかもしれないが、読み進めていきたくなる本。彼の別の作品も読んでみたい。
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『何だかね、薄々見えてくるんだよ。年を取るってことが。自分の身体に皺を作りながら、決められた役割をやっていくっていうか』
『お前は、善人でいたいだけだろう? それくらいの悪ができなくて、何がしたいんだよ』
『自分と一緒にいない時の、あなたを見るのが好きだと言った。「それが、本当のあなたのような気がする。あたしは、本当のあなたを見るんだよ」』
『この四十万は、私の全財産だった。これがなくなる頃、私と冴木には、何かしら決断が下っているのだろうと思った。そしてその時、私がこの世界でやるべきことは、全て終わるような気もした。』
『そして、自分は射精と共に、力尽きて死ぬような気がした。幸福だと思った。射精した時、自分の全部が、精液になって出て行く気がした。というか、俺が抜け殻になって、俺は精液になって女の中に入っていくみたいな、そういう気持ちにもなった。』
『遠くから見れば ー 遠くから見れば、きっとわたし達は、何だか幸せに見えるよ』
『俺は、これから色々なことを、考えることにしたよ。誰のためとか、わからないんだけど。冴木のためかもしれないし、君のためかもしれないし、自分のためかもしれないけど、考えることにしたよ。腹が、立つからね。…何かを呪っても、何だか負けのような気がするし…もう翻訳はやめだ』
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中村作品4作目。完読。
偶然観た親の営み、浮浪者のレイプ事件に精神状態がくずれてしまった若者の性の葛藤と生。ミステリーの手法をとりながら、考えさせる物語だった。
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「人はどう生きるか」「罪とは何か」といったことを主題として、推理小説のようにスリル溢れるストーリーが展開されていく本作品。はまりました。辻仁成のほんと初期の頃の作品に似てる気がする。また、好きな作家が増えてしまった。
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今まで読んだ中村文則の中で一番中村色が濃かった。
物語と言うより、心境や考えの表現が主で、主人公たちが闇に侵され破滅していくことに苦しむが、決してその闇が嫌なわけではないという矛盾との苦悩が描かれている。
ってゆー感じで内容は重めですが、その中にも「命」や「生きる大切さ」がしっかり捉えることができる作品。
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男二人が幼い時共に性犯罪を目撃します。それがきっかけで罪悪感と得体の知れない性衝動を抱え続け孤独な世界を生きていくことを強いられます。青年へと成長した二人が後に再会した時二つの閉じていた世界が変わり始めるのですが、、、、。
幼少期に抱えた罪悪感は逃れようとすればするほど何か別の凶暴なものへ姿を変えてしまう。その前に罪悪感を二人が共有していれば良かったのだと言うのは無責任で、結局どうもできなかったのだという結果を受け入れざるを得ない。幼少期のトラウマが人生を狂わす話は、常にやりきれない思いが漂います。
ただ、一人の命が失われたもののそれをきっかけにもう一人はまるで生まれ変わったように閉じていた世界を開いていく、他者の死は残された者のトラウマを覆すことができる唯一のものだったのかもしれない、とすれば救われた思いがします。
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結局、犯人は冴木じゃないのか?
真相がわからないまま終わってしまった。
性犯罪と、性と生について考えさせられた。
女のホームレスなんて実際に見たことはないけど、確かにこの世界には、この話と同じようなレイプの被害者がいるんだということ。それがとても痛い。
殺されたエリコに関しては、犯人がどちらか決定に欠けるので、なんとも言えないが、冴木じゃないとしたら、冴木はなんの為に逃げ続けたのか。
今後、主人公はどうやって生きるのか。
その判断を読み手に任せる中村さんは凄いな。
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"レイプの最高刑は懲役"強姦という事案に関与した事がないため、現実味が無いように感じた。
思春期時に性犯罪に関わる事は、今後の人生にどう影響するのか?"重い"と思えばそれで終了だけれど、正義が生まれる狭間と思えば希望が持てる内容だと感じた。
CHICHI KATSUKIさんのカバーデザインも素敵です。