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トルコ東部の湖に生息している(と言われている)、謎の巨大生物「ジャナワール」を捜索するノンフィクション作品。
舞台こそ海外なのだが高野作品にしてはスケールが小さいというか、移動らしい移動といえば湖の周りを一周しただけ。やっていることも関係者や住民への聞き取り調査ばかりで、若干の物足りなささえ感じてしまった。でもまさか最終章であんな展開が待っているとは…
やはり高野氏には騒動とか一悶着を引き寄せる、強力な何かを持っているのだと思う。おそらく彼じゃなければ、ここまでドラマチックな展開にはならなかったハズだ。いつもながら(こんなチープなテーマでも)一気に読ませる文章力はさすがである。
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CNNでも放送されたトルコ東部ワン湖にいるという水棲動物「ジャナワール」というUMA探し。前作ほどの緊迫感はなくて学生の珍道中みたいで、気楽に読めます。背景に民族問題プロパガンダがあるという裏話もあり
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[ 内容 ]
トルコ東部のワン湖に棲むといわれる謎の巨大生物ジャナワール。
果たしてそれは本物かフェイクか。
現場に飛んだ著者はクソ真面目な取材でその真実に切り込んでいく。
イスラム復興主義やクルド問題をかきわけた末、目の前に謎の驚くべき物体が現れた!興奮と笑いが渦巻く100%ガチンコ・ノンフィクション。
[ 目次 ]
第1章 驚きのUMA先進国トルコ(フェイクか本物か…それが問題だ;奇縁の旅はじまる;謎めく「文化センター」とヌトゥク教授;クルド人問題とジャナワール)
第2章 ジャナ、未知の未知動物に昇格(ワン到着;コザック映像の真実;「アスパラガス・ビデオ」;便りはUMAグルメ情報誌;ジャナワールの呪い?;暴走するガイドと運転手)
第3章 天国の湖(湖一周調査の旅出発;映像の村;クルドの熱い思い;「小説天台」誕生!;アウジ一族の陰謀)
第4章 謎の物体を追え!(謎の物体、発見!;立場大逆転;不惑の怪獣探索)
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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この作品は他のUMA追っかけ記録と違って、現地の目撃情報や本人達の体験が含まれているので特におもしろかったです。正体は何だかわからないですが、現象だとしてもドキドキします。
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なにしろ楽しい。
一人でボートに乗ってワン湖に漕ぎ出していくところなんて最高!
写真も良いです。
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辺境作家の著者がトルコはアナトリア地方ヴァン湖に潜むという怪獣ジャナワールを探しに行く、世にも珍しい怪獣探訪記。
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とても冒険心をくすぐられる。
情報が繋がっていく時の興奮が手に取るように分かり、世界のミステリーを暴くテレビ番組を見ているような気持ちになる。
クルドのグルメがとても美味しそう。こういう普通の旅の記述が時々入ってくるのが良い。フッとその土地の良さを感じる瞬間だ。高野氏の著書に登場する現地の人たちはとても人間味を感じて好きだ。その部分だけを上手く抽出して読ませてくれているのかもしれない。ワン湖の周囲の美しさや土地の空気感を、出会う人々から感じる。映画でも見ているようだ。
教科書通りではない現場の宗教に触れることができるのも面白い。こういう時に日本との違いを強く感じる。
実際有り合わせの装備で湖を探索したのがすごい。何か事件が起きてしまわないかとドキドキしたけど、ここまで実際に検証してみる人は珍しいだろう。これこそが本当の冒険であり、こういう時に自由だと感じる著者の少年のような心が、この本を面白くさせていると思う。
どのように未知生物の噂が広まっていくか、目撃者の感情の変化、目撃証言の違いなど、著者が実際に目撃したことによって予想できる流れが記されていたのが面白かった。あやふやな未知生物を外堀から埋めていく感じ。見た人が、どの部分を強く受け取ったかによって証言は変わってくるというのは、事故や事件を目撃した人のものと同じだな。
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著者の文庫は集英社か講談社に大別される。そして本書は講談社だ。いきなり巻頭カラーページが充実! 並々ならぬ力の入れ具合は、果たして妥当であったと巻末で納得した。著者のこだわりである未知の未知生物を探すトルコの旅は、いつものように現地の人達との交流の面白さと、民族問題に対する洞察に唸らされた。ワン湖一周の探査を終えようとしたその時、未確認物体(生物であるかも今のところ不明)を目撃するとは驚きだ。解説には、あの宮田珠己氏だったのも最高!
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友人から借りた高野秀行の本を一気読み第二弾。
今回はトルコに居ると言われるジャナワールなるものを探しに行った。同著者の作品は作品ごとに少々当たり外れがある気がするが、これはなかなか面白かった。おそらく何度も今まで何かを探しに行った著者は、その探索能力・ノウハウもどんどん蓄積しているのではないだろうか。
最後、亀がかわいそうだった。
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いやー、すごく面白かった。最初の書き出しから事件の匂いがして惹き付けられた。最後まで面白かった。絶対に自分が行かないところにいって、絶対にやらないことに時間を使ってくれる人。
自分の目で、確かめたい!という気持ちがすごい。夢のある怪獣を追っているはずが、すごくホットな政治やいざこざの話に直面してしまったり、異文化の暮らしに感銘を受けたり、ものすごく人間くさいところを「意図せず」拾ってしまっているのも、彼の信念がそうさせているのだろうと思う。
なんかそのお土産が、今回すげーでかくね、って思ったけど、それだけでかい獲物だったのだろう、ジャナ。
そういう、未確認生物っていうのは、なんかそれだけ人の想いというか、そこに人的な意図は絶対あるかもしれない、意図というより、社会の視点というのは。生物の発見というより、そういう社会的な視点の発見でもある気がする。
ジャーナリズムについても思うところはあったなあ、報じる内容以上に報じること自体への意図が、そこにジャーナリズムがある限り、存在するのだから使い方というのが問われる。エセなジャーナリズムを働く人や利用して権力を得ようとする人たちがいるというのは、他の犯罪と同じように、やっぱりその社会全体の体制や構造の歪みが出てるんじゃないかなと思う。
そういう不正、端から見たら何やってるんだか、という茶番にしか見えなくても。そういう意味では怪獣より人間の方がよっぽと滑稽であった。それが、著者の立ち場が怪獣探し、というお題目ゆえに自由にどこまでも表現したり追いかけたりすることができる、ということのメリットだなあと思う。著者は本当に怪獣探しだけがしたいわけじゃなくて(したいとは思うけど)、社会的なニーズ(義務)に応えようとするバランス感覚もきちんと持っている人で、それでギリギリ、完全なる変な人を免れている。
どんなに奇妙な生き物がいても、獲物を見つけても、「見てー!」って言って喜んでくれる人たち、伝える人たちがいなくては意味がない。
見て、ここにこんな変なおっさんがいる!って、いうのでまず元気が出る。怪獣っていうのは、その生き物自体の有無よりも、安定した社会基盤なくしては、登場しないものなのだろう。
で、いるの?いないの?はっきりして!
ということではない。つまりこんな変なおじさんと、私たちとまったく違う暮らしを当たり前のように営む異国の人たちがいるということ、それは本当に存在するものなのだから。そんな変なおじさんも、異国の民族の暮らしも、すごくすごく貴重で怪獣なんかよりも絶対に、あって欲しいものだと思った。
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”本の雑誌40年特集"から、かな。それは置いても、筆者の他作品はとても楽しませてもらったし、本作も読んでみたい度は高い。そしてUMA。一時期かなり興味あったな~、みたいな感傷に耽りながらも、そういえば最近はめっきり縁遠くなったもんだ、と思いつつ読み進めた次第。8割方読み進めるまでは殆どがスカで、すったもんだはあったけど、結局見つかりませんでした的な、バタバタ劇を楽しむ本かと思い始めたところで、核心に迫る事態が出来する。遭遇を抜きにしても十分楽しませてもらったし、笑わせてもらったけど、クライマックスで興奮もひとしお。怪獣っているんですね。ワクワクする。
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青春の書でもある『幻獣ムベンベを追え』の単行本が出てから16年目(2006年)のある日、もはや「怪しい探検家」じゃない「怪しいもの専門探検家」に成長した高野秀行は、ワンコじゃないワン湖に生息するとして一部では有名なUMA(未確認不思議動物)ジャナイじゃない、ジャナワール情報の真偽を確かめるべくトルコに飛んだのです(すみません、後は真面目に書きます)。十数年の冒険で鍛えられた彼は、一般に知られているビデオ映像はフェイクだと疑っていたが、トルコでの出版物の中に目撃証言者が48人もいただけでなく顔写真と住所まで載っている本の存在に注目したのである。
イスラム復興主義やクルド問題、或いは金儲けとか観光客誘致とか、マスコミの無責任な報道とか、ネットの無節操な伝達など、怪しげなベールを一枚一枚はいでいった時点で、高野秀行は初めてこのUMA探索にやる気を見せます。
「今、ちゃんとした情報を握り、客観的にジャナを調査できる人間は世界でたった1人しかいない。もちろん、私だ。やっと出番が来たという気すらする。ジャナは今まさに既知の未知動物から未知の未知動物になったのだ」(103p)
軽くて調子が良い読み物を装ってはいるけれども、高野秀行の視点は鋭い。信頼に足ると思う。文章がとっても気持ちいい。それに、『ムベンベ』から経験を積んで、視野が広がっている。目的のUMAよりも、クルド民族の日常や、ワン湖周辺の自然や、何より日常的な食べ物の描写がとても美味しそうで、ついつい観光で行ってみたくなる。現在、難民流出が止まらない大変なところではあるのだが。
さて、高野秀行はUMAをビデオに収めることが出来たのか?結果は、あっと驚く‥‥ごめん古かった。
高野秀行著作物、記念すべき読了10冊目でした。
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この手の珍獣ハンター系の話は、どうせ見つからない(だって、見つかってたらとっくに大ニュースになっててるはずだし)という前提がまずあるのだが、「あれ!?もしかして…」的な展開が発生して、後半はあっという間に読み終えてしまった。
文章がちょうど良く面白くて、久々にトルコ(ワン湖行ってみたい)へ行ってみたくなったし、他の本も読んでみようと思った。
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UMAってものには実は興味はあまりないんだけど、読んでみてすぐ引き込まれた。
UMAの探索のはずなのに、民族問題や政治思想まで踏み入れて、最後にはなぜか立場逆転!?みたいなことになっていて、冒険記としてたいへん面白かった。
ジャナワールという真偽不明で、地元民からはほぼ確実にオワコン認定されているものを通して見る人間模様、というのがとても不思議な感じがしたのと、それに加えて景色の浮かぶ文章が良かった。トルコに行きたくなった。
2007年刊行なので、その後がとても気になる。結局、正体は何だったのか!?
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トルコ東部のワン湖で目撃されているUMA、”ジャナワール”の真偽を確認するため、現地に飛び、目撃者に取材を試み、湖周囲の村々を全て周り目撃情報を探し求め、その過程でイスラムやクルド人問題などにも遭遇しつつ、最終的には「いないんじゃね?」という結果に落ち着きそうになったその時! というノンフィクション。とにかくそのスタンス、内容、文章全て真面目に取り組んでいるのに面白いというのが一番の謎。