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なんていうか、ものすごいヤンデレな上に救いがなくて、ものすごく好きな話だったんですけど、胸が痛い。
時代は二十二世紀で、世の中では「遺伝子優良化」という名目で遺伝子改良が進められていた。
人間は年を取らないし、病気もしない。
そんなことが当たり前に行われるようになった時代に、エリート遺伝子学者である永瀬慎治は、それらを一切拒んで生活をしていた。
そして慎治が養育していたのが、若くして亡くなった天才遺伝子学者である波代喬一の息子である享だった。
という感じの話だったんですが。
ここから思い切りネタバレで。
実は享は喬一の息子ではなくクローンで。
慎治は、喬一に一方的に犯される関係で。
どういうわけだか、喬一は慎治に以上に執着していた。
ということがおいおい明かされていきます。
そして、慎治の前に「キョウイチ」というシルバーのネームプレートを持って現れた傷だらけの男が慎治の前に現れたことから、二人の関係が変わっていく……という話でした。
結局のところ、「キョウイチ」そっくりなクローンがもう1人現れて、そのクローンに押し倒されてキスされてる慎治を見た享がキレて慎治を襲う……という話だったんですよね。
結局のところ享の頭の中心にいるのは慎治で、それ以外はどうでもよくて、振り向いてくれないことにじれて、薬を盛って、縛って、犯して……あげくもう一人のクローンまで巻き込んでしまう……という。
すごい話だった。
でも、背後にあるものが重過ぎて、そんなめちゃくちゃな行為でさえもやるせなさしか感じられなくて、かなりつらかったです。
でもそれがいいんだよね……小説の面白さって実はこういうやるせなさにあると思っているので、そういうのが好きな人にはオススメです。